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それぞれの愛情のカタチ…8話完

それぞれの愛情のカタチ01

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それぞれの愛のカタチ

 CPはあきら×つくし。
 原作最終話司がNYに旅立ち、紆余曲折に末に、二人別れて別々に道を進んでいる設定。
 司とは納得づくの別れだったものの、つくしのダメージが大きく、それを支えたのがあきら。
 二人は数年の交際を得て結婚。
 3サイト合同企画『ma chérie』の「君に贈るたった一つの言葉」の前作的お話。
**********


 「え?海外出張?」
 「ああ。一か月くらいかな。今回はちょっと長期だから、良かったら実家に帰ってたら?」
 屈んでつくしにネクタイを緩めてもらいながら、あきらが優しく微笑む。
 その甘い眼差しに熱くなる頬を自覚しつつ、順当に彼の世話を焼いてゆく。
 本当は、あきらは世話を焼くタイプで、焼かれる男ではない。
 それでもつくしに世話を焼かせるのは、どちらかといえば長女気質で世話を焼かれるより世話を焼く方が得意な彼女のためだ。
 心のどこかで、あきらの稼業やあきら自身の立場の助けになれない自分を卑下しているつくしを、彼は気が付いている。
 いつも、細やかな気遣いでつくしを包みこみ、幸福に耽溺させてくれるあきら。
 今も…。
 「俺がいないと、お袋や妹たちのラブラブ攻撃の集中砲火だからな。お前、身が持たないだろう?」
 「…うん、そんなことないよ。ありがたいし、あたしもすっごく嬉しいから」
 それは本当のことだった。
 一般家庭から嫁して、なんのバックも教養もなく、突出した取り柄もないつくしを美作家の人々は温かく迎え入れてくれた。
 3年前、司と別れたばかりのつくしは本当にボロボロだった。
 司と激しくもジェットコースターのような恋愛は、互いの心を互いへと残したままに唐突に終わり、つくしに修復しがたい傷と、恋愛に対するトラウマを残した。
 …道明寺ホールディングス、倒産の危機。
 すでにその前からその予兆はあった。
 そもそも、司の母楓は、けっしてつくしを認めてはいなかった。
 だが、司の情熱に諦めただけ。
 益にはならなくても、害にもならないつくしを積極的に排除することは辞め、ある程度受け入れていたのではないかと思う。
 だが、それも道明寺家が安泰であればこそ。
 司に責はなかった。
 もちろん、つくしにも。
 約束の4年のち、どうしても日本に戻ることがかなわなかった司のために単身渡米していたつくし。
 1年余りすごしたNYはどうしても馴染めなかった。
 一つには、単純に言葉も習慣も不慣れな外国生活が辛かったこともある。
 だが、サポートしてくれるべき司がほとんど海外出張の連続で、誰一人知る人もいない孤立無援状態での生活は苦しすぎたのだ。
 司にはありあまるほどの財力がある。
 だから、生活はもちろん困るどころか贅沢すぎる状態。
 だが、司のためだけに渡米したつくしには、何もやることがなかった。
 道明寺家からは、花嫁修業的なことをもちかけられてもいたらしい。
 けれど、彼女を想いやった司がすべてそれらを拒絶。
 そうなると司がいなければ、そこに存在するべき理由も、意義さえも見つけられなくなったつくしが倦み疲れてしまったのも時間の問題だった。
 いつもぼんやり窓の外を見て、司が帰るのを一人待っていた記憶ばかりが残る。
 大学まで出て、ろくに社会にも出ず、いったい自分は何をしているのだろうか、と。
 かつて、何も『自分』というものを持たないまま、静を追いかけて単身フランスに渡仏し、挫折することになった類が言っていた。
 『静のために何もしてやれない』
 当時の彼の屈託が身に染みた。
 そして、待ち望んだ二人の永遠の時間は結局訪れず、司の政略結婚という幕切れですべては終焉。
 つくしは失意のまま単身帰国した。
 最後まで、司はつくしと別れることを拒絶していた。
 だが、状況が許さなかったのだ。
 そして、もうつくしには傍にいてくれない司を支えられる気力も、愛情も…枯渇しすぎていた。
 花は水や陽の光を与えなければ、いずれは枯れてしまうもの。
 たとえ雑草でも、やがては萎れ、地に倒れ伏す。
 そして、そんなつくしを拾い、陽にあて水をやり、肥料を与えてくれたのが、あきらだった。
 日本に帰ったばかりの頃、NYでの生活が嘘のようにつくしはがむしゃらに働いた。
 どこでも良かったはずの就職先。
 この時ばかりは、あきららしくもない強引さで美作商事へと引き入れられた。
 あとから聞いた話だと、NYでのつくしの様子を、あきらばかりか総二郎や類、滋や桜子、もちろん優紀もひどく心配していたらしい。
 だがその頃、総二郎には跡目相続の件でゴタゴタが襲い掛かっていたし、類はフランス転勤で日本にいなかった。
 滋は実家の石油事業の拡大でアラブへ。
 桜子もドイツ人の実業家と電撃結婚を果たし、つくしを心配しつつもドイツへ。
 優紀もまた、それほど遠距離ではないとはいえ、地方への転勤でつくしのすぐ傍にいることができなかったのだ。
 そして、唯一つくしの傍に残っていたのが、あきら。
 いずれは海外赴任も視野に入れなければならないにしても、あきらはまだ日本にいて、失意のつくしを何くれとなく気にかけ、傍にいてくれた。
 気が付けば、失恋の痛みだけではなく、無茶な仕事ぶりの影響で、日に日に憔悴してゆくつくしをあきらが支えてくれたのだ。
 『…俺を一番に愛していなくてもいい。俺がお前を支えたいんだ』
 そんな言葉から始まった交際。
 気が付けば、トントン拍子に話は進み、『結婚』にまで話は発展していった。
 そこには、そろそろ海外赴任への布石が本格化して、1年の大半を海外出張に明け暮れなくてはならないあきらの事情もあった。
 おそらく、司とのNYでの生活があきらの念頭にはあって、かつての雑草の強さを失っているつくしを、何の約束らしい約束もなく放置できないという思惑もあったに違いない。
 あれだけ…あれだけ長く深く付き合い続けていながら、つくしと司は結局口約束以上の何ものの関係もなく終わってしまったのだから。
 そして…今、つくしは『美作あきらの妻』という立場に収まり、彼の実家で姑や義妹たちとの同居生活を送っている。
 サラリと前髪をかき上げられる感触に顔をあげると、心配そうな顔のあきらが覗き込んでいた。
 「…どうしたんだ、つくし?」
 「あ、ごめん、ついボウッとして」
 「仕事、キツイんじゃないか?以前ほど無茶な仕事ぶりじゃないみたいだけど、お袋が心配してたぞ」
 「はは…お義母さんは心配性だから。約束どおり無理はしていません」
 小さく微笑み返すつくしの顔色に顔を顰めて、あきらが額に手を当てる。
 優しい仕草には慈愛が満ちていて、こんな時、つくしは自分が幸せだと強く自覚する。
 あきらの柔らかな温かさを持つ手の感触にうっとりと身を任せ、そっと甘えるように逞しい肩に頭をもたれて寄り添うと、それに応えて緩く抱きしめてくれた。





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