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「中・短編」
初恋は靴底の感触…30話完

初恋は靴底の感触18

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 園内に併設されてるフードコートで軽く腹ごしらえしようということになり、牧野が買いに並んでいる間に、俺が先に座って席をキープすることになった。
 とはいえ、夜の遊園地。
 キープするほどには、混みこみっていうわけでもなく。
 家族連れや、中高生のガキどもの姿は消え、顔を寄せ合うカップルたちの時間に変わってる。
 が…。
 「…あのぅ」
 暇潰しに開いたスマホに目を落とす間もなく、顔を上げれば隙なく厚化粧に身を固めたケバイ女二人組が、微笑みかけていた。
 目が合った途端、
 「「きゃあっ」」
 とかなんとか、歓声をあげて手を叩きあってる。
 …なんなんだ、いったい。
 もちろん、このシチュエーションはガキの頃からさんざんお馴染みになってはいるが、大人になってからはこうやって俺一人っきりでいることがほとんどなかったから、今では滅多にないことではあった。
 こういう女たちってなんなんだろうな、いったい。
 許可もしてねぇのに、勝手に俺の隣と対面側に腰を下し、ネチャネチャ話しかけてくる。
 「あの、あたしたち二人っきりなんです。もし、良かったらあたしたちと一緒に回りませんか?」
 「…ツレがいる」
 交し合った視線が、何相談しあってんだか知らねぇが、普通男一人…ましてやこんな時間帯に男同士でこんなところに来てるわけねぇのがわかんねぇのか、この女どもは。
 総二郎が好みそうな女たちのずうずうしさに辟易して、追っ払おうと口を開きかける。
 「道明寺?知り合いの人?」
 間が悪く牧野の奴が、ちょうどトレイを持って戻ってきた。
 「あら、お連れの人?」
 「こんばんは」
 女どもが妙な愛想の良さで、挨拶しだす。
 「あ、こ、こんばんは」
 戸惑った顔の牧野が、それでも挨拶を返して。
 「私たちもご一緒してもいいですか?」
 「二人っきりで、変な人に声をかけられないかとちょうど不安だったんです」 
 「え?あ、…えっと、その、道明寺がいい、のなら」
 何言ってんだ、この女ども、と思ってたところに牧野の返事で目をむく。
 「やったぁ」
 「よかった、じゃあ、一緒に…」
 バンッ!
 ビクッ。
 「「「きゃっ」」」
 テーブルに拳を叩きつけて威嚇して、ビクついた女どもを睨みつけた。
 「「ひっ」」
 「失せろ」
 声に凄みをこめて顎をしゃくると、青ざめた女どもが慌てたように腰をあげる。
 「な、何よっ!そんなシケた女連れてるから、あたしたちが相手してあげようとしただけなのにっ!」
 「ど、ドブス連れて、粋がってんじゃないわよっ」
 ガンッ、ドグワシャッ。
 テーブルを片足で蹴り上げてひっくり返すと、女どもどころか周囲のカップルどもまでもが、荷物を持って遠巻きに逃げ出す。
 「ど、道明寺っ、あんた、こんなところで、な、なんてことをっ」
 「…別に、空いてよかったんじゃねぇの?」





 「……いてぇ」
 頭をスリスリ、恨みがましい目があたしをジッと見つめる。
 その視線を無視して、あたしは目の前の皿の中身を口に運ぶことに集中する。
 さっきから、あっちでヒソヒソ、こっちでヒソヒソ。
 ただでさえ目立つ男連れだったっていうのに、今や動物園の珍獣(猛獣か?)状態。
 どこの世間に、遊園地なんていう長閑な場所でテーブル蹴り上げる男がいるっていうのよっ!
 「怒るなよ、牧野」
 「…怒ってないわよ」
 今更でしょ。
 しばらく会わなくって、会社でのこいつしか知らなかったからこいつがどういう男なのかなんて、すっかり忘れてたけどね。
 「じゃあ、なんで口きかないんだよ。本当は怒ってんだろ?」
 「呆れてるだけ」
 ちぇっ、と舌打ちした顔が妙に悪ガキめいて、子供っぽい。
 なんだかなあ、って思う。
 こんなの反則じゃない?
 傍若無人なら傍若無人のままで。
 自分が悪い癖に、上目使いであたしの様子を伺ってくるところが憎めなくって、いつまでも無視しきれなかった。
 「はあ…まあ、いいわよ、すんでしまったことはもう仕方がない。でも、あんたなんでそんなに短気なの?ずいぶん大人になったって見直してたのに、あんなことするなんて、高校生の時と全然変わってないじゃない」
 「…お前のこと、悪く言うからだろ」
 「は?」
 「なんだよ、シケた女だとかドブスとかよ」
 「……」
 「勘違いした雌猿みたいな顔しやがって、よくも俺様の女を悪しざまに言えたもんだってな」
 「ぷっ、勘違いした雌猿って」
 けっこう綺麗な子たちだったと思うけど。
 でも、真っ赤になって人のことを悪く言うさまが、彼女たちを醜く見せてたって言うのは本当のことかもしれない。
 「…それに、あたしは別にあんたの女じゃないし」
 「ふん」
 ふて腐れたような顔で、プレートの中身を箸でグチャグチャにかき混ぜてる様なんて、ホント、ガキそのまんま。
 バカだと思ったら、仕事ができたり、セクシーな視線にドキマギさせられたと思ったら、丸っきりガキで。
 「美味しい?」
 「…わきゃないだろ」
 「ははは、そりゃそうだろうねぇ」
 「まずくねぇの?」
 「あたしは、フツーに美味しいから大丈夫」
 「……」
 チラッとあたしを見た道明寺が、不機嫌な顔のままで、トレイの隅にあったプリンをあたしのトレイへと押し付けて来る。
 「やる」
 「え?ホント」
 実はちょっと期待してた。
 ホクホク、おし抱いてプリンの甘味を堪能していると、視線を感じて顔をあげる。
 「な、何よ」 
 まさか、この前みたいに、か、可愛い、とか言いだすつもりじゃ。
 「いや、この前もそうだけど」
 き、きた!?
 「料亭の飯でも、こんなチンケなフードコートのプリンでも、お前ホントに美味そうに食うんだなって思ってよ」
 な、なんだ。
 「だって、美味しいもん」
 そりゃ、あたしに料亭とか高級レストランの食事は豚に真珠なんだとは思う。
 チープなお店の料理だって、美味しいものは美味しいし、どんな料理だって滅多に残したりはしない。
 でも、高いから美味しいとか、安いから不味いってことはないと思う。
 「普通、俺みたいな男とデートとか言ったら、女は高級レストランで食事、なるべく高い買い物させて、そんな風にしたいもんなんじゃねぇの?」
 「……」 
 こいつ、いまだにあたしのこと誤解してるわけ?
 「バカにしないでよ。そういうつもりなら、もうあたしのことなんて誘わないで」
 「…無印良女」
 「え?」
 「昔お前が自分のこと、そう言ったよな。お前は金で買える女じゃないってさ」
 「よく憶えてたわね、そんな昔のこと」
 そういえば、そんなこと言ったっけ。
 今思うと、やっぱり若かったんだなって思う。
 いまのあたしは、実際にはお金のために自分を曲げなければならないことがあるってことも知ってるし、時には悔しい思いをしながらも堪えることだってある。
 それでも、最低限、守りたいことがある。
 ただ、それだけなんだけど。
 「…憶えてるさ。お前のことはなんでも。知ってるか?」
 「何を?」
 「お前、俺の初恋の女だったんだぜ」





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初恋は靴底の感触

こんにちは。
司君とつくしちゃん とても可愛いですね。
なんだか私までドキドキしてきました。
遊園地の魔法カナ⁇ 喧嘩もしないで楽しくデート。 なんて^_−☆。

ますます目が離せなくなりそうです(≧∇≦) ワクワク‼︎
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