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あの橋を渡って…8話完

あの橋を渡って…02

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 「先輩たち、どうなんてるんです?」
 つくしの耳元に手を当て囁いた総二郎の視線の先、世間に名を馳せる大企業・花沢物産の重役になってもほとんど変わらない類が、総二郎とあきらの向かい側、三人掛けのソファに寝転がって大きな欠伸をしている。
 見た目的には、どんな女も夢心地にしてしまう童話の王子様のような甘い美貌の男。
 学生時代からずっと見てきた彼女たちにしても、ますます男ぶりが上がって、どうかするとうっとりと見惚れてしまいそうだった。
 けれど、いくつになっても他人に無関心で、眠そうな彼の関心はいつも目の前の女ただ一人のものだ。
 …それはたとえつくしが他の男を愛していても、恋に破れて一人身になっても少しも変わることがなかった。
 桜子の視線につられるように、つくしも視線を類へと走らせる。
 それに気が付いて、ぼんやりしていたはずの類がつくしへと微笑みかけた。
 まるで、誰から見ても熱々の恋人同士のようだ。
 昔から彼らがそんなふうだと知っている桜子や滋、優紀にしてみても、いまだに彼ら二人が友達以外の何者でもないことが信じられないくらいだった。
 「お付き合いされてないんですか?」
 だから、毎度、答えがわかっているのに、聞いてしまう。
 そして、案の定、類へと向けていた屈託のなさそうな笑顔が嘘のように、少し困ったような笑みを浮かべ首を振る。
 「あたしたち、友達だよ。それ以上でもそれ以下でもない。これから先もずっと一緒」
 「まだそんなこと言ってるんですか?」
 「つくしぃ、司と別れて何年たったと思ってるの?花の命は短いんだから、ガツンと肉食系で迫って彼氏にゲットしないとッ!」
 横で優紀と話していた滋も話しに割り入ってくる。
 手の中のお酒のグラスをぼんやり見つめ、つくしは溜息をついて曖昧に頷く。
 このあきら所有のクラブで、こうして会合を開くようになったのはいつからだったか。
 高校時代、司がNYへと旅立ち、つくしが彼を待っている間も何度となく彼らとこうして酒を酌み交わし合った。
 それでもごく稀に、司が日本へと帰国して、二人で過ごす以外にも、彼を囲んでこうして皆と飲んで語り合ったこともある。
 そして…やがてはつくしと司が別離を選び、彼がNYに行ったきりになると、代わって溜まり場となったのはここだったのだ。
 「まさか、まだ司のことが忘れられないとか?」
 類は、眠ってしまったのだろうか。
 寝転がったまま、腕を目に当て、もうこちらへは関心を向けてはいなかった。
 それでも話題が話題なので、桜子が気を利かせて、滋の大声を嗜める。
 「…滋さん、ちょっと」
 「だって!つくしったら、ジレったいんだもん」
 「それこそ、まさかだよ」
 「ホント?つくし」
 念を押す滋に、それはキッパリと頷く。
 「あっちは既婚者なんだもん。いまさら未練も何も、不倫なんてあたしはごめんだよ」
 「…そうだよね」
 釈然としない滋と同様、桜子の目がつくしの真意を探るようで…。
 いくら気の置けない友人だとはいえ、自分のいつまでもわだかまるジメジメとした屈託を知られたくはない。
 だが、鋭敏な桜子がそんなつくしの気持ちを知らないわけもないだろう。
 それがわかっていて、甘えている自覚があるつくしは、もう少しだけ赦されていたかった。
 「司とつくしが別れて…もう3年か~。早いね」
 「そうですね」
 「ん…」
 「……」
 一同が、しんみりとなる。
 「…って、ことは司が結婚して、もう3年ってこと?」
 「滋さん」
 滋には遠慮というものがない。
 憚らないから、かえって気安い。
 時に気持ち的にキツイこともあるが、下手に気を使われるよりはいいとつくしは小さく笑う。
 「いいよ。もう、昔のことだし、道明寺とは納得して別れてるんだから」
 「…それはそうでしょうけど。私だったら、やっぱり別れた彼氏が結婚した話なんて、あまり楽しい話じゃないですよ」
 「それもそっか。ごめんごめん」
 悪びれない滋だったが、それでも多少申し訳なく思ったのか、亀のように首を竦めた。
 「いいって、ホント。…それに、その、実は、あたしも、ね」
 まだ言うつもりはなかった。
 けれど、話の流れから自分がその話をしなければ、いつまでもこの気のいい女友達たちに気を使わせてしまうことに思い当たり、覚悟を決める。
 「なになに?」
 「…なんですか?先輩」
 女2人が、つくしへと齧り付く。
 ただ一人、静かに一同の話の行方を見守っていた優紀が、心配そうにつくしを見ていた。
 …ありがとう、優紀、大丈夫。
 優紀には話していた。
 ここ数年の自分の中の屈託も、ここのところの変化も、…何もかも、学生時代と同様に。
 「実は、さ。今、会社で、その…お付き合いというか」 
 「え?マジ?」
 「いつの間に先輩!?」
 驚いたような二人の顔が可笑しい。
 そんなに自分は男っ気もなく、妻帯している司あたりに操だてしている悲愴な女だと思われていたのだろうか。
 「なによぉ、その反応?いつもは女の20代後半なんてあっという間なんだから、売れ残るとか言うくせに」
 「そんな失礼なこと言わないよ!」
 「そうですよね、滋さんは言えませんよね」
 つくしより一才年下の桜子が、つくしより1才年上の滋を揶揄すると、滋がポカリと女友達の後ろ頭を殴った。
 「痛いッ、なにするんですかっ!?」
 「あんたが、そんな憎まれ口叩くからでしょッ」
 「子供じゃないんだから、やめてくださいよ!」
 「まあまあ」
 宥める優紀を間に角突きあわせる。
 「ま、そういうこと言うのって、西門さんあたりですよね」
 「かな」
 「飛び蹴りしちゃえ!」
 そそのかす滋に、さすがのつくしも顔を引き攣らせた。 
 「…しないよ、さすがに、この年で」
 「え?しないの?」
 「…まあ、頭突きくらいは」
 「頭突きだってしないでください。いい年の大人の女がまったく」
 頭痛を堪えるように桜子が呆れて額を抑える。
 ははは、と滋と二人笑って、結局、女4人みんなで笑いあった。
 「…そうですか。先輩にそんな人が」
 「まあ、まだお付き合いとか言っても、そこまで真剣なわけじゃないんだけど」
 「優紀さんはご存じだったんですか?」 
 口が重いつくしにさっさと見切りをつけた桜子が、より御しやすい優紀へとターゲットに変える。
 迷った風だったが、困ったようながら頷くつくしの意を受けて、優紀も同意した。
 「ええ。会社の人だって聞いてます。…転勤でこっちに最近きた人なんだよね?」
 「うん」
 「どんな人なの?」
 聞かれてつくしは、とっさに言葉に詰まった。
 …どんな人。
 言われても思いつかずに、その人となりを改めて思い浮かべる。
 「…えっと、どんな人って言われても」
 「優しい?」
 「…かな?」
 「カッコいい人なんじゃないですか?先輩、何気に面食いですものね」
 若干不本意な物言いだったが、初恋の相手が類で、初めての彼氏が司ではそう言われても仕方がないだろう。
 「…まあ、そこそこなんじゃないかな」
 ピンとこないつくしの彼氏の人物像に、滋がしびれを切らす。
 「もうっ!つくしったら、気がない言い方なんだからッ。じゃあ、いったいその人のどんなところがいいのよ!」
 「…普通な人ってところ?」
 「は?」
 「えっとぉ、なんていうか、うん。ホント、ごく普通の平凡な人。あたしと身の丈の合う、普通の恋ができそうな…そんな人かな」





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