FC2ブログ

「アネモネ…全171話完+α」
第一章 Change the World①

アネモネ018

 ←あの橋を渡って…08~完 →昏い夜を抜けて279
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 チラリ、チラリと視線を走らせ、目が合いそうになると、何食わぬ顔で視線を外す。
 そんなことが3度重なり、さしものつくしも相手が自分を凝視していたことに気が付かざる得ない。
 相手が相手だったから、警戒心を解かず、車の中という密室であることも考慮して司が座る真反対。
 つくしは、車のドアに体を押し付けるようにして腰を落ち着けていた。
 つくしの方も司の視線に気が付いていないふりで、何食わぬ顔で窓の外へとあえて視線を向ける。
 すると、舐めるような…とでもいうのか、再びネットリとした視線を全身に感じて不機嫌に顔を顰めた。
 「…ちょっと」
 「……」
 「なんで、あたしをそんなにジロジロ見てんのよ」
 我ながら、地位ある人間にきく言葉使いだとは思えなかったけれど、いまさらこんな男相手に敬語を使うのも腹立たしい。
 もちろん、人前では節度ある態度を心掛けているつもりだったが、モーションを蹴飛ばしたくらいで自分の身も顧みず、つくしの職務を邪魔しようと言う手合いの子供っぽさに呆れ果てていた。
 だが、傲岸不遜な男は、つくしのそんな生意気な態度にも特に目くじらを立てない。
 敬えと言われたら、それでも我を抑えて表面的には下手にでるくらいの心づもりはあったのに。
 「お前…昔、俺が入院してる時に、見舞いに来たことがある女だろ?」
 まさか憶えているとは思わなかったので、大きく目を見開いてマジマジと見返す。
 すると、なにがどう作用したと言うのだろうか。
 …今更、あたしの態度に怒った?
 かすかに頬を紅潮させ、眉根を寄せて視線を外した男が拗ねたように唇を尖らせ、答えないつくしを軽くねめつける。
 「…無視すんじゃねぇよ」
 「無視したわけじゃないんだけど。あたしのこと、憶えてたんだ?」
 「いや、全然」
 「……あ、そ」
 予想通りの答えだったのに、無性に腹立たしい。
 「が、…思い出した。俺にそんな生意気な態度をとる人間なんて、そうそういねぇからな」
 …そりゃそうでしょうねぇ。
 投げやりに考えて、再び窓の外へと視線を反らした。
 「お前、まだ類の女なのか?」
 否定も肯定も答える必要などない。
 それでも間違いをそのままにしておけないのは、感傷なのだろう。
 過去の恋愛への郷愁。
 片方は綺麗サッパリ忘れ去っているというのに、本当にバカバカしいほど滑稽な話だとつくしは自嘲した。
 「あたしは昔も今も、類の女だったことなんてないわよ」
 「…じゃあ、なんで俺の申し出を断った?」
 「申し出って、まさか、あんたの女になれとか言う失礼な話のことじゃないでしょうね」
 「失礼とか言うか」
 司の顔が不機嫌に歪む。
 そんな顔をすると、ただでさえとっつきにくい整いすぎた美貌がいっそう険しくなって、普通の人間だったら萎縮してしまうに違いない。
 けれど、つくしにしてみればこの男に関しては、今更のことで。
 おもねる必要もないし、必要以上のご機嫌取りも真っ平御免だ。
 「…あんたを魅力的だと思う女は、まあ、認めたくないけど多いんでしょうね」
 「当り前だ」
 ここまで来ると傲慢なバカも立派なものだと感心する。
 「でも、それはみんながみんなってわけじゃないわよ。あんたのどこがそんなにイイと思うのか、あたしには理解に苦しむけど…」
 「バカかお前?」 
 「は?」
 今度はバカ呼ばわりだ。
 …本当にムカつく。
 コイツといると血管の一つや二つ、容易に切れてしまいそうだと、つくしはこめかみに浮かびそうな青筋を抑えた。
 けれど、どれだけ得意そうな顔をしているのかと、司の顔を斜め見してやると、意外にもツマラナそうな冷たい顔に出くわして、つくしはわずかに困惑した。
 「どこが魅力?そんなもん、俺の金と地位、顔、そんなもんに決まってんだろ」 
 「……」
 「後はせいぜいセックスか?人間なんて、結局一皮むけばみんな同じ。欲しがるもんなんて一緒なんだよ」
 潔癖な少女の頃のつくしならばともかくとして、大人になった彼女にはその認識を一概に間違いとは言えなかった。
 確かに昔から、司の周りを取り巻く人間たちには欲望と野心が常に渦巻いていた。
 「お前は俺から欲しいものなんてねぇって言ったな」
 「…言ったわね」
 実際にその通りだ。
 つくしがただ一つ欲しいと願ったものは、とうの昔に失われてしまった。
 「そんな手で、俺の関心を惹こうなんて無駄なことはよせよ」
 「…ハアッ」 
 つきたくないのに溜息が出てしまう。
 「おいッ」
 「もう話しかけないで。あんたと話してると、ホント、疲れるったら」
 ただでさえ、プライバシーもなにもない環境で、高級家具とはいえ狭いソファで寝起きしているのだ。
 疲労も溜まるというものだろう。
 けれど、これだけは言わずにはいれない。
 「…あんたみたいなバカと話すのも疲れるけど」
 「てめぇ」
 「そんなに卑下することもないでしょ」
 「は?何言いやがる。誰が卑下してんだよ」
 「あんたでしょ。ようは…あんただって一応は人間なんだから、いいとこの一つや二つそれなりにあるってことを言いたいのよ」
 「……」
 「あ、もちろん、お金とか地位とか、その木偶の坊みたいにやたらと整った見かけだけじゃなくってね」





 車が滑り込んで停車したのは、見慣れたクラブのエントランスだった。
 VIP御用達、各国の賓客も時にはお忍びで訪れる歓楽スポット。
 警備的にはありがたくなかったけれど、それでも街中を練り歩かれるよりはよほど安全なのは明らかだった。
 運転手が車を降りようとするのを見咎める。
 「あ、ちょっと待ってください。あたしが先に…何よ」
 ドアノブに手をかけて外へ出ようとすると、目の前に差し出された手。
 「……」
 うろんに見返すと、グイッと無理やりに手を取られ、司が自分でドアを開けて外へと出てしまう。
 当然、手を掴まれたつくしも、半ば引きずられる格好で。
 「ちょっと!あんたが先に出てどうするんだつーのッ。て、いうか放してよ!」
 「俺がエスコートしてやるってせっかく言ってやってんのに、てめえがさっさとしないからだろ?」
 「何言ってんのよ!そんなこと一言も…て、いうか、エスコートなんていらないから、手を離せッ!!」
 勝手な言い草に、手を振り払ってやりたいが力では勝てない。
 途中、顔見知りのボーイが怪訝な顔をしたが、ともにいる司の一睨みでただ頭を下げる。
 「お前みたいなビンボーくせぇ女が、ここでは顔馴染みか?」
 「……」
 「類の女じゃねぇとか言って、他にパトロンでもいやがるのかよ?」
 「牧野にパトロンなんていないよ」
 かけられた声の方向に、つくしがギョッと視線を向ける。
 いつの間にか連れられてきた部屋…VIPルームのソファに寝転がっていた類が、半身を起すところだった。
 相変わらず柔らかな美貌にあからさまな変化は見えない。
 けれど、司と類の視線が合わさった瞬間…目に見えない火花が飛び散った。
 「…久しぶり、司」
 「おう」
 「ずいぶん賑やかな登場だね」
 「こいつがぎゃあぎゃあ、うるせぇからよ」
 「なんでよッ!」
 聞き捨てならない言葉に、つくしが抗議の声をあげようと顔を向けると、ニヤリと笑った司が顔を寄せてきた。
 …え?
 「なにすんっ…んんんッ―――!!!?」





◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ





↓ランキングの協力もよろしくです♪
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ 💛 
いつも応援ありがとうございます^^!

web拍手 by FC2






関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【あの橋を渡って…08~完】へ
  • 【昏い夜を抜けて279】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【あの橋を渡って…08~完】へ
  • 【昏い夜を抜けて279】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク