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初恋は靴底の感触…30話完

初恋は靴底の感触14

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 「て、て、てめぇ!そういうことは、どうしてあの時、すぐ言わねぇんだよっ!?」
  そうしたら、俺だって無理に気持ちを抑えてNYくんだりになんて行くはずがなかった。
 頭の中を、ハレルヤの天使と花畑、なぜかワンピース姿で『道明寺ぃ、うっふ~ん』とか言って、ウィンクして駆けてゆく牧野の姿が頭に思い浮かぶ。
 「…おいおい、なんの妄想してるか知らねぇけど、類が言ってるのはあくまでも過去の話なんだぜ?」
 ヒラヒラと総二郎が俺の目の前で手を振ってるのを鬱陶しく叩き落とす。 
 「うるせぇ、んなのは、わかってんだよ!」
 …だいたい、あの牧野が俺に向かって『うっふ~ん』なんて間違っても言うはずがない。
 それはともかく。
 「だって、司、昔、俺のクマちぎったじゃん」
 「は?」
 何ちぎったって?
 クマ?
 総二郎とあきらはなんのことかわかったらしく、やれやれと顔を見合わせてる。
 お前らだけで通じ合ってんじゃねぇっ!
 「なに、司、忘れてるわけ?俺らが幼稚舎の頃…」
 「って、あの熊かっ!?」
 正直、忘れてた。
 が、よりによって、ガキの頃、もう何十年前の話だよって世界で。
 まさか、クマのぬいぐるみのこと根に持って、俺らの間邪魔したわけじゃねぇよな?
 「まさか、おまっ、それで…」 
 「ん?さすがに俺、そこまで性格悪くないよ」
 「……」
 いや、今頃言いだすお前は十分に性悪だと思うのは俺だけじゃないはずだ。
 「本当は、お前が飛行機に乗る直前にでも教えてやろうとしてたのに、お前、俺らに内緒でNYに行っちゃったじゃん」
 「……」
 あの時の俺は、まだ牧野への未練がたらたらで。
 少しでも牧野の関心が本当は俺にあるんじゃないか。
 もしそうなら、俺がNYに行くと言ったら引き留めるんじゃねぇか…とか期待してる自分が嫌だった。
 実際、見送りにも来ないかもしれないあいつを待つのが嫌で、こいつらにも内緒でさっさと飛行機に乗ったんだった。
 「その後もさ、ろくに学校にも仕事にも精出してないくせに、しばらく俺らからの連絡拒否ってたし…」
 「…別にそんなんじゃねぇー」
 そのとおりなんだが。
 うっかり類の話にでも飛び火して、牧野と付き合ってるとか言われたら、俺のなけなしの自尊心まで吹き飛んでしまいそうで、ガキの頃からつるんでるこいつらでさえ避けていた。
 挙句の果てに、暇で暇で…ツマンネー取り巻きども連れてバカやってたな、って今さらながらに思う。
 それも、ちっとも面白くもねぇのについ最近までそんなことやってたんだから、我ながら笑える。
 なんだか、牧野と再会して、あいつを好きな自分を認めてやったら、目が覚めた。
 「俺もさ、責任感じないでもなかったから、牧野にもそれとなくお前のことフッたりしてたんだけど、あいつ2年の終わり頃から家のことが大変になってゴタゴタしてたし」
 「だな~。転校してったもんな」

 「俺らはそれっきり縁切れてたけど、類は連絡取り合ってたんだろ?」
 …そうなんだよな。
 類の奴は、ずっとダチだったって。
 いくらもう牧野にフラれてるって言ったって、それでも続いていたこいつらを気にならないはずがなかった。
 「まあね。俺も俺で大学後半になってから忙しかったから、そう頻繁じゃなったけど、細く長くかな」
 類や牧野の事情はともかくとして、一番大事なところは、だ。
 「そんなことはどうでもいいんだよ!じゃあ、牧野のことはもうお前も諦めたんだな?」
 これにつきる!
 たいていの男がアイツにまとわりついても、この俺様に比肩できる男がいるわけがない。
 とはいえ、類だけは別だった。
 最終的には、こいつだって蹴散らす気満々だが…なんだかんだで、牧野の初恋の男だってことが俺のカンに触るし、密かに脅威にも感じていた。
 「別に諦めてないよ?」
 「………あ?」
 「「い~っ!?」
 「おい、類」、「マジかよ、類っ」とかなんとか、総二郎とあきらが横合いから類の口を押しとどめようとしてやがる。
 が…。
 「もう、うざいな。やめてよ」
 「…てめぇ、今、なんつーた?」
 「だから、別に諦めてないって言ってるじゃん」
 「………」
 「………」
 「………」
 諦めてない。
 類が牧野を今も好き?
 「て、てめぇっ!!いい度胸してんじゃねぇか!!ブッ殺す!」
 「つ、司!落ち着けっ」
 「る、類、波風たてんなよ~~」





 結局、類に掴みかかろうとした俺は、あきらに羽交い絞められ、総二郎に間に入られて飛びかかるのは断念した。
 「まだ牧野はお前のものじゃないんだから、お前にとやかく言われる筋合いないでしょ?」
 「「類~、頼むぜ~」」
 さっきから、俺の顔色を窺っては類を窘めるあきらと総二郎は汗ダラダラだ。
 いつ暴れるかとハラハラしてるこいつらもたいがいうぜぇが、シラーッ言い切る類の野郎が小面憎い。
 「…でも、だからって無理にどうこうしようって気もないから」
 「どういうことだよ」
 「俺は牧野とこうやって付き合って行ければ、恋人とか結婚とかそういうのはどうでもいい」
 …こいつのこういうところが時々わけがわからない。 
 静の時もそうだが、『押し付けるばかりが愛情じゃない』なんて、俺には理解不能だ。
 好きは好きだし、愛してるは愛してるだ。
 好きな女には俺も好かれたいし、愛されたい。
 幸せにしてやりたい。
 泣いてたら涙を拭いてやるし、笑わせてやる。
 それが愛情だと俺は思ってるから、類の愛し方ってやつは俺にはまったくわからなかった。
 「だからさ、牧野が司のこと、好きならそれはそれでいいんだ。あいつさえ幸せなら、俺も祝福できるよ。でも、お前が中途半端な気持ちであいつに手を出して、牧野を不幸にするつもりなら、絶対に俺はお前を許さない」
 いつもは飄々とした類の顔が、冷たく鋭く変わる。
 俺とは違う愛し方じゃあるが、その顔が俺と同じくらいに真剣なんだと、俺に教えた。
 「半端な気持ちのわけがねぇだろ。今も昔も、俺が惚れたのはあいつだけだ。この世で、俺が好きになったことがある女は牧野つくし、ただ一人なんだからな」





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