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初恋は靴底の感触…30話完

初恋は靴底の感触24

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 総二郎たちがセッティングした会員制バーに連れてゆくと、牧野が戸惑ったように周囲を見ました。
 今まではあえて牧野が気後れするような店は避けていたが、まあ、これからは徐々に慣れさせるしかねぇな。
 「おっ、牧野」
 「久しぶりだな」
 親しく相好を崩したあきらと総二郎に、牧野が照れ臭そうに微笑んだ。
 「お久しぶりです、西門さん、美作さん」
 「なんだよ、他人行儀だな」
 「もう大人ですもん」
 俺のものだとアピールするために、肩を抱いて部屋の奥へと連れてゆく。
 すると驚いたように顔をあげた牧野が、ちょっと睨んで俯いた。
 怒ったのかと思ったが、どうやらそうじゃねぇ。
 薄暗い中でもほんのりと赤く染まった頬が見える。
 か、可愛い。
 今来たばかりなのに、もうすぐにでも連れ帰って二人っきりになりたい誘惑に逆らうのは辛かった。 
 くそっ、やっぱりこいつらとの飲み会なんかに連れてくるんじゃなかったぜ。
 さっきまでソファに横になってたらしい類が、わざわざ起き上がって手を振ってくる。
 それに顔を輝かせる牧野に、ムッとした。
 「あ、類」
 「久しぶり、牧野」
 小走りで類に駆け寄ろうとした牧野の肩を、グッと押しとどめた。
 「…痛いなあ。そんなに力入れないでよ、バカ力」
 顔を顰めて苦情を言う牧野の体を、なおさら俺の体へと密着させる。
 「ちょ、ちょっと!」
 「類になんか、よって行くんじゃねぇよ」
 命令すると、「何よ、それ」とか言って、口を尖らせてフクれやがった。
 ぷっ、何だ、その顔はよ、お前はガキか。
 類との親しそうな雰囲気にムカついていたのに、つい噴出して、笑いそうになっちまった。
 「こっち、座れよ」
 俺たちの様子を見て取ったあきらが、類とは対面側のソファへと俺たちを促す。
 俺と牧野、右側に総二郎、左側にあきら、対面に類が腰かけた。
 「なんだよ、大人になってどんなに色っぽくなってるかと思ったら、相変わらず色気ねぇな」
 「だよな。デートにその色気のないカッコウ…ダークスーツってお前、大人の女としてどうよ」
 まあな、俺はどんな牧野でも可愛いと思うけど、確かに色気はねぇな。
 「もうっ!相変わらずあんたたちって失礼ね。仕方ないでしょ。今日は弟の結婚相手の家族と、両家の顔見せだったんだからッ。いつもはもっとちゃんと可愛い恰好もしてるよね?」
 …うーん、どんな格好してたか。
 見上げられて真剣に悩むものの、思い浮かばなかった。
 どんな牧野も可愛いと思うだけあって、いつもはどんな服着てるとかほとんど憶えてねぇ。
 とにかくまず牧野の平均的だが俺にとっては誰よりも可愛い顔があって、すっぽりと収まる華奢な肢体に意識の半分をいつも持っていかれていたから。
 「どうやら、普段もあんまり変わんねぇみたいだな」
 「何よ!道明寺、あんたまでっ」
 考え込んでたら、いつの間にか俺まで総二郎たちに同意したと、牧野に思われちまったみたいで思いっきり睨まれた。
 「え、あ、いや…」
 「牧野は可愛いよ」
 「「「「………」」」」
 「どんな服着てたって、どこでだって、そこらの女なんか目じゃないから気にすることないよ」
 に~っこり。
 ……。
 ……。
 にっこりじゃねぇだろうっ!?
 「お前、牧野、何赤面してやがんだよっ」
 「ええっ。だって、類が…」
 上目使いでチラチラ類を見やがる牧野に、殺意を覚える(もちろん、類にだ)。
 「まあ、まあ、まあ。そう目くじら立てんなよ」
 「そうだぜ、類の社交辞令って奴なんだから、司、お前も一々がなり立てるなって」
 「社交辞令じゃないよ。俺は思ったこと言っただけ。だいたい、俺、牧野のくるくる変わる表情とか見てばっかいるから、いつもどんな服着てるとかあんまり憶えてない」
 「る~い~」
 「……いたたたた、少しは空気読めよ」
 俺が思ってることなんで、類、てめぇが言うんだっ!?
 「あ、あたし!ちょっとお化粧直して来る」
 焦ったようにバッと立ち上がった牧野の腕を掴み損ねた。
 俺が肩抱いた時より顔が赤いのは気のせいか?
 「いってら~」
 ヒラヒラお気楽に手を振る類を睨みつける。
 「……睨まないでよ。別にお前から奪おうとか、俺、思ってないから」
 「当たり前だっ!」
 そうじゃなくても、てめぇには前科があるんだ。
 今度手を出しやがったら、親友といえど容赦はしねぇからなっ。
 「し、しかし、本当にお前、牧野と付き合ってんだな」
 「あ?」
 緊迫した空気を和ませようとか、あきらが割り入って、無理矢理に話題を変えた。
 「お前はああは言ってたけど、正直、俺らにしてみれば眉唾ものでよ」
 「なんだ、そりゃ?」
 あきらに手渡されたウォッカのグラスに口をつける。
 カッと喉を焼く冷えた酒が、美味かった。
 …って、いくら酒に強いからって、いきなりウォッカはねぇだろう、ウォッカはよ。
 面白そうな連中の目に、酔わせて洗いざらいしゃべらせようという意図が読めた。
 ハッ。
 聞きたいなら、酒になんか酔わされなくってもいくらでも話してやるぜ。
 俺様と牧野のあ、愛のメモリー、てやつをひとつ残らず、耳の穴かっぽじってよく聞けよ。
 「お前、ほら、昔もあいつが自分のこと好きなんだとか勘違いして、フきまくってたじゃねぇか」
 「……」
 「そうそう。昔、まだ司が牧野を苛めてた頃、なんでか牧野の奴、わざわざ俺らに自分は処女だーーっとか言いに来たことあったよな」
 「あったあった!で、司お前、処女を俺に捧げたいんじゃ、とか勘違いしてやんの」
 「ゲラゲラッ!意味不明だったけど、牧野って当時、なんかその手の誹謗中傷言われて、嫌がらせされてたみたいだしな」
 「顔赤くしてこっち見てるだけで、牧野が自分に気があるとかなんと…ブッ」
 「いてぇっ!」
 調子に乗ってベラベラ喋る総二郎とあきらに拳をくれてやった。
 「…だから!イイ年して、殴るんじゃねぇッ」
 「うっせぇんだよっ、人が黙ってりゃ、いい気になりやがってッ」
 襟首掴んで、文句を言う総二郎を締上げる。
 「…まあ、今思えばあれって、類を見てたんだろうな」
 「「「……」」」
 たぶん、そうなんだろうとは俺も思う。
 でも、それを認めるのが腹立たしい。
 が、今、アイツが好きなのは俺なんだと、締上げていた総二郎を振り払った。
 「乱暴にすんじゃねぇっ」
 「でもさ、今は牧野、司のこと、好きなんでしょ?」
 何考えてるのかわかんねぇ透明な目が、俺をジッと見据えた。
 「……泣かさないでよ、牧野」





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