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「昏い夜を抜けて…全483話完」
第六章 固執②

昏い夜を抜けて272

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 「…そうでしたの、総二郎が」
 ほほほと優雅に微笑む家元夫人は、最初の冷たい印象を払しょくして、ただ息子を心配する一人の母親だった。
 あることあること?つくしに暴露されて、一人手酌で酒を飲む総二郎はふて腐れ気味だった。
 「…西門さん、あまり飲まれては」
 心配する優紀にたしなめられて、平気平気と手を振る。 
 「俺はザルの域だから、一升や二升飲んでもどうってことないから、気にしないで?」 
 「そう言って、高校生の頃から学校の裏庭でお酒持ち込んでたものね」
 「まあ」
 驚く家元夫人の声に、総二郎が苦虫を潰した顔でつくしを睨む。
 「おい!牧野ッ」
 「…男の子は大きくなると何も話してくれなくなって。牧野さんや松岡さんから、息子のことを伺って、驚くことばかりですよ」
 そう言いながらコロコロと笑う夫人は本当に嬉しそうだ。
 …お金持ちの奥様ってだけで、偏見だったな。
 改めてつくしは申し訳なく思う。
 けれど総二郎と夫人の間で直接的な会話はほとんどなく、あくまでも他人行儀だ。
 男の人は大きくなると、家ではあまりしゃべらない、という典型なのだろうか?
 「牧野、お前、明日も仕事だろ?」 
 「あ、都合悪くなったから追い出すつもりだ」
 「まあ」
 「…つくしったら」
 女性陣に押されてタジタジの総二郎は、それでも開き直って立ち上がった。
 「何とでも言え。これ以上、あることないこと吹聴されて堪るか。…優紀ちゃんも、明日仕事だろ?」
 「はい」
 「家元夫人も、自分が一般の人たちとは違う時間の流れの中で生きてるからって、あんまり引き留めないでやってください」
 「…そうね、つい楽しくて時間を忘れてしまったわ。牧野さん、松岡さんごめんなさいね」
 「いえ、あたしの方こそ、楽しくてついつい、いつまでもすいません」
 「とても、楽しい時間をありがとうございました」
 それぞれに頭を下げて、ソファから立ち上がる。
 年齢は違えど女3人が集まれば姦しい。
 気が付けば、夕食を食べ終わって、そのまま飲み会へと突入して、そろそろ22時も過ぎていた。
 確かに、よそ様のお宅にお邪魔しているには非常識な時間帯だった。
 「…うちで暇してる人だ。2人とも気が向いたら相手してやってくれ」
 申し訳なく思っていたつくしと優紀に、総二郎が気を声をかけてくれた。
 もちろん、家元夫人が暇なはずなどない。
 多忙な家元の補佐、広大な邸や使用人の管理、付き合い、弟子たちの世話等、様々な雑事を抱え、当の家元本人や総二郎たちよりもよほど忙しいだろう。
 
 「ええ、本当に。ぜひ、またお夕食などもご一緒してくださいね」
 柔らかく微笑む家元夫人も、失礼な息子の言葉を否定せずに素直に頭を下げる。
 顔を見合わせて、慌てて二人も頭を下げる。
 「こ、こちらこそ」
 「…はい、ありがとうございます」





 優紀の関西時代の恩師が、家元夫人の親しい友人だとかいうことで渡したいものがあるからと引き留められ、総二郎とつくしの二人は車の前で優紀を待つことになった。
 「いいよ、西門さん、わざわざ見送ってくれなくても。もう部屋に戻りなよ」
 恐縮するつくしをスルーして、総二郎は両腕を組んで背中を柱に預ける。
 「…悪かったな、お前の悩みでも聞いてやろうかと思ってのに、逆にお袋の相手をさせることになっちまって」
 「なんだ西門さん、ちゃんと言えるんだ?」
 総二郎が呟くように言われたつくしの言葉に首を傾げた。
 「なんだよ?」
 「いや、家元夫人なんて他人行儀な言い方してるからさ。お袋…って今言ってるの聞いて、安心したって言うか…」
 言いかけて、下手なことを言ってプライドを傷つけてしまうのではないかと曖昧に口ごもる。
 「まあ、俺もいつまでもガキじゃねぇってことだな」
 「……」
 「この年になると、親にも親の苦しみや、哀しみってものもあるのがわかってくるからな」
 「…そうだね」
 「お前、今、親、東北だっけか?」
 お鉢が回ってきた藪蛇に、つい俯いてしまう。
 「おまえんち、確か家族仲良かったんだろ?」
 「…類から聞いた?」
 「いや、司」
 「そっかぁ」
 あとを続けずらい。
 「今、うちもいろいろあってさ。あたしも親とは距離置いてるの」
 「…ふぅん」
 「弟は東京なんだけど、近々仕事で海外に赴任することになってる」
 「お前は?」
 総二郎の目が、ガラになく心配そうだ。
 …やだな。
 そんなにあたし顔に出てるのかな。
 いかにも不幸を背負った女だって?
 「あたし…は、別に」 
 「類と行くのか?」
 類と?
 思わぬ人から思わぬことを言われて、茫然と顔を上げる。
 「あいつ、婚約解消しただろ?婚約者と」 
 「……」
 「あきらもそうだが、類のことだ、いつまでも日本にいるわけじゃねぇよな?」 
 「あたしより、西門さんの方が詳しんじゃないの?」
 曖昧に頷く総二郎も、心当たりはあるようだ。
 「まあ、聞く範囲では夏頃、ヨーロッパにいる類の親父と交代すんじゃねえかって話だよな」
 「……」
 類からもそんな風に聞いてはいたが、あくまでも企業秘密だ。
 だが、どちらにせよ、今のままではいられないだろう。
 「類と生きて行くのか?…あいつのうちの状況を考えると、司の時の二の舞かもしれねぇぞ?」





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