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「アネモネ…全171話完+α」
第一章 Change the World①

アネモネ017

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 「…とりあえず、好きなようにしていいって言われたから、あたしは居間のソファ借りるわ」
 「は?」
 「隣の部屋でもいいかと思ってたけど、この家バカデカすぎて一室一室が離れすぎてるのよね、まったく」
 「…ふざけんな」
 司が今度こそ睨み付ける。
 誰もが怖れる司の威迫を、つくしは平然と流す。
 「ふざけてないわよ。別にプライバシーの問題は寝室だけ遠慮すれば最低限守られるでしょ?それ以上は我慢してよ。あたしだって我慢することになるんだから」
 「やせ我慢してんじゃねぇよ!」
 洗面室を出ようとするつくしの腕に司が手を伸ばす。
 が、予想していたので、つくしはスルリとそれを交わし、容易には掴ませない。
 それを強引に取ろうとして、しばし攻防を繰り返した。
 しかし、最後にビシッと手を叩き落とされ、司は腹立ち紛れに手に触れた花瓶を片手で掴み、壁へと叩きつける。
 ガッシャーンッ。
 「ちょっと!」
 「うるせぇッ」
 「ハアッ…、物にあたらないでよ。ホント、あんたって、いくつになっても成長ないのね、そういうところは」
 「言えよ、なにが欲しい。俺は欲しいと思ったもので手に入らなかったことはねぇんだ」
 「…まあ、そうかもね。だからといってムキになられても困るけど」
 司の困った性質は熟知している。
 下手に拒絶すれば、意地にさせるだけ。
 だからといって、つくしはいまさら司の情人になるなど真っ平御免だった。
 どうしたものかと、頭を抱える。
 よもや寝込みを襲われることはないかと、そっちの心配もあった。
 だが…。
 「ふん、まあ、いいさ」
 「……」
 「俺は欲しいものは絶対に手に入れる。絶対にだ」
 「……」 
 これ以上、何を言ってもよけいにムキになられるだけだ。
 それで黙っていると、司は憎々しげにつくしを一瞥し、寝室へと踵を返した。
 「寝る」
 「…って、あんたシャワー浴びたいんじゃなかったの?」
 「明日浴びる」 
 「夕飯はどうするのよ」
 その問いには答えず、足音高くさっさと寝室にこもられる。
 溜息一つ。
 シャワールームや、この場に散らかった花瓶の残骸はどうするんだとつくしはしばし頭を悩ませた。
 「…オイッ」
 いま寝室のドアの向こうに消えたばかりの司が、ドア板に手をかけこちらを見ていた。
 「…なに?」
 「首んとこ切れてんぞ」
 「…ああ」
 もしかしたら、背中も多少傷を負ったかもしれなかった。
 擦り傷や切り傷、打撲程度は職業柄日常茶飯事だったし、そもそもこの男と付き合って暴力沙汰は慣れたものだったので、あまり気にしていなかった。
 「掌も怪我したろ。あとで、医者呼んどけ」
 「は?人のことより自分ことでしょ?」
 どうやら頭痛は収まったようだったが、蹲るほど痛むなど尋常なことではない。
 けれど、「フン」と鼻を鳴らした司に、医者にかかるなどということは念頭にないのは明らかだった。
 「…それに、そんなもんより、あんたに殴られた顔の方がよほど痛いんですけど?」
 実際はそうでもなかったけれど、女の顔を殴りやがって、という憤慨もある。
 「お前も殴ったからアイコだろうよ」
 「まあ、そりゃそうだわね」
 それ以前にも、怪我人の怪我した足やら脇腹も殴ってるのだから、確かにアイコどころか、つくしの方が分が悪いのかもしれなかった。





 「…では、道明寺代表。この件、くれぐれもよろしくお願いたします」
 にこやかな相手に対し、司の方は愛想のない頷き一つでさっさと踵を返す。

 一応はビジネススマイルも身に着けているようだったが、必要のない相手にはとことん傲岸不遜な態度で、それが自分の父親の年齢ほどの人間に対してだろうと、平然としたものだ。
 そして、相手もそれを許して、異議を唱えない。
 司にはそれだけの社会的地位もあるし、また威圧的なオーラが他人を委縮させる。
 黒服の団体を連れた司の遥か後方。
 もっとも傍近くどころか、クルクルの頭が、長身の男たちのさらに上で飛び出ているのを眺めるくらいしか気配も感じられない場所で、つくしは溜息を落とした。
 …意趣返しなんだろうな。
 とは、思う。
 成長したのは見た目だけで、どうやら中身はお子ちゃまのままのようだ。
 つくしが司の申し出を蹴った次の日から、とりあえず追い返されることはなかったけれど、護衛の意味もないのではないかというほどに距離を取られ、そばに寄せ付けてもらえなくなってしまっていた。
 まあ、つくし的にも、これだけ警備が常時からついているのだ。
 よほどの事態でもなければ、どうということはないとは思う。
 彼女自身だとて、何人もいる猛者たちの誰よりも警護官として優秀だと自負しているわけではない。
 けれど、ここまであからさまに『役立たず』の位置においやられるとなんとも遣る瀬無い気分になった。
 …勝手にやってろ、バカ男。
 クルクルの頭を遠く眺め、心の中で悪態をつくことで意趣返しをする。
 「就寝時、同室での警護だけでも、十分役になっていただいています」
 スッと横に並んだ無機質な声に、どうやら自分に話しかけられたのだとやっと気づいて、つくしは横を振り仰いだ。
 声以上に無表情な西田が自分を見下ろしていた。
 「今まで、プライベートゾーンには一切警護どころか使用人すら寄せ付けなかった方ですから」
 「…いや、お邸の警備を考えると、それでもかまわないかな、とは思いますけど」
 実際司が頭痛で呻いているところを見さえしなければ、同室にまでなる必要はないと思っていたくらいなのだ。
 「ええ、お邸の中だけならばそれでもかまわないでしょう。しかし、これから日本各方面への出張もあります。ホテルなど、不測の事態に対応するには不十分な警備状態の場所で、ボディガードを寄せ付けないのでは、襲ってくれと言っているようなものです」
 「そうですね」
 ワッと前方の方で、歓声が上がって、つくしがギョッと意識を戻す。
 けれど、なんということはなかったようで、単純にエントランスに集まっていた観客?が横付けされたリムジンに歓声をあげただけだった。
 「…おい」
 司の一声とともに、黒服の人垣が割れる。
 「……」
 「何してる。早く来い」
 遠ざけているくせに、車は相乗りさせるとか。
 司の真意がわからない。
 「…この後は、業務ではなくプライベートです」
 「え?」
 「牧野さまも御存じのご友人たちとのお約束に向かわれますので」





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