FC2ブログ

「中・短編」
初恋は靴底の感触…30話完

初恋は靴底の感触10

 ←初恋は靴底の感触09 →初恋は靴底の感触11
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 何を言われているのかわからないと言う顔をしていた牧野の顔が、見る見る赤らんで…。
 「うおっ!」
 拳が飛んできた。 
 あっぶねぇ!
 この女、相変わらず凶暴だぜ。
 「…何すんだよ!」
 「あんたが、変なこと言うからでしょ!?」
って、ことは?
 「ヤったんじゃねぇの?」
 「ヤ、ヤるわけないでしょ!他に好きな人がいる人に何をするっていうのよっ!」
 「…なるほど」
 他に好きな女がいたからって奪えばいいだろって、俺だったら思う。
 が、牧野が類とヤってなかったってことが妙に嬉しい。
 って、ことはだ。
 類の奴と牧野がつきあわなかったてことも信じていいんだよな?
 「じゃあ、本当に類とは付き合ってないんだな?」
 「しつこいわね。単なる友達よ。…確かに、花沢類のことが好きだったこともあるけど、ハッキリ振られたんだもん、いつまでも延々と思ってるほどあたしは執念深い女じゃないわよ」
 憤慨したような牧野の膨れた顔が可愛い。
 なんだか見る見る気持ちが明るくなって、昔牧野に逢いに学校に行っていた日々を思い起こした。
 やっぱ、こいついいよな。
 容姿はまあ、ごく普通なんだろうけど、子供みたいにクルクル変わる表情も、媚びたりおもねったりしない真っ直ぐな気性も昔のまま、生き生きとした目がキラキラしていた。
 が、待てよ。
 「そういえば、昼間の男、えらく親しそうだったな…」
 「昼間の男?」
 何を言い出したんだと、牧野が胡乱な目で俺を見る。
 クソ、そんな顔ですら可愛いとかって、俺もバカじゃねぇのって自分で思うけど、もう止められねぇ!
 「ああ、宇佐美ね。彼はただの同僚。同期だから…あ…まあ、そ、それなりには仲良いけどさ。さっきから何なの?身辺調査?」
 さすがに怪訝に思ったのか、牧野が不機嫌に顔を顰めた。
 「いや、単なるリサーチ」
 「は?何のよ」
 「お前の彼氏になるにあたって、よけいな虫がついてたら追い払わなきゃなんねぇからな」
 「……は?」
 一拍置いて牧野がキョトンと問い返す。
 「…彼氏って、誰が誰の?」
 「俺がお前の」
 「……」
 「……」
 「……」
 「だから、この俺様、道明寺司がお前、牧野つくしの彼氏になるってことだよ」
 「は?え?か、彼氏っ!?どっへえぇぇぇぇぇ~~~?!」






 「おま、ウルセェ」
 道明寺が両手で耳を抑えて顔を顰めた。
 いや、うるさいって、そりゃそうだろうけど、今こいつなんて言った?
 「…てことで、お前、俺の女だかんな。メシでも食ってくか」
 「じゃないでしょ!なによ、それっ。あんた、何勝手なこと言ってんのよっ!?」 
 こいつ、どっかネジの一本も落としてきたんじゃない?
 なんで、今日8年ぶりだか10年ぶりに再会して、いきなり「俺の女」?
 しかも、今日は高木さんに業務内容の引継ぎ受けてただけで、ほとんどこいつと話しもしていないし、やっと今、少し口をきいたくらいなのにだよっ!?
 「なんなのよ、あんた、ホントいったいどういうつもり!?」
 「…だから、トーン落とせって。たく、昔からお前、興奮すると声デカすぎ」
 そ、それは認めるけど。
 「興奮するのあたりまえでしょ?」
 「なんで?」
 「なんでって」
 「そりゃ、お前みたいな平凡な女に、俺みたいなハイスペックな男は気後れするかも…」
 「じゃないつーのっ!」 
 今度は意図的に、大声出して、遮ってやった。
 間近で叫んでやったので、どうやらキーンとなったらしく、理解不能なことを言いだしたバカ男が耳を抑えたまま目を回してる。
 「……てめぇ、憶えてろよ」
 「憶えてないわよっ!8年前の復讐なら…」
 「じゃねぇよ」
 思いもよらぬ真剣な声に、道明寺の顔を見返す。
 声以上に真摯な目に、心を射ぬかれた気がした。
 綺麗な顔に蕩けるような笑みを浮かべて、甘い視線にどうしろっていうのよっ。
 頬が自然に熱くなるのを感じて、あたしは狼狽えてしまった。
 やだ!道明寺なんだよ、道明寺。
 こいつはあの!道明寺。
 意味もなさない自制の言葉が、頭の中をグルグルと駆け巡る。
 「よし、お前、好き嫌いあったか?」
 「…特にはないけど」
 「美味い日本酒の店あるから、そこにするか」
 よし、って全然脈略ないし…ていうか、いつの間に、一緒に食事に行くことになったんだっけ?







 「美味しい~」
 道明寺に強引に連れて来られたお店は、あたしのような庶民とは縁遠い場所で、さすがに天下の道明寺司様、すごいお店を知ってらっしゃる。
 と、いうか、どう見ても一見さんお断りのお店で、道明寺はともかくとして、あたしには明らかに身分不相応だった。
 まあさ、一応は外出することもある元営業事務としてスーツは着用していたよ。
 でも、セット1万5千円のスーツはいかにも場違いで、気後れしてしまった。
 まあ、個室に案内されて、美味しい料理を前にそんな気持ちも吹っ飛んだけど。
 うわあ、なにこれ、すごい綺麗。
 食べるのがもったいない細工だよ。
 どれに箸をつけても美味しい。
 「わあ、あたし河豚って初めて」
 「淡白だけど、美味いよな」
 「うんうん、あ、こっちってなぁに?」
 「アンコウのから揚げだな」
 見た目、鶏肉と変わらないけどすごいジューシーで美味しい!
 「アンコウって確か、鍋にしたりするよね?」
 「まあな。西の河豚鍋、東のあんこう鍋とか言うな」
 「ふむふむ、東西がここで一同に会したってこと?すごい贅沢!」
 いやあ、ホント!美味しいよ~。
 あたしなんだか、さっきから同じことばっか言ってるけど、これだけ美味しいものを並べ立てられると、もうそれしか言葉がでない。
 でも…ふと視線を上げてみると、手酌でお酒ばっかり飲んでいる道明寺があたしをなんともいえない目で見ていて、ドキドキ落ち着かなくなった。
 「…ちょっと」
 「あ?」
 「なに、見てんのよっ」
 あまりジロジロ見られるから気恥ずかしさで我慢できずに、ついにはムクれた声を出してしまった。
 …いや、別にそんなに腹を立ててたわけじゃないんだけど、照れ隠しってやつでさ。
 「いや、すげぇ美味そうに食ってるからさ」
 「…だって、美味しいもん」
 「可愛い」
 「は?」
 何気なく呟かれた言葉に、思わず聞き返した。
 けど、道明寺は綺麗に笑っただけで、またグイッと盃を飲み干している。
 …聞かなかったことにしよう。
 お酌した方がいいのかな?
 接待とかじゃないから、あえてしなかったんだけど。
 迷って見ていると、なんだか道明寺の皿があんまり減っていないように見える。
 そういえば、こいつほとんど料理には手をつけてないよね?
 「…ねえ、お酒ばっかり飲んでないで、もっと食べなさいよ」
 「食ってるぜ?」
 「どこがよ。体に良くないから、ちゃんと食べなさいっ!」
 キョトンとした顔が不思議そうにあたしを見返した。
 その顔があんまりに真剣で、ドキマギしてしまう。
 「な、なによ」
 「…いや、別に。そんなこと俺に言うやつ、お前くらいだなって思ってさ」
 「何言ってんのよ、誰だって思うことでしょ?ほら、まさか、その年で偏食だとかいうんじゃないでしょうね?」
 「これでもいつもよりは食ってるって。お前見てるとなんだか、不思議に食欲湧いてくる」
 「なによ、それ、変なの」
 それでも箸を料理につけだした道明寺に安心して、あたしも再び食事に戻る。
 なんだかねぇ、いくら図々しいあたしでも、スポンサーがほとんど食べてないのに、一人で食べまくったりなんかできないでしょ。
 「…これ、お前好きだろ?食えよ」
 「え?どうしてわかるの?」
 「他の食う時より、目が輝いてる」
 「ははは…」
 あれやこれやとやり取りしたり、これが美味しい、それは好みじゃないなんて言いあってるうちに、妙な緊張がほぐれた。
 高校時代だってそんなにまだ気安い関係じゃなかった。
 でも、こうやって食事を一緒にしたり、おしゃべりをしたりすると、意外に道明寺も一人の普通の青年にすぎないことがわかった。
 そういえば、こいつといる時はいつも波瀾万丈で。
 ゆっくり一緒におしゃべりしたり、お互いのことを話したりとかってほとんどしたことがなかったんだよね。
 向き合おうとした時は、あたしはまだ花沢類への気持ちが残ったままだった。
 好き…って思うには、道明寺との関係はまだまだ始まったばかりで、戸惑いばかりであの頃は…後悔も多かったように思う。





◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ





◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ





↓ランキングの協力もよろしくです♪
ブログランキング・にほんブログ村へ 💛 
いつも応援ありがとうございます^^!

web拍手 by FC2






関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【初恋は靴底の感触09】へ
  • 【初恋は靴底の感触11】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【初恋は靴底の感触09】へ
  • 【初恋は靴底の感触11】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク