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「中・短編」
初恋は靴底の感触…30話完

初恋は靴底の感触09

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 なんていうか、狭い…といっていいのか、車としては異常に広いリムジンの中が気まずい。
 でも、そんなことを思っているのはあたしだけで、どうやら道明寺の方は機嫌も悪くないらしい。
 こいつ…まさか、本当に女ならどんな女でも良くなったわけ?
 あたしはいわゆる、因縁浅からぬ女ってやつよね。
 『新社長は若い女性の秘書をお望みで、しかも自分より年下という条件を…』という、部長の言葉が脳裏に蘇る。
 とんだヒヒジジイならぬ、スケベ御曹司に成り果てたってわけ?
 なんだか、あの道明寺が!?と思うと信じられない気もする。
 でも、あたしだってこの8年間でずいぶんと変わったって思う。
 道明寺だって、見かけだけじゃなく、中身だってずいぶん変わったておかしくない。
 あたしとは関係ないことなのに、それがなんとなくショックで…寂しかった。
 「…おい」
 ビクッ。
 考え事してたから、思わず体が跳ねちゃった。
 いやいや、ビビっていることを悟られてはいけない。
 野生の獣は、怯えているとわかると襲い掛かって来るそうなので、虚勢を張ってでもあたしのこの恐怖を悟られてはダメなのよ!
 …でも、この至近距離で襲い掛かられて、果たしてあたしは無事にいられるんだろうか。
 きっと、悲鳴を上げても、運転手さんは雇い主である道明寺の味方だろうし。
 あたしは、一人でいらぬ妄想に苦しめられ、いつ道明寺に破廉恥なマネをされるかと戦々恐々。
 「おいって!」
 「…な、なによっ」
 「つーか、なんでお前そんなに俺に警戒心バリバリなの?」
 「へ?いやいやいや~そ、そんなこと、な、ないっす!」
 上擦ってる声が、あからさまに動揺していて、我ながらそれがまたえらく不審だった。
 「…お前さ、あれからどうした?」
 「……」
 「高校の時、俺、途中でNYに行っただろ?」
 何をいまさらって思う。
 別に過ぎ去った事なんだから、あたしの方だってサラリと答えればいいのに、道明寺の意図がわからなくて、言葉に詰まってしまった。
 「…お前、今も類と付き合ってんの?」
 「…付き合ってるって」
 「類の奴は友達とか言ってやがったけどさ」
 道明寺にジッと伺うように見つめられて、なんだか落ち着かなかった。
 なんで、そんなに熱い目であたしを見るのよっ!
 罵声でも浴びせたいなら、さっさとやってくれればいいのに。
 仕返ししたいなら、一発殴ってくれた方がよっほど気が楽だと、あたしは勝手なことを思った。
 「…ま、別に関係ないけど」
 「えっ…あ、そう」
 何を言い訳しようとしてるんだろう、あたし。
 でも、なんでか、そのまま誤解されているのが嫌だった。
 言い訳する必要は全然ないっていうのに、ついつい言わずにはいられなかった。
 「…類とは付き合ってないよ。っていうか、付き合ったこともないし」
 「はあ?何言ってんだよ。邪魔者の俺もいなくなって、晴れて誰に遠慮もなく…ってやつだっただろ?」





 俺も聞かなかったから、総二郎たちも俺に遠慮して、類と牧野のことは何も言わなかった。
 けど、あの頃の牧野の類への惚れこみ具合や、類のまんざらではない態度でこいつらは、てっきり俺がいなくなって付き合いだしたのだとばかり思っていたのだが…。
 「…だって、花沢類には静さんがいたじゃん」
 「いたじゃん、て。それでもお前のことも嫌ってたわけじゃねぇんじゃねぇの?」
 それもムカつくところだった。
 俺にはこいつはただ一人の大事な女だったのに、あいつは静に未練を残していて、その思いが叶わないから、その慰めにこいつを利用していたのを俺は知っていたから。
 なんで、よりによってこいつなんだよ!
 どこのどいつを、どんな女を身代わりにしたっていい。
 なのに、俺が初めて惚れて、誰よりも好きだった女を、類の奴は静を忘れるために利用した。
 これが赦せることかよ!?
 よりにもよって親友なんだぜ?
 けど、結局こいつが選んだのは類だった。
 最初から、勝負にもなってなかったのかもしれないとは思う。
 こいつを苛めて、苛めて、思いっきり嫌われて…惚れてるって自覚した時には、牧野の目はすでに類だけを見つめていた。
 類に叶わぬ想いを抱いているこいつを強引に引き寄せようとして…それでこいつも俺に引きずられただけ、だったんだろうな。
 類の目が静に向いていることをいいことに、掻っ攫おうとした。
 けど、いざ類が静との間が上手くいかなくって戻ってくると、意図も簡単に引き戻されちまった。
 …プライド?
 まあ、確かに傷つかなかったわけがない。
 だが、そんなことより、こいつの気持ちが欠片も俺にないことが辛かった。
 俺の人生で初めて恥も外聞もなく縋った。
 俺を裏切った女に、「俺を好きだと言えば赦してやる」…それはプライドなんか捨てた俺の懇願だったって、こいつは気が付いていたんだろうか?

 ま、それも昔のことだ。
 なのに、いまさら穿り返してどうする?
 そうは思うのに、綺麗になったこいつに、聞かずにはいられなかった。
 「そりゃあ、あたしも、嫌われてはいなかったとは思うけどさ。でも、まだ、静さんが好きだってハッキリ言われちゃったんだもん」
 「類がか?」
 「そ。あんたとのバスケット勝負の後、お姉さんたちに二人っきりに部屋に押込められて、いろいろ話をしたの」
 あの時の苦い思いが蘇る。
 けど、牧野と類がそんな話をしていたとは。
 「…でも、やっちまったんだろ?」
 「なにを?」
 「だから、セックス」





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