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初恋は靴底の感触…30話完

初恋は靴底の感触30~完

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 「ちげぇって!そのごめんじゃない」
 青くなって呆然と俺を見る牧野に、慌てて否定する。
 冗談じゃねぇつーの。
 ここまできて、このチャンスを逃してなるものかよ。
 ここ1週間。
 無視されて、冷たくされて、ほとほと俺は参っていた。
 この俺がだぜ。
 たかが女につれなくされたくらいで、眠れなくなったり食欲がなくなったりした。
 他人に知られたら恥もいいところだけど、それだけお前に惚れてるってことなんだよ。
 突っ立っている牧野の細い手首を引っ張って、再び俺の横に腰を下ろさせる。
 俯いてチラチラ、俺の様子を上目使いに見上げて来る牧野がすげぇ可愛い。
 高校生のガキの時そのままに、それくらいでドキマギしちまう俺をお前は知ってんのかよ?
 「…高校生の時の俺、ホント、ガキだったよな」
 「そうだね」
 あっさり肯定して、言葉だけでも世辞を言わないこいつに苦笑する。
 でも、それが俺の惚れた女なんだ。
 それが牧野つくし。
 権力にも金にも揺るがない真っ直ぐな女。
 「あの頃の俺はさ、お前に惚れてる自分がよくわかってなかった。気になって気になって、お前の気が引きたかったくせに、小学生のガキみたいに意地悪して、関心を向けさせようと躍起になってた気がする」
 「気になってって…あたしのことが嫌いだから苛めてたわけでしょ?」
 おいおい、マジでそこからわかってなかったのかよ?
 …まあ、世紀の鈍感女だからな。
 怖がられないように、そっと手を牧野の頬へと伸ばす。
 頼むから嫌がらないでくれよ。
 怖がらないでくれ。
 お前を傷つけようっていうんじゃない。
 ただ、お前が好きで好き過ぎて、触れていたいだけなんだ。
 すべすべの赤ん坊みたいなほっぺたにそっと触れる。
 ちょっと怖気たようにビクッとしたけど、逃げないでくれた。
 目が潤んだように艶めいてるのは俺の気のせいじゃないよな?
 ほんのりと色づいた頬の赤味は、怒りじゃないんだろ?
 「俺がお前を嫌いだったことなんて一度もねぇよ」
 「うそ」
 「ホント。生意気な女だってイラついたことがあったのは確かだけど、今思うと、お前に蹴りを入れられたあの瞬間から俺はお前に惚れちまってたのかもしれねぇな」
 …たく、どんだけ?って感じだぜ。
 初恋の思い出が、こいつの靴底の感触だなんてな。
 挙句の果てに、再会のしょっぱなから靴を顔にブツけられるなんて、どういう因縁なんだよ、って感じだぜ。
 しかも、思い起こせば、出会いからして上から降ってきた女に踏まれて…だ。
 まったくこいつに関しては、俺様の威厳も何もあったもんじゃないと、頭痛を憶えた。
 「…でも、じゃあ、あの言葉は?」
 「ガキの頃、本当に俺が言った言葉だ。お前が好きなくせに、見栄張って変な勘違いしてあいつらに宣言した世迷言。それを思い出して、俺も変わったもんだって、あいつらにからかわれてたんだよ」 
 「そうだったんだ」
 「だから、牧野、いままで俺が言ったお前への気持ちは、何一つ嘘もねぇし、隠してることも何もない。好きだ。惚れてる。お前だけを愛してる」





 道明寺の低くて耳触りのいい声に囁くように説き伏せられて、次第に心が晴れてゆく。
 確かにあの頃のこいつならそれくらいのことを言いそうだし、不思議なくらいにストンと腑に落ちて道明寺を信じられた。
 たぶん、疑えばキリがないんだろうな、とは思う。
 でも、再会してからの道明寺はずっとストレートに想いをブツけてくれていて、とてもあの頃の復讐であたしを騙しているようには見えなかった。
 …信じたい。
 ううん、信じようって思う。
 この真っ直ぐにあたしを見る目のどこに、そんな薄汚い策略があるの?
 口では何を言ったかしれないけど、高校生の…あの最低な時期のこいつですら、あたしを騙そうなんてしたことがなかった。
 ガキ…本当にそうなんだったのだと思う。
 道明寺はガキだったんだ。
 子供みたいに我儘で、真っ直ぐで…純粋な男。
 こんなに平凡な女のあたしでいいって言ってくれる。
 あたしがどんな女かなんて知ってるくせに、そのままのあたしが好きだってストレートな愛情を示してくれた。
 「…信じるよ。あんたのこと、信じる」
 「牧野」
 「考えてみれば、最初からあんたにちゃんと聞けば良かった。どういうことなの?って聞けば、あの時にだってきっとちゃんと話してくれて誤解は解けていたことだよね」
 「ああ、そうだ」
 「ごめんね…疑ったりして。何度も離そうとしてくれてたのに…」
 もうしわけなくって何度も謝る。
 考えてみれば、あんなにあっさりと疑ってしまったんだって、自分の中の罪悪感があったからなんだ。
 自分が疚しかったから道明寺を疑って、確かなことを確かめもしないで責めてしまっていた。
 …そう、あたしは説明したがっていた道明寺からのアプローチを無視して勝手に悲劇のヒロインぶっていただけ。
 それこそガキだったのはあたし。
 誤解にしろ、本当のことにしろ、ちゃんと話し合わなかったら何一つ解決なんてしなかったんだ。
 「本当に、ごめんなさい」
 謝るあたしの頬に道明寺がチュッとキスを落とす。
 その感触があまりに優しくて、気が付いたらポロポロと涙が零れていた。
 「…いいんだよ、誤解させた俺が悪い。でも、これからは気に食わねぇことや、嫌なことがあったら黙ってねぇで俺に言え。なんだって答えてやるし、お前に嘘はつかねぇ」
 「うん」
 いつの間にか抱きしめられて、あちらこちらにキスをされていた。
 頭にキスを落とした唇が耳元に下りて来て、また頬に戻ってくる。 
 …すっごく気持ちがいい。
 大きな胸に抱きしめられて、キスされていると世界中のものから守られているような安心感があたしを包み込む。
 今度は指先にキスをされて、道明寺の胸に寄せていた顔をあげたら、綺麗な顔が近づいて来て…。
 「チュッ」
 唇にキスが落ちた。
 「道明寺、好き」





~Fin~






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あとがき

皆さん、楽しんでいただけましたか?
この作品は、実は私にしては珍しく『王道』を意識した作品でした。
まあ、王道って言うか、金太郎飴っていうか、あまり奇抜な設定は辞めようっていうことだったんですけどね。
なんだか、最初の頃に「夢で逢えたら」とか、「それでも貴方を愛してるから」なんていう話を書いて、つかつくらしい話を書いたことがなかったな、とか思いまして。
書く気がなかったわけじゃないんですが、いろいろ妄想が広がっちゃって手が回らなかったというか。
しかし、このお話、司のBirthday記念に8話程度で書こうと思ってたのに、えらく長くなっちゃいましたねえ^^;
本当は、もう少し続きも考えていて、今回予想外に人気があった!?高木秘書の再登場も考えていたんですが、ダラダラしそうだったんで辞めました。
このお話はあくまでも、大した事件もなく山場もないお気楽な話を目指していただけに、下手に続くと間延びする気がしましたんで、これにて終了。
え?R?
え?続編。
いやいや、すいません、考えてません。
金太郎飴なだけに、またも似たようなストーリー展開のお話を書くこともあるかと思いますが、上手いこと書き分けができるかが腕のみせどころでしょうかねぇ(できるかなあ^^;)。
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