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「百万回の微笑みを愛の言葉にかえて」
第二章 熱い想いと見守る愛と

百万回の微笑みを愛の言葉にかえて034

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つくしSIDE)

 「つーことで世話になるから」
 デカイ男がニコニコ、不似合いな粗末な玄関先で仁王立ちに立っている。
 「…いや、その、あの」
 さっきから、パパもママもシドロモドロに、そればかりだ。
 ちょっと待ってよ?
 「あの、ちょっといまいち、理解できてないんですが」
 「敬語は使うなって言っただろーがよ」
 「…ここに住むって、誰がですか?」
 「お前、まさか頭打って記憶どころか、記憶力までなくしちまったのかよ」
 ああ、この場合は理解力か、とか言ってるのが超ムカつくんですけど。
 そうじゃなくって。
 「なんで、赤の他人…しかも男の人をうちに置かないといけないのよっ!」
 「赤の他人じゃない。俺はお前の婚約者だ」
 「受けてない」
 「じゃあ、受けろよ」
 「はあ?わけわかんないこと言わないでッ」
 「まあ、まあ、まあ、まあ」
 呆然としていた進が間に入って、あたしたちの言い争いを止めた。
 「あの…玄関先じゃなんですから、中へどうぞ。パパ、いいよね?」
 「え?あ、うん。はい。…狭いところですがどうぞ」
 「大丈夫ですよ。牧野がいればたとえ犬小屋でも気にしませんから」
 「「「……」」」
 本当に道明寺なのかと信じられないほど愛想の良い様子からして、どうやら嫌味じゃないらしい。
 …何気に失礼なんですけど。
 でも、パパやママの前ではずいぶん礼儀正しいんだ。
 誰に対しても俺様で、高慢ちきな男だと思っていたのに、意外。
 「…お前の両親だからな」
 「え?」
 いつの間にか隣に立っている道明寺を見上げていたらしい。
 整った美貌に柔らかく微笑まれて、顔が熱くなってくる。
 でも、それを悟られたくなくって、咳払いをして一生懸命意識を他へと散らせた。
 「ゴホン…あの、あたし何か言っちゃいました?」
 「いや、いつも独り言を口に出しちまうのはお前の癖なんだか、今回は言いたそうな顔してたからよ。当たってたか?」
 「……まあ」
 「さあさあ、座って下さいな、道明寺様」
 「ええ、ええ、今、お茶をお出ししますからね」
 「俺が入れましょうか?」
 「「ええっ!?いやいやいやいやいやっ」」
 とんでもない申し出に、パパとママの方が飛び上がって恐縮している。
 「意外に、上手いんですよ」
 こ、怖いかも。
 誰なのこの人?
 が…。
 「…何よ、進意外にあんた普通にしてるわね」
 「ん~、だって俺意外じゃないもん」
 「は?」
 素っ頓狂な声を出したあたしに、進が苦笑する。
 何よ、進のくせに、妙に大人びた顔しちゃって。
 実際、記憶にある弟とはだいぶ変わって、大人になってはいるんだろうけどね。
 「パパやママはまあ、いつもあんな感じだけどさ。道明寺さん、やっぱり姉ちゃんの親だと思って尊重してくれてるんだと思うよ。いつも気を使ってくれて、礼儀正しいもん」
 「え?本当に?」
 「うん。それだけ、姉ちゃんのことが好きなんじゃないの?」
 「……」





 閑話休題。
 正四角形の炬燵に、並んで座って、気まずい緊張が横たわる。
 けど、その気まずい空気を作り出している当の本人は何も感じていないんだろうな、
 上機嫌みたいで、表情が柔和だ。
 「その…お話は、道明寺さんがうちに同居されたい、そういうことで良かったんでしょうか?」
 恐る恐る切り出すパパに、道明寺が大きく頷いた。
 「ええ。俺も今は会社との往復で、中々つくしさんとの時間を取ることができません。できることなら、なるべく傍にいて俺のことを知ってもらいところなんです。でもこのままだと、たぶん5月くらいまで十分な時間をとることができない。それくらいなら、いっそ、同居させてもらって、思い出してもらうことはおいおいにしても、俺に馴染んで欲しいと思いまして」
 「…なるほど。た、確かに」
 「そ、そうですわよね。この子ったら道明寺さんのお気遣いにも関わらず、ちっとも思い出そうっていう努力もしてないですし…」
 「…しょうがないでしょ。努力でどうにかできる問題じゃないんだもん!」
 聞き捨てならないママのセリフに、つい、声を荒げてしまった。
 あたしだって、好きで記憶喪失になったんじゃない。
 それと同じで、思い出そうとはしてるんだけど、思い出せないだけなんだ。
 だいぶ環境に慣れたこともあって、普段はあまり深く考えたりしないけど、時々自分の中の空白が怖くて、真っ暗な虚無に取り込まれそうな恐怖が湧き上がってどうしようもなくなってしまう時だってある。
 知ってるはずの人を知らない。
 知らない人なのに、親しげに話しかけられる。
 こんなこと、誰に言ってもわかってもらえるはずもないから、誰にも言わないだけで、あたしだって本当は思い出したい。
 「…わかってるよ」
 隣に座った道明寺が、ポンと頭を撫でてくれた。
 「思い出せないのはお前のせいじゃない。焦らせるつもりもない。無理強いするつもりもない。ただ、俺を知ってもらいたいだけなんだ」
 「…道明寺」
 すぐに戻された視線が、パパやママに向かって頭を下げる。
 「お願いします。どの道、結婚すればこちらが実家。たびたびお世話になることもあったと思います。結婚前のお試し期間…いや違うな。お義父さんやお義母さんに、俺のことをもっと知ってもらうための期間だと思っていただけないでしょうか?」
 パパとママが顔を見合わせる。
 「「道明寺さん」」
 「…あの」
 なんとなく、道明寺の意見が受け入れられるような雰囲気になってきていたところへ、進が割って入る。
 そうだよ、進。
 なんとか言ってやってよ。
 あたしもうっかり、絆されそうになっていたところに、我に返ってホッと息を吐く。
 「見た通り狭い家なんですけど、もし道明寺さんがうちに同居されるとして、その…どうやって寝るのかなって」
 「「「はあ?」」」
 なんだか知らないけど、パパやママまで赤面して、一斉にあたしへと振り返った。
 「な、なになに、なに?どういうこと?」
 うちは二部屋しか部屋ないのよ。
 居間兼家族の寝室になってるここ、それに進とあたしの勉強部屋?
 「…俺は、つくしさんと一緒の部屋でかまいませんよ」
 な、なにぃ!!?
 「そ、そうですよね。以前にもつくしと二人で寝てもらったこともあるし」
 「そ、そうですわよ、そうそう。二人はいずれ結婚するんだし」
 「じょ、冗談じゃないわよ~っ!!」
 結婚するかなんてわかりゃしない。
 て、いうか、誰が結婚することを承諾したっていうのよ。
 どこの世間に、未婚の娘を男と二人で寝かせる親がいるわけ?!
 「どうしても同居するっていうなら、そんなのみんなで雑魚寝に決まってんでしょっ!?」





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