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「百万回の微笑みを愛の言葉にかえて」
第二章 熱い想いと見守る愛と

百万回の微笑みを愛の言葉にかえて040

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つくしSIDE)

 髪を撫でる優しい感触にうっとりと身を任せる。
 優しい温もりが、背を撫で腰を撫で、再び背に戻ってゆく。
 …温かい。
 その幸せな感触に、ついふふって笑ってしまいそうになってしまった。
 頭のてっぺんに、吐息が触れて、チュッ、て音がした。
 …チュ?
 急速に覚醒してゆく意識。
 …ちょっと待って、あたし、どうしたんだっけ?
 夢かと思っていたのに、あたしの体は何か大きくて温かいものに拘束されていて、身動き一つできないっ!?
 …落ち着け、あたし。
 背中を撫でる感触は、まだ続いている。
 目の前の壁が…なんなのか。
 正直、まったく理解したくないと、脳停止しかけている。
 「…目、覚めたか」
 「ふぎゃあああっ!」
 かけられた低い声に、悲鳴を上げて身をもぎ離す。
 …つもりだった。
 「な、な、な、なっ!?ちょ…もごもごっ!!」
 文句を言おうとするも、強い力に抱きすくめられて、胸元に顔を押し付けられて、逆に窒息死しそうだ!
 …離せっ!!
 …死ぬっ!!
 …苦~じぃ~っ!!
 「ん~、んっ!!は…むぐ…せっ!!」
 「…あ?何言ってんかわかんねぇよ」
 クスクス笑い含む声に、ムカッとむかっ腹がたった。
 ドフッ。
 「うげっ!」
 何とか引き出した右手で横っ腹に拳を叩きこみ、
 「ひ~、ぜ~、あ、あんたって人は…、ふぅ~」
 痛みに力が緩んだ隙に、道明寺のデカい体から抜け出そうともがく。
 …がっ。
 「逃すかっ!」
 「ぎゃっ!ちょっとっ!!」
 長い両足にあたしの足が挟まれちゃって、どうにも逃げられない。
 再び両腕ごと背中を抱きすくめられて、身動きがとれなくなってしまった!
 「…逃げんなよ」
 「逃げるわよっ!この恩知らずっ。何がどうなって、この状況なのよっ。この変態ッ」
 生まれて初めて(じゃないのかもしれないけど)男の人に抱きしめられて、…しかも布団の中とか言う飛んでもない状況に、頭が半分パニックだ。
 力強い腕の感触や、ふんわり香るコロンの香、首筋にあたる男の人の吐息。
 それらすべてがあたしを発狂させそうになって、もう混乱して頭の中が爆発しそうだよ。
 濡れた柔らかい感触が、首筋に触れて、体が強張った。
 ちゅう~ッて、吸われて、ツキンとした痛みが走る。
 さっきまで長閑な雰囲気だったのに、急に道明寺の気配が変わったのがわかる。
 まるで飢えた獣のような…あたしの知らない濃厚な何かを含んだ気配に真っ青になった。
 やだっ、怖いッ。
 ただ、それだけ。
 滅茶苦茶に暴れ出したあたしを、道明寺が抑え込む。
 「いやっ!離してよっ」
 たぶん、半分涙声になってたんだと思う。
 「……これ以上何もしないから、暴れるな」
 「だ、だって!」
 「我慢してんだから、これ以上煽ると、理性が強えぇ俺だって何すんかわかんねぇぞ」
 何って何?
 言われてることの半分以上が理解できない。
 でも、言う通りにしないと怖いことが起こるって、それだけはわかった。
 ピキンと固まったまま、我慢する。
 ギュッと抱きしめられた腕から、徐々に力が抜けてきた。
 「…ふぅ」
 大きなため息が頭の上で一つ。
 「わりぃ」
 小さく呟かれて、頭をポンポンってされた。
 そろそろと、道明寺の胸に手を置いて、体を起こす。
 道明寺の様子を伺うと、片腕で目を隠していて、その表情が見れなかった。
 「……だよ」
 ポツンと呟かれた言葉に、抜け出しかけていた体が止ってしまう。
 …なんでだよ、どうしてだよ。
 そう小さく繰り返す道明寺の言葉に、胸が痛んで軋んだ。
 今まで記憶がないことで苦しんでいるのはあたし一人だと思っていた。
 数年間を忘れてしまって、たくさんのことを失ってしまっていた。
 それでもなんとか周囲に順応してゆき、一度は忘れてしまった人たちともまた交流を始めることができた。
 友達は…もう一度関係を始め直しても、また友達になればいい。
 両親や高校に入る前の友人関係は皆憶えてる。
 そんなあたしだったから、周囲の人たちも、きっとそんなに深刻に悩んでるなんて思ってなくって、あたし自身も、そういう風にあえて振る舞ってた。
 …だって、思い出せないんだもん、クヨクヨしてたって仕方がない。
 確かにその間の記憶がなくっても、ほとんど支障がないんだし。
 自分の中でも記憶を取り戻すことに、諦める気持ちが混じりだしていたことも自覚していた。
 それで哀しむ人がいるなんて思っていなかった。
 道明寺があたしの恋人だったことは、初日からわかっていた。
 けど、その恋人のはずの道明寺は遠いNY。
 いつしか、その関係も彼の冗談なんじゃないか。
 あるいは、そんな深刻な付き合いじゃないんじゃないか、なんて、勝手に思ってたのかもしれない。
 それが、急に日本に帰って来て、突然同居だとか言って押しかけられた。
 最初は戸惑ったけど、それでも会う機会はそんなになかった。
 あたしが寝ているうちに帰って来て、また寝ているうちに家を出てゆく。 
 やっぱりあたしにとっての道明寺は、リアルな人じゃなかったんだと、今、気が付いた。
 …あたしの言動で哀しんだり、苦しんだり、ましてや傷つくなんて思ってもみなかったんだよね。 
 あたしが何を言っても傲慢に、自分の言いたいことだけを言う人なんじゃないかって思ってた。
 けど、あたしを抱きしめて撫でてくれる手や腕がすごく優しくて。
 あたしを好きだって言うのは、冗談や気紛れなんかじゃなくって、本当なんだって、…やっとわかった気がする。
 でも、だからってあたしの気持ちまで急にそれに順応しきれない。
 それなのに、顔を隠してしまった道明寺の顔から視線を離せない。
 今、あなたはどんな表情してるの?
 どうして、そんな哀しそうに呟いたりしてるの? 
 「…道明寺」 
 「かっこわりぃな」
 「え?」
 「俺の前で無防備に寝てるお前を見てたら、我慢できなかった」
 「……」
 「こんなに近くにいるのに、お前が遠い。…俺がNYに行ったのは、俺を他人みたいな目で見るお前を見るためだったのか?」
 「……」
 道明寺が顔を隠していた腕を離して、あたしを見る。
 その真剣な目に、ドキリと心臓がなった。
 視線が離せない。
 ドクドクなる心臓が、破裂しそうで顔が熱いッ。
 スーッ。
 襖が開く音に、顔を上げた。
 「ただいま~、つくし。道明寺様のご様子はどぅお?」
 「……」
 驚愕するママと視線が合う。
 ママとあたしの声が見事にハモった。
 「「ひっ」」
 あたしったら、あたしったら!
 よりによって、男の胸の上に乗りあげて抱きしめられちゃってるよっ!!?





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