FC2ブログ

「アネモネ…全171話完+α」
第一章 Change the World①

アネモネ013

 ←アネモネ012 →アネモネ014
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 「あいかわらず、失礼な子だね」
 相変わらずなのはタマの方だった。
 誰もが恐れ、真っ直ぐに視線を返すことさえ難しい司を相手に平気で悪態をつき、子ども扱いする。
 そんな老婆の変わらなさに、わずかに緊張が残っていたつくしの唇にも知らず知らずのうちに笑みが浮かぶ。
 「…なんだか、うちの連中がずいぶん」
 タマもやっと、司の影になっていたつくしに気が付いたのだろう。
 小さく落ち窪んでいた目が、驚きに大きく見開く。
 「…あんた」
 「お久しぶりです」
 声をかけられる前に、頭を下げた。
 …ご無沙汰しています。
 …不義理しています。
 様々な想いがつくしの胸に湧き上がる。
 「なんだよ、この騒ぎはやっぱ、この女のせいか」
 眉根を寄せた司の顔はどこか憮然としているように見えるのは気のせいなのか。
 司の声が、一時追憶に浸り感傷に溺れそうだった二人の女を現実に引き戻す。
 タマも涙ぐんだ目を瞬かせて、しゃんと背を伸ばした。
 「知り合いか?」
 どちらにともなくかけられた質問に、タマの方が間髪入れずに大きく頷き答えを返す。
 「ええ、ええ。この邸の者たちで新参者以外はみな、この子のことをよく知っていますよ」
 「…俺も知らねぇぞ」
 「そうだね。坊ちゃんと…というべきでしたかね」
 わずかに滲んだ切ない響きに、司は気が付いたかどうか。
 タマがつくしへと歩み寄り、目を細めて何度も頷く。
 「久しぶりだね、つくし。ずいぶん、見違えちまって、すっかり大人の女になったじゃないか」
 「はは…ありがとうございます。タマさんは、お変わりなく」
 「ふん。世辞はいらないよ、ずいぶん、老けたもんだと我がことながら、鏡を見る度にうんざりだ」
 和やかな空気は、司には馴染みのないものだ。
 なんとなく二人の会話を見守ってしまっていたが、フンと鼻を鳴らして先へと進んでしまう。
 「あ…」
 タマのことも気にかかるが、今は仕事中だ。
 西田の言う様によもや、ベッドまで同衾するのは真っ平御免だったが、それならばどこまで警護するべきなのか迷い、逡巡する。
 「……どうしたんだい?」
 「えっと、すいません。実はあたし、いま仕事中なんで、後で改めてご挨拶に伺わせていただきます」
 頭を下げ、急いで司の後を追う。
 小走りに追いかけても、元々リーチの長さ自体が違うのだ。
 中々追いつけない。
 そしてそんな二人を無言で見送ったタマだったが、一同の最後尾についていた古参のボディガードの袖を引いて引き留める。
 「……何か?」
 「少し、あたしの部屋に寄っておゆき、詳しいことをすべて話しな」
 「……」





 「ちょっと待ってくださいッ!」
 邸に入った途端、ボディーガードたちは三々五々にそれぞれの持ち場へと消えてゆく。
 最後の一人までも、司の傍を離れてしまった。
 「ちょっと!ど…代表ッ!」
 つくしを無視していた司だったが、間近で叫ばれ、煩そうに眉根を寄せる。
 「…うるせぇ、騒ぐんじゃねぇよ」
 「聞こえてたなら、返事ぐらいしてください」
 「たく…ホント、面倒くせぇ。お前、俺の護衛じゃなくって、俺を煩わせるために送り込まれた刺客なんじゃねぇの?」
 失礼な言い草に、つくしの唇がムッと尖がる。
 だが、そんなつくしの子供っぽくも素直な感情の発露を、司は物珍しくジッと見つめた。
 「な、なんですか?」
 あまりにじ~っと見られるので、つくしの方が内心仰け反って、気味が悪そうに眉根を寄せる。
 「……いや」
 別に本当になんていうことはなかったようで、
 「で、なんだよ?」
 特に何も言わずに、問い返してきた。
 「私はどこで休ませていただけばよろしいのでしょうか?」
 「……好きにすれば?」
 「は?」
 「総監が送り込んできたんなら、まさかコソ泥のマネもできねぇだろうから、好きにしろよ、かまわねぇ」
 あとは話は終わったとばかりに、いつの間にか到着した部屋にさっさと入ってしまう。
 「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」
 ポカンと見送って、閉められたドアに、つくしは慌ててドアを開けて中へと押し入る。
 「そういうことじゃなくって!…って、あれ?」
 もうすでに居間(自室にも居間とか寝室があるって…金持ちって。by つくし)には司の姿がなく、慌てて寝室へと追いかける。
 「だから、あたしはあなたの傍を離れ…って、きゃあっ!」 
 バサリと音を立て、司が上着の下、Yシャツを脱ぎ捨て、アンダーシャツにも両腕をかけめくり上げているところに出くわしてしまう。
 バサッ。
 「ひ~ぃ~、何してんのよッ!!」
 もう気分はムンクの叫びだ。
 が…。
 司の方は至極平然としたもので。
 「…なにがひぃ、だよ。変な声出すんじゃねぇよ。お前が勝手に人の部屋に押し入ってきたんだろ?」
 「そ、それはそ、そそ、そうですけど、ま、まだ、話は終わって、ない…から」
 出くわした当初は、司の裸の上半身に狼狽えて叫び声をあげてしまった。
 けれど…。
 「なんだよ、俺の体に興味あんの?」
 スラックスのバックルにも手をかけ、脱ぎ捨てようとした司だったが、自分の体を凝視しているつくしを面白そうに嗤う。
 「……それ」
 だが、つくしの声音は、他の女たちのような媚びも欲情も含んではいなくって…、ただ一点、フィリピンで負った怪我を覆う白い包帯を凝視するばかり。
 「あ?それ…って、これかよ」
 シャワーを浴びるつもりで、包帯に手をかけた司に、つくしが絶叫する。
 「やめて!」
 「……」
 「やめて、見たくないのッ。お願い」





◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ





↓ランキングの協力もよろしくです♪
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ 💛 
いつも応援ありがとうございます^^!

web拍手 by FC2






関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【アネモネ012】へ
  • 【アネモネ014】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【アネモネ012】へ
  • 【アネモネ014】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク