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「中・短編」
初恋は靴底の感触…30話完

初恋は靴底の感触28

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 このままでは絶対ヤバイ。
 それがわかるのに、どんなにアプローチしてもケンモホロロ。
 いいかげん、俺は手に詰まって、焦れていた。
 クソッ。
 牧野のやつ、どこに行きやがったんだ。
 今日は会食も、出張もない昼食時。
 昼になる前から、久しぶりに牧野を美味いレストランにでも連れ出そうと画策していた。
 絶対に、仕事中はプライベートのことに牧野は踏み込ませなかった。
 それなら、このランチで誤解を解いて、失った信頼を取り戻さなければならない。
 そんな決意を胸に、昼休みまであと残すところ数分。
 総務に書類を届けに行ったはずの牧野から電話が入った。
 『…お昼時間になったので、このまま休憩行きます』
 「ざけんなっ。てめぇ、仕事舐めてんのかっ。どこの世間に、昼休み近いからってチャイムなる前に休憩に入るやつが…」
 キーンコーン。キ~ンコ~ン。
 『と、いうわけなんで、では午後一に』
 「おいっ!牧野ッ」 
 逃げられちまった。
 もちろん、速攻折り返し電話をかけ直すが、応答に出るのは…。
 『おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため…』
 ブチツ。
 切れたのは携帯の電波か…それとももしかしたら、俺の血管だったのかもしれない。
 仕事以外に二人っきりになるのを、牧野に避けられてる。
 そして、仕事中は一切私語に応じてくれねぇ。
 いったい俺はいつ、牧野にアプローチすればいいのかと、さすがに頭を抱えることになってしまっていた。

 …いいかげんにしろよ、牧野。逃げられちまったら元も子もねぇからと、今はセーブしてる。
 が!
 俺は、元々忍耐はあるほうじゃない。…そのうちブチ切れちまっても知らねぇからなっ。






 「…たく、牧野のやつどこ行ったんだよ」
 昼も食わずに、俺は何をやってんだ。
 そうは思うものの、ここのところまったく食欲が湧かねぇんだから特に苦は感じなかった。。
 …というか、元々、一食や二食、飯を抜いても特に支障がなかったし、牧野と過ごした一時期を除けば、俺はほとんど食い物を美味いとも思ったことはなかったんだよな。
 まあ、一応高校時代は成長期だったから、それなりに食ってはいた。
 美食にも興味はなかったし、出されるものを食う、ただそれだけ。
 けど、牧野と一緒に食えば、そこらのこ汚ねぇ店で出されたものでも美味かった。
 どんな一流シェフの作る料理も及ばなかった。
 今でも俺がホントに美味いって感じたのは、ガキの頃、姉ちゃんが作ってくれたお好み焼きと、牧野と食ったただ焼いて醤油をつけただけのイカだけ。
 思えばあれも、自分で釣ったやつだったと、つい思い出し笑いしそうになっちまった。
 まあ、それさえも、この数年間は思い出しもしなかったけどな。
 なんだか、妙に黄昏ちまって、牧野を探す気力が失せてしまう。
 仕方ねぇ。
 いったん、撤収すっか。
 どの道、昼飯が終われば真面目な牧野のことだ、遅れることもなく執務室に戻って来るだろう。
 俺も残りの時間、軽くカフェで時間を潰して早めに戻ることにする。

 すきっ腹のコーヒーがけっこう胃にもたれて、顔を顰めた。
 ここのところ眠りも浅い。
 日本に戻って以来、牧野と過ごすようになって、すっかり忘れていた不眠症にも再び苛まれるようにもなっていた。
 …たく、なさけねぇよな。
 女一人に冷たくされたくらいで、この道明寺司がよ。
 そうは思うものの、いまの俺にとって牧野よりも重要なことなど何もなかった。
 仕事でさえも、牧野の顔が見れると思えば、どんな時間にも勝る喜びともなっていたくらいだ。
 ただ、牧野だけ。
 顔も体も平均的で、やたらめったら気の強い…けど、誰よりも温かくてバカみたいにお人好しのあの女が欲しい。
 何気なく顔をあげると、ちょうどうらぶられた平屋の建物から出てきた女に気が付いた。
 …牧野ッ。
 どんなに遠くにいても、雑踏の中でも、俺は牧野の存在に気が付かずにはいられない。 あれ、社食だったか。
 「たく、なんだよ、あいつ。あんなところにいやがったのか…」
 こんなことなら、社内をくまなく探すんだったと少しだけ後悔する。
 「ま…っ!?」
 呼びかけようと声をあげかけ…牧野の後ろから出て来てた男の姿が目に飛び込んでくる。
 馴れ馴れしそうに牧野の肩を掴んで、ちっせぇあいつの顔を覗き込んでいる男。
 あの男は確か…俺と牧野が再会した初日。
 牧野を抱きしめていた男じゃねぇかっ!?





 「…おいっ、てめぇっ」
 宇佐美と談笑していた間に、突然、雷みたいな怒鳴り声が割り入っってきた。
 振り向く、憤然と肩を怒らせて走り込んでくる長身の男。
 …え?何?道明寺?
 わけもわからず、周囲を見回す。
 「…あれって、社長だよな」
 「うん」
 もしかして、席を離れたのを良いことに早めの休憩をとってしまったことを怒ってるの?
 …自分だって、臨機応変とか言ってかなりリベラルにやっているじゃない。
 そう自分に言い訳するけど、綺麗な顔を鬼みたいに歪めて、青筋を立てて凄んでくる道明寺の形相は鬼気迫るものがあった。
 「てめぇっ、どういうつもりだっ」
 「「ひっ」」
 ガシッと襟首を掴みあげられ、吊り上げられた…宇佐美っ!?
 「しゃ、しゃっちょうっ?」
 宇佐美なんて顔を青ざめさせて、すっかり委縮してしまっている。
 「ちょっと!な、何するの…ですかっ!?」
 ついタメ口を効いてしまいそうになって、周囲の目を気にして言い直す。
 ギラッ。
 睨まれた。
 ひ~、こ、怖いよ~。

 道明寺のくせにと思っても、本気で怒ったこいつはすっごく怖い。
 高校生の時には踏みとどまった勇気が、シュンと萎んでしまう気がした。
 …怖すぎる。やっぱり腐っても道明寺だあぁぁぁ。
 と…。
 やだ、ちょっと!なにすんのよっ。
 「ぎゃあああああぁぁぁぁぁ~~ッ!?」





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めちゃ素敵です~(*^^*)

はじめまして!あまりに素敵なので思わずメールします!
今まであまたの二次を訪問させていただきましたが、この設定でのお話は初めて!!
まだ深刻な背景もなく、一番ウキウキ楽しくて、二人も初期のキャラそのままで本当に大好きです(^-^)早く続き読みたいですー
ハッピーエンドよろしくお願いしますm(__)m

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むう様>質問の件について。

こんにちは。
いつも応援ありがとうございますm_ _m

ご質問があった件について。
『5件以上になると次のページになるのですが、テンプレートの関係かスマホの関係で次のページにいきません』
とのことですが、スマートフォン、iPhoneともに確認してみたのですが、私の環境下ではそのような状態がなく、また、いまのところ報告を受けていないため、ごめんなさい、原因不明ですm_ _m

おそらくスマートフォン画面にてご覧になってると思うのですが、最下部に『PC切り替え版』というボタンがあるので、こちらで見ていただいてはダメでしょうか?
あるいは、『最新記事』というのが『花男素敵サイトリンク』の下方にあるので、こちらだと10件表示されますので、こちらから記事を確認していただく方法ではどうでしょうかねぇ(ただ、10件以上前が表示されないのが難ですが…)
スマホ画面だとカレンダー的プラグインがデフォルトにない為、いまのところ、こちらで対応していただけるとありがたいです。
また、なにかありましたら、ご質問ください(私も実はあんまり詳しくないので、答えられるかわかりませんが^^;)

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