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「中・短編」
初恋は靴底の感触…30話完

初恋は靴底の感触12

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 一足だけという約束で買ってもらった靴は、すごく素敵だった。
 何より履き心地が、今まで履いていた靴とは段違いの心地よさで。
 …うわ、これじゃあ靴擦れしようもない気がする。
 ヒールもしっかりあるのに、歩いていて疲労を感じなかった。
 とりあえず予定外のショッピングで散歩の時間は奪われ、明日も会社ということで今日のところは家まで送ってもらった。
 本当はあたしが秘書として道明寺の家に送るところを、
 「…いいんだよ。俺は後は車に乗って帰るだけなんだから、大人しく送られとけ」
って。
 なんだかな、って思う。
 でも、なんだかあっという間に馴染んでしまって。
 「あ、ここでいいよ。あたし、あそこのマンションに住んでるの」
 「マンション?あの掘立小屋がかよ」
 「うるさいわね!あれでもあたしの収入だけで暮らしてるんだから、立派な方なのよっ」
 納得いってない顔だったけど、あたしの憤慨は伝わったらしく、一応頷いて車を停めてくれた。
 あたしが車のドアを開けて外へ出ようとすると、運転手さんが開けてくれる。
 うわ、別世界だよ。
 久しぶりに接すると、すごい緊張する。
 いまさらだけど、やっぱりこういうのは絶対に慣れないよね。
 「あ、寒いし、あんたは出て来なくっていいよ」
 「…別に外の空気吸いたいだけ」
 「あ、そ」
 そうは言ったけど、互いに名残惜しい気持ちがある。
 変なの。
 明日だって会社で会うんだしって、あたしは、そんな気持ちを振り切る。
 「じゃあ、今日はご馳走様でした。食事も美味しかったし、靴もどうもありがとう」
 「おう。…気を付けて帰れよ」
 「うん、じゃあ、明日」
 「…ああ」
 踵を返してマンションへと向かう。
 「牧野」
 呼びかけられて即座に振り向いてしまった。
 「…なに?」
 「明日、週末だろ。夜からどっか行こうぜ」
 「…え」
 夜からっていったいどこ行くのよ。
 躊躇して言葉を詰まらせたら、ニヤッと笑われた。
 「泊りがけの旅行でもいいけど、とりあえず、明日はちゃんと帰してやるからさ」
 「…行かないわよ。急な部署移動で、残業があるもの」
 今日は道明寺の送迎を命じられたから仕方がないけど、それも初日のこと。
 もし明日からもそれが通常業務になるのだとしても、道明寺を送ったらもう一度会社に戻らないといけないだろう。
 「あんただって、そういつまでも暇じゃないでしょ?」
 「……」
 「とりあえず、明日、寝坊しないでよ。迎えに行くからね」
 そういえば迎えに行くってどうしたらいいんだろう?
 確か道明寺のお邸って世田谷にあったよね?
 電車?
 いったい何時に家を出ればいいのよ。
 しかも、またこっちに戻って来るとなると頭が痛くなる。
 でも…タクシーってわけにはねぇ。
 経費で落ちるんだろうか。
 家についたら高木さんに電話で聞こう。
 願わくば、高木さんがまだ会社にいてくれますように。






 なんだかんだと、牧野に言い逃れられ…。
 気が付けば、すでに再会して10日、何の進展もない。
 「…聞いてらっしゃるんですか、社長!」
 高木が憮然と俺の前に書類を提示する。
 「なんだよ、今日はこれだけか?」
 聞いてさらに、ブスくれた顔になった。
 「…んだよ、その顔は。お前、さんざん、俺に仕事しろって言ってただろ?」
 「そうですよ、私が言ってる間は少しもやる気を出してくださらなかったくせにっ」
 妙に甲高い声をあげられ、背中がゾクゾクしちまった。
 「気色わりぃなっ!」
 「気色悪くてけっこう!社長は絶対、真正ホモだって思ってたのにっ」
 「……」
 「…は?」
 コーヒーを持って入ってきた牧野の目が点になっている。
 おい!牧野に変な誤解されたらどうすんだっ。
 そうなったら、お前はNY本社どころかアラスカ支社行きに変更だ!
 「道明寺って…」
 「皆まで言うんじゃねぇッ。俺はお前に惚れてるって言っただろ?その俺がなんでホモなんだよっ」
 「ちょっと道明寺っ!…じゃなくって、社長っ」
 高木の目を気にした牧野が焦って、窘める。
 別に隠すことはねぇだろう、悪いことしてるわけでもあるまいし。
 「牧野さん、いいんですよ。あなたは社長を真人間に更生してあげてください」
 「えー、いや、それはちょっと」
 高木の言い分もたいがい失礼な話だが、否定しない牧野もなんだんだ!
 つーか、それはちょっと…の後の言葉がすげぇ気になる。
 …それはちょっと、言いすぎじゃないですか?
 なのか。
 …それはちょっと、ごめんです。
 なのか、取り方によって真逆の意味あいだ。
 「冗談はともかくとして、最近の社長の成果は目覚ましいですね」
 「当たり前だ。この俺を誰だと思っている」
 「…遅刻常習犯のバカボンと異名をとった…うぐっ」
 懲りない奴だ。
 牧野の目に触れないところで蹴りつけたが肉の壁に防がれた。
 大げさな悲鳴の割に、大したダメージを受けてないのは、牧野に弱い俺を見こして泣きつくその根性でわかる。
 「牧野さん~」
 「ちょっと!社長、酷いですよっ」
 「…この暴力に耐え続けた日々がやっと終わりますぅ~」
 「その野郎に加え続けられた俺の精神的疲労の方がよほどひでぇよ」
 「何言ってんのよ、人間凶器のあんたと付き合ってくれていた高木さんに感謝することがあっても、文句言う筋合いじゃないでしょっ!」
 「牧野さん」
 「はい」
 「頑張って」
 「……」
 だから、その沈黙はなんなんだつーの。
 まあ、確かに、牧野が傍にいるようになってからは、仕事にも身が入るようになってきた。
 面白くもねぇ仕事だが、牧野が見てると思うと適当にもやれねぇ。
 この会社に就任当初は高木も今まで通り大して期待もしてなかったのか、重要な仕事は俺にフってこなかった。
 が、ここのところの俺の態度に何か感じることがあったのか、最近では少しづつ重要度の増すものも持ってきてるのがわかる。
 「この頑張りをNY時代に見せてくださればね」
 「…そしたら日本に帰ってこれなかっただろうよ。俺はこれで満足してる」
 それには苦笑一つで何も言い返さなかった。
 高木にしてもこの俺の好調が、何を理由にしているかわかっているのだろう。
 「私としては、誠心誠意お仕えしてきたつもりですが成果が上がらず。それなのに、牧野さんの存在だけでこうも社長が変わられると立場がないんですが…不思議に嬉しいんですよ」
 「そうかよ」
 「高木さん」
 「なんか、複雑ですけどね。私も後数日で、お暇します。最後に社長が生まれ変わるところを見られて良かったですよ」





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ここちゃん様>ご質問に関して。

こんにちは。いつも応援ありがとうございますm_ _m
先日も丁寧なお礼の返信をいただいたにも関わらず、こちらからの返信を怠ってしまい、ごめんなさい。

ご質問の
『君を愛するために〜は今までのサイトでは見れないのか?』についてですが、大丈夫です、サイト移設はしておりません。
こちらでお待ちいただければ、更新してゆきますので、どうぞ、よろしくお願いいたしますm_ _m
ツイッターでの『申請』報告ですが、これは、Never…ever様へのパス申請についての報告で、コメント欄とツイッター両方で申請者様へお知らせしているわけでした。
紛らわしくてすいません。いや、ツイッターは広範囲に呼びかける形になってしまいますので、ランキング等で広告されているサイト様ならばともかく、ひっそり運営されているサイト様の名前を出すのもな…と、「リンクサイト様」という形で表示しておりました。

ここのところ、リアル都合を無視していたのですが、ギリギリまるで夏休みの宿題を前日にやる小学生のようにおいつめられておりまして。
涙を呑んで?小説から離れておりました。
それも無事?昨日、一先ず目途が立ちましたので、頑張って更新再開いたしますので、もう少々お待ちくださいませm_ _m

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はち様>ご質問に対しての返答です。

こんにちは。いつも応援ありがとうございます^^
えっと、ご質問というか疑問の件。
2/1から当サイトの最新記事が読めないとのことですが、実は2/1日から数日リアル都合で更新を怠っていまして。
すいませんm_ _m

当サイトはいまのところというか、今後もパスワード等を導入する予定はありません。
ご心配させてしまってごめんなさい。
そのままで見られますので、どうぞご安心を。

今日から頑張ってまた更新いたしますので、どうぞよろしくお願いいたしますm_ _m

ちょっと時間がないので、告知していませんが、今日はam.6:00~「百万回の微笑みを愛の言葉にかえて」、pm.12:00~「昏い夜を抜けて」、pm.18:00~「昏い夜を抜けて2回目」、pm.21:00~「初恋は靴底の感触(未定)」を更新予定しております。
18:00の予定まではすでに更新予約しておりますので、お楽しみに♪

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