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初恋は靴底の感触…30話完

初恋は靴底の感触13

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 あれから…強引に牧野を食事に誘い、靴を買ってやった時から、俺とあいつの関係は膠着状態。
 家まで送り届けてやったところまではいい雰囲気だったように思う。
 牧野が一人暮らしをしていると聞いて、そのまま押し入りたい気持ち満々だったが、さすがに今の段階でそれを強行するのは得策じゃないことは俺にもわかっていた。
 牧野と遊びで付きたいわけじゃない。
 真剣に付き合いたいと思ってる。
 今の俺はガキの頃の俺じゃない。
 好きだ、気を引きたい、それを苛めることや意地を張ることで果たそうとしたあの頃を繰り返すほどのバカじゃなかった。
 だから、ストレートに誘い掛ける。
 「…今日、仕事終わったら飲みに行こうぜ」
 「無理。まだ、引継ぎ終わってないもん」
 一刀両断。
 もちろん、それくらい引き下がる俺でもない。
 「明日、お前、休みだろ?…温泉地まで足を延ばして一泊して来ねぇ?」
 「…未婚の女が、彼氏でもない男と一泊旅行なんてありえないから」
 「だから、彼氏に立候補してんだろ?」
 「………」
 その沈黙はなんだ?
 「週明けたら、高木の奴がNYに行っちまうし。これからはお前、俺の出張にもついて来いよ」
 「この会社に、出張するほどの遠出の仕事なんてありませんよ」
 「うるせぇ、高木!誰がてめぇに言ったんだよっ。黙ってろッ」
 「……秘書に八つ当たりするなんてサイテー」
 ケンモホロロ。
 俺の熱いアタックに対して牧野の方はたいがい冷たいもんだったが、それでも決定的に嫌われているという気はしていなかった。
 なんせ、過去、蛇蝎のように嫌われていた昔がある俺だから断言できる(とても自慢できたもんでもねぇけど)。
 押せば逃げ、引けば寂しそうにする。
 おいおい、いったい牧野、お前は俺にどうしろっていうんだよ?






 「単に仕事上の上司をズバッと切って、仕事しずらくなるのが嫌なんじゃないの?」
 ズバッと切ってんのはてめぇだ、類。
 「まあ、そりゃあな、過去が過去だし。司の奴を振って、退学になりかけたもんな、牧野の場合。今度は会社クビってか?そりゃ、いくら雑草女でも躊躇するよな」
 …人が忘れていた過去をわざわざ掘り起こすんじゃねぇよ、あきら。
 つーか、誰かそんなことすっか!それじゃ、パワハラじゃねぇか。
 脛に疵持つ俺が言えるセリフでもねぇけど。
 「結局、司の独りよがりで、牧野が司に惚れたことって一度もなかったもんな。思い起こしてみればよ…」
 楽しそうなのは総二郎。
 「うるせぇんだよ、てめぇら。俺をおちょくりに来たなら、帰れ、帰れッ」
 ちょっくら女心とやらでも詳しい奴らにでも、聞いてみるかと呼び出した。
 …仕事終わりに今日も、牧野を誘って玉砕したしな。
 ここらで、なにか牧野を誘いだす方策を考えないとならねぇ。
 そう思って、邸に集合させたはずだった。
 どいつもこいつも、面白そうに俺から根掘り葉掘り事情を聞きだしたくせに、誰一人有益な情報を寄越す奴がいなかった。
 お前ら(類はともかく)、確か女のことは任せろって昔から言ってなかったか?
 「…でも、結局、司、牧野のこと追い掛け回してるんじゃん」
 「あ?」
 「俺、お前が日本に帰ってくる時、牧野にちょっかいかけるなって言っておいたよね?」
 牧野がビー玉の目だとか言っていた類の何考えてるんだからわかんねぇ目が、俺を見据えて冷たく光ってるのを、威圧をこめて睨み返してやる。
 「まあ、まあ、まあ。…そうとんがるなよ」
 「別にとんがってないし」 
 「ああ。喧嘩売ってんのは、こいつの方だ」
 俺と類に言い返されて、しょうがねぇなと、あきらが肩を竦める。
 それを見やって、総二郎が首を傾げた。
 「実際、類、お前どうなんだ?高校生の時、なんだかんだと牧野のこと司から奪うみたいな形になってたけど、結局牧野と付き合わなかったよな?」 
 それは俺も聞きたいところだった。
 牧野本人からは、類とは付き合わなかったということを聞いてたけど、類自身は牧野のことをどう思ってるのか、真正面からは聞いていなかったからだ。
 もちろん、類が牧野をどう思っていようと俺には関係ねぇ。
 もし、類の奴がライバル宣言しようと、戦って牧野を勝ち取る自信も気概もある。
 わけもわからず、嫉妬して牧野を振り回していたガキの頃の俺じゃねぇんだ。
 俺様の大人の法要力(包容力)って奴で、牧野をメロメロにしてやるぜ!
 …まあ、俺は無神教だが、なんだって為せば成る。
 総二郎に問われて、類が憮然と唇を尖らせた。
 それこそ、てめぇこそガキかって話だが、不思議に昔からこいつはこういう表情をしても、違和感あるどころか、ある種の女どもには受けていたから、牧野に妙な効力を及ぼすんじゃねぇかと要注意だった。
 「付き合ったことないよ…あの頃、俺、まだ静のこと好きだったもん」
 「あ~、まあ、お前はそうだったろうな」
 「…それでも、牧野のことも満更じゃなかったんだろうよ。よりにもよって司が追い掛け回してた女を横取りしたくらいだしよ」
 「牧野も、類に惚れてたな、そういえば」
 あきらはともかく、歯に衣着せぬ総二郎の言葉に、改めてあの時のムカつきが蘇って来る。 
 そうだ、こいつは俺を裏切ったんだ。
 そのこいつを許した俺はなんて大人物なんだと、感じ入ったが、当の本人はチラッと俺を見て肩を竦めるばかりで、感謝の念がいまいちたりねぇのは気のせいじゃないはずだ。
 「それは…まあ、多少は俺も悪かったとは思ってるよ」
 「わっ、かるぅっ」
 「今ちょっと、俺、司に同情した」
 「多少かよっ!」
 三人三様、とりあえず、類にブーイングを飛ばす。
 つまんなそうな顔で欠伸をこいた類が、ちょっと面白そうに笑って、…俺を見るその目はいったいなんなんだ?
 「…ま、俺もさ、一応、司のダチなわけだし?」
 「…一応かよ」
 「ガキの頃からずっと一緒だったお前裏切って、手を出すのはさ」
 「……って、確か、あん時、俺ら牧野とお前、同じ部屋に閉じ込めたよな」
 「ああ、あったあった。司の姉ちゃんの発案で、綺麗な思い出を牧野に作ってやるとか言うお下劣な作戦…」
 姉ちゃんのハチャメチャな発想には、さすがの俺らF4も頭を抱えることがままある。
 そうは言いつつ、けっこうその影響を受けている自覚はけっこう俺にもあった。
 時々、姉ちゃんの価値観で動いてる自分が怖いかも。
 それはともかく、今は類だ、類。
 こいつら、マジでどういうことになってたんだよ!
 俺がNYに行って、野放し状態だったわけだろ?
 「あの時も総二郎たちには言ったけど、牧野、イイ女だし、俺もマジになりそうだったからさ、抱いても良かったんだ」
 「……」
 「けど、一番に惚れてもないのに、それって牧野にも、司にも悪いだろ?」 
 「まあな。でもそれにしても、司がNYに行ったまま帰って来なくって、普通、司も諦めたとか思うもんなんじゃねぇの?」
 …諦めた、まあ、俺も正直つい最近までそう思ってた。
 実際、仕事と学業の二足の草鞋で、かなり適当だったとはいえ、忙しすぎて牧野のことを思い出すことも稀だった。
 とはいえ、どの女にもマジになれなかったから、全然忘れられてなかったんだと、今更ながらに自覚しちまったけどよ。
 「まあね。俺もあいつの良さわかるにつれて、いつの間にか静のこと忘れてマジになってたし」
 「「「へ?」」」
 「俺、フラれてんだよ。何度か牧野にアプローチしたけど。…ていうか、あの時ももうすでに牧野、俺のことより司のことの方が好きだったんじゃないの?」





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