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初恋は靴底の感触…30話完

初恋は靴底の感触22

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 「あ、もうそろそろ駅に着くから」
 新幹線のドア窓から懐かしい景色が見えだす。
 と、ちょうど車内アナウンスも、目的地への到着を知らせてくれて、結局せっかくの指定席も1時間近くの立ち話で座れなかったな、とおかしく思う。
 「じゃあ、切るね」
 『うん、またね。近いうちに、飲みながら詳しいことでも教えてよ。あんまり深刻に考えすぎないでね。一人でも素敵な人と付き合って、女を磨くとでも思ってさ』
 はは…よく言うよ。
 優紀こそ、そういうお気楽なタイプじゃないくせに。
 詳しいことを聞きたいって言われても、あらかた話せることは話してしてしまったし、特に他には何もないんだけどな。
 まあ、優紀はその後の進展とかそういうのを聞きだしたいんだろうと、小さく苦笑する。
 「わかった。あんたも高島さんのこと話してよ」
 『はは、こっちこそ、大して話すことなんて特にないんだけどさ』
 とかなんとか言っちゃって、電話するたびに、あそこへ連れて行ってもらった、こんなものを貰ったって、惚気話ばかりで耳タコになるくらいにいつもは話す癖に。
 『ま、これからはつくしにも惚気話する暇をあげないとね』
 「はいはい、よろしくお願いしますよ~」
 なんて、笑いあう。
 携帯を切って、後始末をするために座席へと戻る。
 荷物は大して持ってなかったけど、ジュースやお菓子のゴミを手早くまとめた。
 と、いつの間にか隣の人はもうドア口へと移動したみたいで、さっきまで読んでたのかな?雑誌が一冊座席に残されてるだけだった。
 なんとはなしに気が惹かれて、それを手に取ってみる。
 ゴシップ誌なんて、普段はあんまり見ないんだけど。
 せいぜい美容院でカットしてもらってる間の暇つぶし程度に読むくらいなのに、ふと開いたページに見慣れたクルクル頭を見つけて、ついジッと魅入ってしまった。
 『道明寺財閥の御曹司と噂になった女性たち』…そんなタイトルで始まった特集記事は2ページ見開きだ。
 よくもまあ、これだけ噂になってるなって、今更ながらにあいつは普通の男なんかじゃないんだって思い知る。
 「…金髪、ブルネット、セクシーダイナマイツに、清純なお嬢様。すごいより取り見取りなんじゃん」
 なんで、それなのにあたしなんだろ?
 そうは思うのに、写真に写っている仏頂面が、あたしの知っている道明寺と少しも重ならない。
 綺麗な人はたくさんいるし、確かに結婚とかそういうことになったらあたし以上に相応しい人なんてごまんといるんだろう。
 第一、あたし自身、そこまで真剣に考えられているかというと全然で。
 道明寺だって、きっとそうだよね。
 ただ独身時代の楽しいひと時、恋愛の一つにすぎないんだとは思う。
 でも…だけど。
 「はああ」
 つい溜息をついてしまう。
 「…あたしやっぱり堅すぎるのかな」
 優紀の言うようにセレブな男と気軽に付き合って、その時その時を楽しめればそれでいいって思えれば…ね。





 駅の階段を下りて、駅のロータリーに下りると、まだまだ風が冷たくって、襟元をギュッとかき寄せる。
 ブッブーッ、というクラクションの音に顔を向けると、ド派手な車の窓から顔を出したサングラスの美形が、片手を上げてあたしへと合図を寄越した。
 えっー!?
 あたし、迎えに来てとかそんなこと言ってないよね?
 と、いうか、むしろ迎えに来るって言われてたのを、断ったくらい。
 思わず小走りに駆けよると、わざわざ運転席から道明寺が降りてきて、肩を抱かれて髪にキスを落とされた。
 「…人前で!」
 「別に頭にキスくらいいいじゃん」
 …頭にキスくらいって、めちゃめちゃ目立ってんですけど?
 ただでさえド派手な真っ赤な外車(この前の車と色も形も全然違うんですけど?)に、降りてきた男が外人モデル真っ青のスタイルした超絶美形じゃあ、ロータリー中の視線を一身に集めているのも無理はない。
 マジ、勘弁してよ。
 チクチク鋭い視線がとっても痛い。
 通り過ぎる女性たちの敵視も嫌だけど、男性たちの「え?こんな女なの?」みたいな視線もかなり辛かった。
 「寒いから、早く乗れよ」
 「……もしかしてずいぶん待ったんじゃないの?」
 「いや、30分くらいか?」
 やだ。
 そりゃあ、今日はこいつも休みだよ。
 でも、普段忙しくて、暇なわけじゃ全然ないのに。
 車の中だとはいえ、寒空の下。
 こんなお坊ちゃまな男が、あたしの為に待っていてくれたんだと思うとジーンとなんだか胸に沁みた。
 が…。 
 「なんだよ、お前相変わらずチンケなコート着てんな。これじゃあ、冷えても仕方ねぇだろ?」
 ムカッ。
 「チンケって何よ!そりゃあんたにしてみたら安物でしょうけど、去年のボーナスで奮発して買ったコートなんだからっ!」
 一応はエスコートされて助手席に腰を下ろしたけど、腹立ちまぎれに車を降りようかと迷っているあたしの憤慨にやっと気が付いたようで、道明寺が慌てて言い訳してくる。
 「い、いや、に、似合ってるけどよ」
 「…チンケだから?」
 「悪かったって」
 おもねるように大きな手で頭を撫でられて、まあ、こいつはこういうやつなんだって、元々わかってるのでいつまでも怒っていても仕方がない。
 「ま、いいけど」
 「だから、俺が新しいの買ってやるって」
 「なんで、あんたに買ってもらう必要があるのよ」
 「何着あったって別にかまわねぇだろ?」
 「置くとこないし」
 「俺のマンションに置いておけばいいじゃん。っていうか、俺んとこでお前も暮らせば手間もねぇんじゃね?」
 「はああ?」
 何言ってんの、こいつ?
 マジマジ見返せば、何食わぬ顔をして運転をしているけど、頬がかすかに赤い。
 ジッと見ていたら、何だよ、って睨まれた。
 それって、同棲しようってそういうこと?
 まだ好きも付き合うもハッキリと言ってないのに、いくらなんでもいきなり飛ばし過ぎなんじゃない?
 「…いいかげんにしろよ、お前」
 「何がよ」
 すっとぼけるけど、横目で見てくる視線があまりに強くて…誤魔化し続けるのがすごく難しかった。
 「お前、俺のこと、好きだろ?」





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