FC2ブログ

「中・短編」
初恋は靴底の感触…30話完

初恋は靴底の感触25

 ←昏い夜を抜けて225 →昏い夜を抜けて226
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 「当たり前だろ」
 目の奥の真剣な光を、俺はジッと見返した。
 「…なら、いいんだ。俺、寝る」
 「おいおい、寝るのかよ」
 「まあ、司のノロケなんて聞きたくもないか」
 「はん、聞きたくて俺らを呼んだんだろうから、好きなだけ聞かせてやる」
 俺がしゃべりの姿勢で、にやりと笑うと、総二郎とあきらが顔を見合わせて苦笑した。
 「…なんだよ?」
 「いや、そう堂々と言いきられると、逆にな」
 「ふん」
 話せと言ったり、微妙な顔したり、面倒臭い奴らだ。
 「まあ、お前のそういう顔、悪くないと思うぜ」
 「…あ?」
 「お前、NYに行ってもやっぱりつまらなそうだったからよ」
 「……」
 「ああいうことがあって、お前、しばらくは俺らのことも避けてただろ?」
 ああいうこと。
 類と牧野のことがあって、俺が渡米したことか。
 「…別にそんなんじゃねぇよ」
 女にフラれてダチも避けてたなんて、カッコ悪くて言えるはずもなかった。
 「正直、俺、お前は牧野に復讐するつもりでもいるのかと思ってたんだよな」
 「は?」
 思いもよらぬことを言い出すあきらに、目が点になる。
 「なんだそりゃ?」
 総二郎を見ると、肩を竦めた。
 「いくらなんでも、執念深すぎるだろよ」
 「いや、お前ならありえる」
 「だよな。司は、執念深い」
 それが幼馴染みに言うセリフかっ!
 「何気に、人でなしだしな」
 「ほら、あれだろ?司、お前、昔だって、かなりひでぇこと言ってたじゃんか?」
 ひどいこと?
 心当たりがありすぎていったいどのことかわからない。
 俺もたいがいガキつーか、バカだったとは我ながら思う。
 牧野に目を覚まされるまで、人の恨みを買うのが逆に生きがいみたいなもんだった。
 …いや、別に生きがいは感じてなかったか。
 単なる暇潰し。
 「‘あの女、俺にホレてらしいからな。気を引いてボロボロにして、捨ててやるんだ’」
 「言った憶えねぇ?」
 それって…。
 「…あるな」
 牧野のことに関しては異様に記憶力のいい俺はともかく、こいつらもよくそんな昔のこと憶えてるもんだ。
 半分呆れて、得意そうなこいらに感心する。
 「‘冗談じゃねぇよなぁ、俺はあんな女、眼中ねーけどな’」
 なんてな。
 我ながらよく言うぜ。
 あの頃、もう俺は牧野に夢中だった。
 「それが今じゃ、お前…」
 ♪♪♪♪♪♪♪♪♪~、♪♪♪♪♪♪♪♪♪~。
 チッ、会社からか。
 「なんだよ、マナーモードにしてねぇの?」
 「牧野と会う予定だったから、上手く会えなかったら連絡入ったかもしれねぇだろ?」
 「…ああ、牧野、お前の秘書だっけか」
 今は牧野以外に代わりの秘書なんていねぇから、どうやら誰か直接かけてきたな。
 とりあえず、番号を確認して、溜息つきつつ立ち上がった。
 「ちょっと、外行って来る」
 「なんだよ、無視しないのかよ」
 ニヤニヤ笑う顔が、俺の真面目さの原因を悟って揶揄る。
 「…こ煩い秘書がついてっからな」
 牧野に不真面目で、バカなガキのままだと微塵も思われたくない。
 とりあえず、面倒な用件だったら、戻るしかねぇか。





 「お、牧野。司、いま、会社から電話あって外行ってんぞ」
 美作さんに教えられて、無言でうなずく。
 早く、早く。
 自分でもわけのわからない焦燥で気がせいて、上手い言い訳が思いつかない。
 「…あの、あたし、ちょっと急用で家に帰らないといけないの」
 「は?」
 「じゃあ、帰るから道明寺に言っておいてね」
 我ながら素っ気ないかと思いながらも、それを気にする余裕がない。
 呼び止められないうちにと、さっさと踵を返した。
 「ちょっと待て!司に何も言わないで帰るつもりなのかよ」
 美作さんが慌てて追いかけて来ようとするのを目の端に、急いでエレベーターへと乗り込む。
 「牧野ッ」
 聞かないふりで閉ボタンを連打する。
 間一髪…追いつかれる前に、エレベーターは下へと降り始めた。
 「…そうだったんだ」
 さっき聞いた話が頭の中を何度も蘇り、涙が零れそうになる。
 最初、音楽の切れ間切れ間で、
 『復讐』
 『ひどいこと』
 そんな言葉が聞こえて、ドキリと心臓が音を立てた。
 『あの女、俺にホレてるらしいからな。気を引いてボロボロにして、捨ててやるんだ』
 『言った憶えねぇ?』
 『…あるな』
 まさか、って思ったのに、確かに道明寺は肯定した。
 そんな、どうして。
 真っ白になった頭に、さっきから同じことばかり。
 『冗談じゃねぇよなぁ、俺はあんな女、眼中ねーけどな』
 道明寺の放った決定打が胸に突き刺さった。
 あいつがどんな顔をしてそんなことを言ったのか思い出せない。
 それよりも、遊園地で、ドライブで、レストランで、あたしを甘く見て微笑んだ顔ばかりが思い浮かぶ。
 …1/10なんて嘘だ。
 本当に好きになってた。
 好きだと言われるのが嬉しくて、あいつのあたしだけに示してくれる優しさに酔っていた。
 それなのに、それがすべて嘘だったなんて。
 あたしを騙すための嘘。
 元からあんなひどい男だったのに、どうしてあたしはあいつを信じたんだろう。
 そう思う端から、これが道明寺の復讐なんだと思い当たる。
 自分でも最初、あいつに復讐されるんじゃないかと思ってた。
 高校生の時のショックを受けた道明寺の顔が思い浮かぶ。
 あんなに傷ついた顔をするほど酷いことを、あたしはあいつにしてしまったんだ。
 そう気が付いた途端、怒りも憤りも小さく萎んでゆく。
 因果応報だよ。
 仕方がない。
 後には哀しい気持ちばかりが残って、涙がポロリと零れた。






 俺が部屋に戻ると、牧野がまだ戻ってなかった。
 ずいぶんおせぇな。
 確かまだ、酒は口にしていなかったはずなのに、と俺は少し心配になった。
 「えっと、そのぉ、司」
 歯切れ悪くあきらが呼びかけて来る。
 「あ?」
 「…その、牧野。あいつ、帰ったぞ」
 「は?」
 どう見ても戻っていねぇけど?
 まさか、シートの影に隠れてる、とかそういうんじゃねぇよな。
 ガキじゃあるまいし、と思いつつ周囲を見回すけど、当然それらしき姿はなかった。
 「いや、そうじゃなくって、もうここにはいないってこと」
 「……」
 「ひ、引き止めたんだけどな」
 「そうだ、なんか急用あるとか、言ってたぞ」
 おもねるあきらと総二郎の顔が何かを隠してる。
 「…どういうことだ」
 「ど、どういうことだって?」
 「牧野が、俺を置いて勝手に帰るわけねぇだろ?」
 「そ、それはなんでなんだろうな~なんて」 
 「……お前らが不用意に、誤解されるような会話してるからだろ?」
 寝ていたと思った類が、溜息をついて起き上がった。





◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ





↓ランキングの協力もよろしくです♪
ブログランキング・にほんブログ村へ 💛 
いつも応援ありがとうございます^^!

web拍手 by FC2






関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【昏い夜を抜けて225】へ
  • 【昏い夜を抜けて226】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【昏い夜を抜けて225】へ
  • 【昏い夜を抜けて226】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク