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「アネモネ…全171話完+α」
第一章 Change the World①

アネモネ002

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 滋と桜子も後から加わり、久しぶりに集まった気の置けない仲間との時間は和やかなままに終わりを迎えた。
 いささかふらついたつくしを、類が支えて車へと誘導する。
 「…ん、タクシ―呼ぶから飲酒運転はダメよ?」
 「平気、俺、飲んでないし」
 あらかじめそのつもりだったのだろうとは思っていた。
 いつもは運転手付きの車で移動する類が、自分の運転で現れたのだから。
 「それだけ飲んだってことは、明日非番なんだよね?」
 「…まあね」
 部署転換、新しい職務への着任への期間、数年ぶりになる有給を貰った。
 とはいえ、呼び出されれば休日問わず朝も夜もなくの職務だった。
 それでも、他の部署に比べれば呼び出される可能性はほとんどないだろう。
 「刑事でもよかったんじゃないの?」
 来る時には避けた運転席に類を座らせ、つくしは助手席のドアへと寄りかかった。
 「…そうだね、あたしもそう思ったんだけどね」
 気が付けば走り出していた。
 しかし、望んだ部署…警視庁警備部警護課の要人警護には一定の基準があって…。
 「まさか、本当に異動出来るとは思ってなかったな」
 「そう?逆の意味で異例だとは思うけど。あんたこれでもキャリアのエリートで、3カ国語堪能の才媛でしょ」
 「ぷっ、才媛って」
 自分にもっとも縁遠い形容詞に、思わず噴出してしまう。
 けれど、つくしを見た類の目は至極真面目で、全然フザけたところなんてなくって。
 その眼をいつまでも見ていることがなぜか息苦しかった。
 だから、視線を車窓の向こうへと反らし、話を変えた。
 どの道、以前から気になっていたことではある。
 「…ねえ、もしかしてって思ってることあったんだけど」
 「なに?」
 「セキュリティポリス(※本来の意味のSP。日本の警視庁警備部警護課で、要人警護任務に専従する警察官を指す呼称)になるにあたって、あたしがどんなに努力してもどうしても越えられない壁があった」
 「そうだね」
 「身長173cmの壁。格闘技や射撃はまあ、なんとかこなせたけど、これだけはあたしにはどうしようもなかった…それなのに、今回の異動ってもしかしてあんたたちの誰かが手を回してくれちゃったわけ?」
 「……」
 いつの間にか、つくしの住んでいる警察官舎の独身寮付近へと辿り着いていた。
 人目を気にするつくしの為に、類は寮から一区画離れた空き地に車を停車させる。
 いつもの荒れ狂うような運転とは異なって、スムーズな停車だったが、いまのつくしにはそんなことに気が付く気持ちの余裕がなかった。
 「いくらなんでも、俺にそんな力はないよ。…それができるとしたら」
 二人の脳裏に同じ名前が浮かび上がる。
 「…でも、今の司にそんなことをする理由があるとは思えないから、おばさんの方かもね」
 「魔女が?それこそ、そんな理由思いつきもしないんだけど」
 つくしもチラリとは考えたことがなくもなかった。
 けれど、あの道明寺楓が?
 「もしかしたら…」
 「え?」
 「もしかしたらなんだけどさ」
 「うん」
 「昔、1年間の猶予をあんたにくれるって約束したことあったじゃん」
 つくしが寄りかかっていたドアから身を離し、類を振り返る。
 「結局、あの時は司があんな状態だったし、親父さんのこともあってご破算になった」
 「……」
 「そのかわりっていうんじゃないかな?」
 「それこそ、まさかだよ」
 ガチャリ。
 「牧野…」
 「ありがとう、送ってくれて」
 ドアを開けて、外へと降り立つ。
 春先の空気はまだ少し肌寒くて、でも花の気配がほんのり香って気持ちいい。
 …結局、道明寺とは春を一緒に過ごすことがなかったな。
 なんて。
 今更何を言ってるんだと、おかしくなって、つくしはふふふ、と酔いに任せた忍び笑いを洩らす。
 「ま、どっちでもいっか。きっかけはともかく、いまのあたしには関係ない話だしさ」
 「関係なくもないでしょ?今度、あんた、司の担当につくことになってるんじゃないの?」
 「…やだな、それって国家機密の一つなんですけど?」
 ねめつけるつくしにも、類は飄々としてる。
 昔からこの男友達は、そんな男で、何を考えているのかわからないのに、つくしにだけはひどく優しい。
 今もほら…。
 「あんたが辛いんだったら、俺がなんとでもしてあげる」
 「…警察に手を回す力は、あんたにはないって、いまさっき言ってなかったっけ?」
 「そりゃあね。ほら、蛇の道は蛇っていうじゃない?」
 「…あたしにそれを言うか」
 つくしは手に持ったハンドバックをブンブン振り回して、ヒラヒラと類へと手を振り踵を返す。
 「送るよ!」
 「いいよ。ここらで痴漢行為働くつわものもそういないし…そもそも、そんなの撃退できないとかシャレにならないでしょ?」
 「…俺が送りたいだけだとか思わないわけ?」
 けれど、類の呟きはもうつくしの耳には届いていなかった。
 角を曲がって開けた公園の隅、夜目に鮮やかな白い花が目に眩しかった。
 「…桜、か」
 けれど、奇妙につくしの目に、その美しさは不吉に思えた。
 美しすぎるものは、普通の人間には厭わしく…不吉なものなのかもしれない。
 厭って排除せずにはいられないほどに。
 花のざわめきが女の悲鳴に聞こえて、つくしはゾッと身を震わせた。
 長く引き攣るそれは…彼女自身の悲鳴だったのかもしれない。
 「…まさか、あんたに会えるなんてね」
 願っていたとはいえない。
 望んでも叶うはずもない望みを持ち続けるほどの強さなど持ってはいなかった。
 それでも…いつか、もう一度再会することがあったならば。
 もうあの悪夢を繰り返し見なくても良いように…。
 あの日の後悔を、もう二度と繰り返したくないのだと、ずっと思い続けて。
 「今度こそ…」
 その先は、つくしの心の奥底。
 もう呟きは、その口から零れることはなかった。





 天にも届くのではないかと思われるほどの高さでそびえたち、あまたの企業を見下ろす威容を誇る建物の前に立ち、つくしは片手を翳して、強い日光を遮った。
 「すごいいい天気だよね~。こんな日に、内勤とかなんだか悔しいかも」
 まあ、場合によっては外回りになるだろうから、それほど悔やむこともないのかもしれない。
 出入りの激しい玄関ドアをくぐり、まるで彼の超高級ホテル・ザ・メイプルを思い起こす豪奢さと、機能性を併せ持つホールをぐるりと見回す。
 視線の先、いかにも超一流企業に勤めるに相応しい佇まいの受付嬢を発見した。
 歩み寄り目が合うとニッコリ微笑み、美しくも丁寧な態度で応対してくれる。
 …さすがは、道明寺ホールディングス。
 「いらっしゃいませ」
 声をかけられて、迷ったものの、つくしは警察手帳を出さないことにした。
 こんなところで、そんなものを出したりしたら何気にあまりよろしくないことなのは、さすがにわかる。
 小さく会釈を返して、
 「すいません、私、牧野つくしと申します。道明寺代表の第一秘書の西田さんとお約束をしているのですが」
 「西田でございますね、少々お待ちください」
 受付嬢が確認の連絡を入れる間、ぼんやりと見るともなく周囲を見回す。
 …こんなところで、これから道明寺は戦うんだ。
 たぶんNYでも同じような社屋があるのだろう。
 聞くところによると、NYの方が本社だというからもっと立派なのかもしれない。
 …あの頃のアイツを思えば、なんだか信じられないかも。
 ザワザワ。
 ワ―――ッ!!
 いきなり、騒然とした声が聞こえて、何事かと振り返る。
 …なに?何か事件でもあったの?
 間近で立ち話をしていたビジネスマンたちに、外から走ってきたらしい同僚らしい男性が声高に耳打ちする。
 「た、大変だ。代表が、出社なさったらしいぜ」
 え?





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3/22~3/23のコメント返信について

こんにちは^^
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