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「百万回の微笑みを愛の言葉にかえて」
第二章 熱い想いと見守る愛と

百万回の微笑みを愛の言葉にかえて035

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類SIDE

 「え?司、牧野のうちに居候してるの?」
 ありえないことではないけど、思い切った行動に出た司に思わず驚かされてしまう。
 ショーウィンドーのケーキの前。
 どれにしようか真剣に迷って、唇を尖らせた牧野の顔に、フッと笑いを誘われてしまった。
 なに?
 と、キョトンと問いかけられて、首を振る。
 どうせ、仔犬みたいだとか言ったら、また怒られちゃうんだろうし、こういう時には黙っている方が吉だと、いつの間にか学ばされていた。
 「…どうなるかと思ったけど、これが案外馴染んでるのよね」
 「馴染んでる?」
 「…まあ、どうしたって違和感あるから、馴染んでるって言うのとも違うかもしれないけどさ。コテコテのお坊ちゃまのくせに、うちみたいな家で全然平気みたい」
 まあ、牧野は不思議そうだけど、俺にしたらそんなに不思議でもなかった。
 確かに、普段の司からは牧野の家ほど隔たった場所もないけど、牧野至上主義だから、それこそトイレに住むことになったって、司は躊躇しないだろう。
 「何度か、今までも泊まったことがあるはずだしね」
 「え?そうなの」
 「うん、俺も詳しくは知らないけど、牧野の住んでいた部屋の隣に部屋を借りて住んでたこともあるはずだよ?」
 「…へえ?」
 疑問符だらけの顔の意味は俺だってよくわかる。
 牧野と司の歴史は、それこそ語りだしたら語りつくせないほどにいろいろあるし、俺としてはそれを俺の口からわざわざ牧野に教えたいとも思えなかった。
 …二人のことは、司に任せておけばいいと思う。
 司だって俺から牧野に語って欲しいとは思っていないだろうしね。
 「決まった?」
 「…うん、ガトーフレーズにしようかな。類はどれ食べる?」
 「俺?牧野はどれと迷ってたの?」
 「ん、モンブランもいいかなって」
 「じゃ、モンブラン」
 また迷いださないうちに、さっさと注文して席へと移動する。
 「半分こしよ?」
 「ええ?いいの?」
 嬉しそうな牧野の顔がすごく可愛い。
 迷うくらいなら二つ食べればいいのに、俺がそう言うと、
 「だって、太っちゃうもん」
 そういうところは、女の子なんだなって思う。
 牧野は勝気だし、あまり飾りっけがないから総二郎なんかは色気がないとかバカにするけど、逞しかったり強かったりするのは彼女の正義感で、たいていは女の子らしいところが一杯ある。
 「それで結局、司は牧野と二人で寝てるの?」
 「ええっ!?」
 「いや…そんなに驚かなくても」
 二人で住んでるって言われても別に驚かないけど、牧野にしたらとんでもないことなんだろうな。
 けど、聞いてみたはいいけど、俺はあまりその答えを聞きたくなかった。
 肯定されたら…けっこうショックだし、否定されて気持ちが明るくなる自分を自覚するのも嫌だった。
 「…そんなわけないでしょ。その…進を間に挟んで川の字になって3人で寝てるよ」
 「へえ?川の字?」
 面白い表現に、噴き出してしまった。
 「最初は、みんなで雑魚寝させれば無理だって帰っちゃうかなって思ってたんだけど、けっこうそれが平然としててさ」
 「…だろうね」
 「でも、さすがにちょっと気の毒だし…まあ、それでさ。そういえば、類も平気だよね?」
 「ん?」
 「あたしのうちなんて、あんたみたいなスーパーお坊ちゃまからしたら、それこそ犬小屋…みたいなんだと思うけど、平気で入って来るし、ご飯とかも食べたりしてゆくのには驚いた」
 「そう?」
 確かに、俺のいままでの人生からしたら、牧野のうちはカルチャーショックもいいところだった。
 けど、それこそいまさら。
 高校時代、潰れそうなアパートに住んでいたのも知ってるし、捨てられている家具を拾って、再利用しようとしていた現場に出くわしたことすらあるんだ。
 あんたは憶えていないだろうけどね。
 「でも…まあ、同居してるって言っても、夜中に帰って来て早朝に出て行っちゃうんだけどね」
 「ああ。いま、あいつメチャ忙しいだろうしね」
 「…うん、正直、疲れ落ちてないんじゃないかな」
 「心配?」
 「……そういうんじゃないけど」
 そう言いつつ、顔が浮かないのはやっぱり気になってはいるんだろう。
 「お風呂もね、一応はシャワーはついてるし浴槽もあるんだけど、道明寺さんにしてみればすごい小さいんだよね」
 「……」
 「時々鴨井とかに頭をぶつけちゃってるし、あの人のサイズって日本人の規格じゃないから、よけいに苦痛だと思う」
 はあ、と溜息をついている。
 その姿を見ているのがなんだか、嫌な気持ちになってきた。
 いや、牧野を見ているのが嫌だっていうんじゃない。
 でも、司を心配して、司のことで頭がいっぱいになっている牧野を見ているのが嫌だった。
 突き詰めれば…名残雪どころか、燻っていた気持ちがまた燃え立とうとしているってことなんだろう。
 やっぱり、失敗したかな。

 こんな時間が持てるなんて、司が帰ってくればもうないんだってずっと覚悟していたのに、牧野がこんなことになって、司は予定より帰って来たけど、デフォルト状態。
 いろいろ戸惑っている牧野の為だと自分にいいわけして、近くにいすぎたことを後悔していた。
 だが、その反面…心の奥底で少しづつ忍び寄って来る本当の望みにだって気がついていた。
 もっと彼女と一緒にいたい。
 どうしてダメなんだろう。
 きっと、司なら俺に遠慮したりいないのに。
 そう思ったりする。
 「…類?」
 「ん?なあに」
 「いや、ケーキ食べないの?」
 「いいよ、食べたいだけ食べて?」
 牧野の方へ滑らせると、困ったように首を傾げる。
 「類が食べたくって注文したんでしょ?」
 「俺、甘いもの嫌いだもん」
 「ええっ?だって、今までだって半分こしたじゃん」
 「牧野が美味しそうに食べるから、一緒に食べたいだけで、別にケーキが食べたかったわけじゃないよ」
 正直に言ったのに、何その困ったような照れたような複雑な顔。
 何気に変顔だよ。
 女の子のくせに、それだから面白くて…つい見ていたくなっちゃうんだ。
 「…変な類」





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