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「中・短編」
初恋は靴底の感触…30話完

初恋は靴底の感触03

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 「はあ?新社長の秘書って、確かNYから一緒に左遷…いや、連れて来るって話じゃなかったっけ?」
 「…それが、いきなりの話なんだけど、その新社長、一昨日脳梗塞で緊急入院したんだって」
 「…知らねぇぞ、そんな話」
 あたしの横で、社食のスプーンを振り回す男友達の宇佐美。
 若手社員NO.1の人気とかで、少し周囲の視線が痛い。
 …あたしにとったら、単に同期のヤンチャ男にすぎないんだけどね。
 これでも何かとモテるらしく、やっかまれることも多い。
 まあ、狭い社内、少しでも有望株を捕まえたい子たちの野望もわかる。
 「汚いから振り回さないでってば、やだっ!カレーの汁が飛んでるじゃんっ」
 「お、わりぃ、わりぃ」
 「…まったく、あんたってあたしより1才年上よね?確か」
 「ま、大学で1年浪人してっからな。なに?大人の魅力感じてた?」
 両手を顔に当てて、わざとらしくキラキラしい目のどこが大人の魅力なのよっ。
 まあ、ちょっとカッコイイとかいう見た目に、このおちゃらけた気安さが人気だというのはわかるんだけどね。
 気さくだし、友情に熱いし、何かとあたしもお世話になってる。
 「…あたしの弟とあんまりかわらないね~って思っただけ」
 「なんだよ!それ、弟かよっ。いつになったら、俺はお前の彼氏に昇格するんだっ」
 「ちょっと!声デカイッ」
 口を両手で塞げば、ニマニマ、ニマニマ。
 …勘弁して。
 この宇佐美には、実は少し前から交際を申し込まれていた。
 宇佐美の話によると新入社員で入社してから、3年間ずっと想ってくれていたとのこと。
 彼とはけっこう気が合って、カラオケ行ったり二人で飲みに行ったりもしたけど、全然気が付かなかった。
 それがつい先日、
 『…お前には直接言わないと、一生わかってもらえそうにもないからな』
とのこと。
 『何よ、それ。だいたいあんた、彼女いたことなかった?相談されたような気がするんだけど』
 『…いねぇよ。合コンとかは行ったりもしたけど、それでお前の気を惹こうとしてた俺の男心はまったく通じてなかったってことだよな』
 なんて。
 そんなんわかるかっ。
 『俺、今、彼女募集してるところなんだ』って面と向かって言われたら、普通、あたしのことなんて眼中なし、女とも思ってないんだろうなって思うよね!?…え?思わない?そうかなあ。
 「…しかし、お前、今日、やたらとボウッとしてんな」
 「は?」
 「心ここにあらずって言うか、俺とメシ食ってる間も、しょっちゅう気を散らしてんだろ?そんなに秘書になるのが嫌なのか?確か、お前秘書検定持ってるよな」
 「…まあ、秘書検定は大学時代にとれるだけ資格取ったら就職に有利かなって思っただけで、秘書になりたいとか思ったわけじゃないんだよね」
 「じゃあ、悩み事か」
 真剣な顔に、あたしも温かな気持ちになる。
 こいつ、こういうところ悪い奴じゃないんだよね。
 「ううん、ちょっと夢見が悪くって」
 「夢見って?」
 「…ん~、学生時代のことかな」
 「ああ、イジメにあってたんだっけ?なんか信じらんねぇな、お前がそんなのにあうなんて」
 宇佐美には詳しくは話していないけど、ある程度は英徳時代のことも話していた。
 なんていうか、親しくなれば親しくなるほど、あれこれ聞かれて困ったから。
 高校は道明寺たちとの3on3勝負の後、あいつが渡米したことで退学は免れた。
 けれど、やっぱりあそこに馴染むことなんてできなくって。
 花沢類とも、彼が静さんのことを忘れかねているということをあたしにハッキリと言ってくれたことでそんな関係にはならなかった。。
 そしてあとに振り返ってみれば、あの頃にはあたしもたぶん花沢類のことよりも、道明寺のことが気になっていたんだと思う…好きっていうには、まあ、そこまでの意識はなかったけど。
 でも、静さんが好きな花沢類と無理に付き合おうとかそういう気にはなれなかった。
 そうこうしているうちになんだかんだで、高等部2年生を終える間近…ついに我が家の家計が切羽詰まり、英徳学園を去ることになった。
 あたし的には清々した気分だったけど、それでもあそこで出来た友達…花沢類や、西門さん、美作さん、桜子や…和也君、彼らと離れるのは寂しかった。
 でも、新しく入学した公立の高校での毎日は、英徳での日々を遠いものにしてくれた。
 ごく普通の女子高生、友達を作って、放課後にはお茶して、休日には一緒に遊んだり。
 やっと取り戻した青春ってことかな。
 毎日が充実していた。
 家計的にも英徳から出たことで楽になったし、大学は奨学金をもらってけっこういい成績で卒業できたと思う。
 今働いているこの会社も、名だたる超一流企業っていうほどではないけれど、道明寺傘下でこの辺ではわりに名も知れている。
 …まあ、『道明寺』っていうところにわだかまりがないわけじゃなかった。
 だけど、あっちは財閥の御曹司。
 こんな僻地の子会社にやってくることなどまずはない。
 ここしか内定がとれなかったこともあって、「ま、いっか」で就職。
 今ではあたしも、入社3年目、中堅どころの営業事務だ。
 仕事も楽しいし、気の置けない仲間もできた。
 毎日が順調。
 後は…彼氏ができればねって。
 まあ、これはね、無理に頑張っても仕方ないことだから、自然に任せて…って言ってたら、優紀あたりには怒られちゃったけど。
 まだ25才なんだもん、焦ることないよ。
 「…まだ25才って、女の売れ時は短いぞ」
 ハッ。
 「なによっ!あんたいつの間にエスパーになったわけ!?」
 「アホか。つーか、さっきからボロボロ洩れてるぞ、独り言」
 「うぐっ」
 これも英徳時代の後遺症の一つ。
 ついつい独り言を大きな声で口にしてしまう。
 ドベッと皿を寄せたテーブルに懐いて、
 「…どこまで聞いた?」
 「いや、別に、彼氏ができれば後は言うことなし、みたいなところまで?」
 「…あはははは、はあ~」
 「だから、俺にしとけよ」
 「…ん~」
 「何が不満なんだよ」
 顔を近づけてくるのを両手で牽制して、溜息一つで席を立つ。
 「おいっ!牧野ッ」
 「あんたは友達。そりゃ、良い奴だけどさ」
 「じゃあ、いいじゃん。お前ちょっと異常だぞ。けっこうモテてるくせに、誰とも付き合ったことないだろ?」
 「誰とも…ってそりゃ、今は誰とも付き合ってないけど」
 モテてるってなんだ?
 会社入ってから、そんなイイ話聞いたことないけど?
 そりゃあね、あたしだって、学生時代、彼氏の一人や二人…手を繋ぐレベルだったけど、いなかったわけではない。
 けど、なんていうかなあ。
 わあっという、花沢類に感じたようなトキメキや、…不本意ながら道明寺に感じた『男』っていうのを意識した相手がいなかった。
 やっぱあの人たちが強烈すぎたのかな。
 友達とするようなところまではいいんだけど、それ以上っていうとなんというか躊躇しまくりで、実はいまだに処女だったりする。
 いやいやいや…。
 「もしかして!」
 「…はい?」
 「以前、会社まで迎えに来てたことあっただろ?すげぇ外車乗ったイケメン!あれがもしかして牧野の彼氏?」





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