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あの橋を渡って…8話完

あの橋を渡って…01

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あの橋を渡って…

 HappyBrithday類!!
 花沢類の誕生日を祝って…まったく誕生日ネタとは関係ない中編です^^;
 司とつくしが別れて数年。
 花沢物産専務として辣腕を振るう類と、一OLとして社会に出たつくし。
 あまりに隔たった環境にいる二人は、相変わらず『友達以上、恋人未満』。
 そんな二人のラブ・ストーリーです(類×つくし)。
*******************

 「お前ら、どうなってんだよ」
 グラスを持った総二郎の視線の先、社会人になってもあまり変わらないつくしが、滋たちと大口開けて笑っている。
 見た目的には確かに、花も咲き誇る年頃の女。
 学生時代からずっと見てきた彼らにしても、つくしが格段に綺麗になったと認めるところだった。
 けれど、いくつになっても真っ直ぐで勝気な彼女の、飾らない優しさと生真面目さは少しも歪むことがない。
 …それは、一つの恋を失い、うちしがれて一時は見る影もなく窶れ果てた時がまるで嘘のような再生でもあった。
 総二郎の視線につられるように、類も視線をつくしへと走らせる。 
 それに気が付いて、夢中に話し込んでいたはずのつくしが類へと微笑みかけた。
 まるで、誰から見ても熱々の恋人同士のようだ。
 昔から彼らがそんなふうだったことを知っている総二郎やあきらにしても、いまだに彼ら二人が友達以外の何ものでもないことが信じられないくらいだった。
 「つきあってんのか?」
 だから、毎度、答えがわかっているのに、聞いてしまう。
 そして、案の定、つくしへと向けていた笑顔が嘘のようなアンニュイさで、類が肩を竦める。
 「俺たち、友達以上恋人未満、そこから進めないんだ」
 「マジかよ。お前何してんだよ」
 「牧野が、司と別れて何年たったと思ってんだ。お前、それでもF4か?」
 手の中のグラスの酒を飲みほして、類がゴロリとソファへと横になる。
 久しぶりの会合は、司がNYに行ってしまってから、溜まり場として定番になったクラブのVIPルーム。
 かつては司の邸がたまり場だったが、彼がつくしと別れ、NYに行ったきりになると、代わって溜まり場となった場所は、あきらが趣味で経営しているクラブのうちの一つとなっていた。
 「別に司に遠慮してるわけじゃねぇんだろ?」
 つくしは、再び女たちとの歓談に夢中になっているようで、こちらへは関心を向けていなかった。
 それでも話題が話題なので、あきらも心もち声を潜める。
 飲み会の当初こそは皆で近況を報告しあっていたが、一しきり歓談すると、いつものように男女別れて、それぞれ思い思いの時間を過ごしていた。
 類はといえば、いつもだったらつくしが自分の傍を離れた後は、日頃の睡眠不足を補うのだとばかりにすぐに寝てしまうのが常だった。
 だが今日に限って、いまだ総二郎やあきらの与太に付き合っていたのは、それでも近々自由に飲み歩くわけにもいかない窮屈な身の上になるからなのかと、友人2人は穿っていた。
 「…司と牧野が別れて何年たったと思ってるのさ」
 「2年?もうすぐ3年か…早ぇな」
 「つーことは、牧野も今年で26才か。やべえぞ、女の20代後半なんてあっという間だからな。お前がグズグズしてっと、あっという間に売れ残り?」
 甚だ失礼な物言いだったが、類的には面白かったのか、ごろ寝しながらもクスクス笑って寝入るわけではなさそうだ。
 「ぷっ、俺的には売れ残ってくれるのは大歓迎だけど、それ、牧野に言って見なよ?」
 「…冗談ぬかせ」
 「まさか、いまさら飛び蹴りなんてされないでしょ」
 「頭突きくらいは平気でやるんじゃね?」
 「やるな」
 「うん、やるだろうね」
 一同一致した見解に、噴き出し合う。
 「まあ、…冗談はともかく、司に遠慮してるわけじゃねぇなら、なに躊躇ってんだ?」
 「だから、今言った通りだよ」
 片腕を目の上に乗せる。
 ギラギラした照明がそれで遮られて、多少は煩わしさが和らいだ。
 「牧野が踏み込ませてくれない。…踏み込めない」 
 「……お前のこと、まんざらなわけでもないんだろ?あいつ」 
 総二郎はもう一度、つくしへと視線を移した。
 類の時とは違って、総二郎の視線には気が付かずに、能天気に笑っている。
 一見して、恋愛の深みも汚泥も知らない屈託のない女。
 けれど、その笑顔の向こうにどれだけの苦しみや哀しみを味わってきたのか。
 「俺のこと、そりゃ好いてくれてると思う。当たり前だろ、俺たち友達だからさ」
 「ダチね。…よく言うぜ。いつまでそんなお為ごかし言ってるつもりだよ」
 「…おいおい、総二郎」
 「いいんだよ、司ン時みたいに、またスタートダッシュ遅れて泣きをみるのはこいつだろ?」
 歯に衣着せぬ物言いに、あきらが嗜めるが、類にしてみれば、何を言われても怒る気にもなれない。
 …実際に、本当のことなのだから。
 「類、お前、どうすんだ。なんだかなんで、お前だって縁談あるんだろ?」
 そういうあきらも、先日見合いをしたばかりだ。
 さすがに見合い即結婚など、司であるまいに強制されるわけではない。
 「…司、あれで上手くいってるわけ?」
 「まあ、そんなに悪い女じゃねぇし、恋愛じゃなくっても、それなりに大切にしてんだろ?」
 司が結局選んだ政略結婚。
 選んだ…たとえ、四面楚歌でそうせざる得なくても、そういうことなのだろう。
 その陰に、その当の本人と、一人の女の涙を隠して。
 ずっと陰でそんな二人を見守ってきた類には、割り切れなかった。
 けれど、当の本人たちがそれを認めた以上、いくら親友だとはいえその決断をどうこう言うことはできなかったのだ。
 『…お前が幸せにしてやれ』
 軋るような親友の苦しそうな声音が胸に蘇る。
 けれど…。
 『もう、あたしはあんな思いしたくないの。普通の恋愛がしたい』
 「土俵にも立たせてもらえないんだもん、どうすればいいわけ?」
 「…類」 
 「あいつが俺とじゃあ、恋愛を始めたくないっていうんだよ、どうしろって?」
 自嘲する類の声はひび割れて、悲痛だった。
 けれど、そんな類の気持ちも…そして、身を削るように戦わなければならない恋愛には、もう身を投じたくないと言うつくしの気持ちも、二人にはよくわかっていた。
 「だから…見合いすんのか?牧野のこと諦めるのかよ」
 詰るような総二郎に対して、目で制止するあきらの方は多分に類に同情的だった。
 「よせ、総二郎。あくまでも当事者の問題だろ?」
 「…はん、何かとお節介焼きはお前の方の癖に、ドライなふりしてカッコつけんなよ」
 拗ねた総二郎の言い方に、あきらが苦笑する。
 「まあ、仕方ないさ。いよいよ、ってなったら、迷惑かけんのがこいつらの専売特許なんだから、それまで俺はよけいな気苦労しょいたくないんだよ」
 「ぷっ、司じゃないんだから、失礼なんじゃない?それ」
 今日は不思議に眠気が差さない。
 どこか神経が高ぶってでもいるのかもしれなかった。
 「…で?お前、結局、見合いはどうすんだ?噂だと、丸菱商事の娘と縁組の話が舞い込んできてるんだろ?」
 「ん~」
 「それとも、あの話受けるつもりなのか?」
 「なんだよ、あの話って」
 あきらが口にする話に思い当たらず、総二郎が類へと視線を向ける。
 ゆっくりと目の上から腕をどかし、類は掌の隙間から射るように入り込んでくるライトの光に目を細め瞬かせる。
 …強すぎる光は、いつまでも残像を残して、中々消え失せてはくれないものなのだと類は知っていた。





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