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「アネモネ…全171話完+α」
第一章 Change the World①

アネモネ005

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 …ちょっと、冗談じゃないわよ。
 つくしの正直な感想だった。
 一瞬動揺が見えた気がする西田だったが、その生真面目で無表情な顔は、とても冗談を言っているようにはもちろん見えない。
 …ちくしょう、こういうことだったってわけなのね。
 魔女がどうの、誰それの力がどうの…それ以外の第3の理由がそこには含まれていたのだと、つくしは今更ながらに気が付く。
 そういえば、警視総監も意味深なことを言っていたではないか。
 『道明寺代表は、小柄な女性を好んでらっしゃると聞いてるよ』
 実際のところ、本当に司の好みがそうであるのかはつくしにも知りえなかった。
 さまざまに流れてくるゴシップの女性たちには、とりたてて司の好みを知りえる特徴や共通点などないようにも思える。
 けれど、確かに、女性の警護官は、SP全体のわずか5パーセントを占めるに過ぎない。
 ましてや…司の興味を惹けるような若い女はさらに少なかった。
 …ていうか、護衛してもらうのに好みとか、そんなのありえないでしょうッ!
 「……」
 額を抑えて俯いてしまったつくしを、西田はいったいどう思っているのか。
 彼自身も司に負けず劣らず多忙であるだろうに、彼女が二の句を継ぐのを黙って待っている。
 「…まさか、本当に警察官の私に娼婦まがいのことをしろと言うつもりじゃないですよね?」
 「もちろん、代表はそのようなことを望まれたわけではありません」
 「当り前ですッ!」
 反駁する語調は、自分でも思わぬほどに強かった。
 先ほどからつくしの頭には、一つの言葉がずっと渦巻いている。
 …ふざけんな、ふざけんなっ、ふざけんなッ!!
 これでうっかり西田が肯定でもしたら、その場で司張りに暴れ出したかもしれない。
 「ですが…、双方合意の上でならば、問題ないと私は申し上げておきます」
 「は?」
 「必要ならば…どのような手段であれ、代表のご無事を第一優先していただくことはやぶさかではございません」
 「じょッ」
 …冗談じゃないわよッ、そう言って立ち上がりたいのに、西田はあくまでも真剣だった。
 「それだけ、逼迫した事態なのです」
 「……」
 「実際に、代表と夜を共にされていた女性は命に別状がなかったとはいえ、かなりの重傷を負われました。殺害ではなく誘拐すると予告している相手です。代表本人はよもや殺されることはないかもしれません。しかし、被害は代表お一人に留まりません」
 「…つまり、彼と一緒にいる一般人にも被害が及ぶ可能性があると?」
 「及ばないと思われますか?」
 ないわけがなかった。
 ましてや、日本より危機管理体制も強固なアメリカにいればいいものを、わざわざ危険を顧みず…いや迷惑も考慮せず、平気で日本に乗り込んでくるような男なのだ。
 他人を巻き込まないために…と誰が言おうとも、そうそう自分を曲げないだろうし、そうであれば当然被害を蒙るのは周囲の者たちだった。
 だから、女性の警護官。
 だから、因縁浅からぬ『牧野つくし』だったのかもしれない。
 …うがち過ぎなのかな。
 「牧野さまには、代表が日本滞在中宿泊する施設での寝食を共にしていただくことと、もっとも身近にて警護していただくことになります」
 「…はい」
 任務なのだ。
 否やなど言えるはずもない。
 「警護に際して、場合によっては、パーティでのパートナーなど、一見警護官だとはわからないように行動していただく場合も出てくるかと思います」
 「…わかりました」
 学生時代、司がNYに渡米してからもF3らとの交流を拒まず続けていたつくしには、テーブルマナーや社交術などの覚えがある。
 もしかしたら、本当に、因縁などではなく、そうした素養も考慮されての今回の司担当への抜擢だったのかもしれなかった。
 
 …絶対に、夜の相手なんかはごめんだけどね。
 もちろん、そんなことをこの日本で強要できるはずもない。
 今思えば、警視総監も案に示唆していたようにも思えなくはなかったけれど、命じるほどには面の皮は厚くはなかったのだろう。
 それに司にしても、よほど見境なく女に襲い掛かるような手合いにでもなったというのならばともかく、女に不自由しない男なのだ。
 わざわざ色気も凹凸も乏しい彼女に、手を出すほど飢えてるはずもない。
 「では、警護の開始はいつからに?」
 今日は護衛に先だって、社屋内やこれから司の滞在予定地の宿泊施設を視察して、警護計画をつくしなりに組み立てるつもりだった。
 けれど、その護衛対象である司が、本来の予定を繰り越して到着してしまったのだ。
 …まったく、それならそうと課長も情報回してよね!
 ここにはいない上司へと心の中で悪態をつく。
 だが、先ほどオフレコで…と告げられたフィリピン滞在中の事件により、道明寺サイドの関係者以外に緘口令が引かれていたことが思い当たる。
 そうだとすれば、司の護衛には日本国家の威信がかかっていると言うのに、警察もずいぶん侮られたものだった。
 …お国に守ってもらおうってくせに、怠慢つーか、お願いする立場わかってないんじゃないの?
 つくしは憮然とする。
 「今、これから代表には引き合わせていただけるんでしょうか?現在、ついているボディガードの方たちとも共同戦線を張らなければならないので、紹介していただきたいのですが?」
 「…それが」
 西田が口ごもる。
 「急な予定変更はコレっきりにしてくださいね。護衛対象者がいる以上、仕方がありませんが、後手後手では守ろうにも守りきることができませんから」
 「…なら、帰れよ」
 耳に心地よりバリトンの声音が皮肉に揶揄る。
 いつの間にか、西田との会話に夢中になっていて、他のことに気が回らなくなっていた。
 …やだ、こんなことじゃ、警護官失格だよ。
 そうは思いつつ、実際に警護対象者が目の前にいて仕事モードになっていれば、そんな失態を侵す彼女でもなかったのだが。
 「俺は言ったはずだぜ。国の飼い犬なんかには用はないってな。俺の命令で動かねぇ兵隊なんか、お呼びじゃねぇんだ。お引き取り願おうか?」
 痺れたように思考が上手くまとまらない。
 意図してゆっくりと振り向いた視線の先…12年ぶりに相対する美麗な男が、さきほどすれ違った時と同じく、無関心な冷たい顔でつくしを見据えていた。





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