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「百万回の微笑みを愛の言葉にかえて」
第一章 忘却は罪?

百万回の微笑みを愛の言葉にかえて028

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 つくしSIDE)

 夢の中で夢だと自覚している夢を見る時がある。
 今のあたしはまさにその状態で、絶対に夢だとわかっているのに、怖くて体が動かなかった。
 高校の制服を着た男たちが、ゲラゲラ笑ってる。
 あたしは、教室の机の陰にしゃがみ込んでいて、いつ気が付かれるか、男たちが机の下を覗き込むんじゃないかと怯えて震えていた。
 『…好きだ。気がおかしくなるほど惚れている』
 それなのに誰かの声が、何度も耳元で囁いてリフレインしていた。
 なんで。
 誰なの?
 怯えながら、あたしはひたすらその声の主を探して、怖々とそこから逃れようと足を一歩踏み出した。
 …いや。
 行かなきゃ。
 …ダメ。
 あいつを探さなきゃ。
 二つの相反する気持ちが争って。
 ドンッとぶつかって触れてしまった机が揺れて、ガラス瓶が床に落ちる。
 ガッチャーンッ。
 ガッチャーンッ。
 ガッチャーンッ。
 ガッチャーンッ。
 ガッチャーンッ。
 たった一つが落ちただけのはずなのに、夢だからなのか、破砕音が繰り返し再生された。
 『誰だっ!?』
 男たちが逃げ回るあたしを嘲笑って、追い掛け回す。 
 『牧野つくしはここにいるぞーーーーーっ!』
 捕まってたまるもんか。
 …探さなきゃ。
 早く早く。
 そう思うのに、足がもつれて上手く走れない。
 追いつめられたどん詰まり。
 たくさんの顔があたしを取り囲んで、笑いながら囃し立てる。
 『やっちゃえーーーっ!いいぞっ』
 『きゃはははははは』
 顔、顔、顔。
 いやだ、いやだーーーーっ。なんで、……寺っ!?
 「姉ちゃん」 
 ハッと一瞬で目が覚めた。
 心配そうな進の顔があたしを見下ろしていて、ホッと安堵する前に猛烈な吐き気がこみ上げた。
 「うっ」
 「姉ちゃんっ!?」
 バタバタッと駆け込んだ便器で、胃ごと吐き出す勢いで思いっきり嘔吐する。
 昨夜、食べたパスタはもはや原型もなかった。
 吐くものがなくなっても吐き気が中々治まらない。
 「ううっ~」
 あまりの苦しさに、涙が滲んで、なぜか悔しくて哀しさが消えなかった。
 …なんで?
 あたし、そんなにもあんたを怒らせたの?
 「…姉ちゃん、平気?」 
 進がおずおずとトイレのドアの横から顔を出して、声をかけてくれた。
 吐き気が治まっても、なんだか体力が奪われて、部屋に戻る気になれなかった。
 「…姉ちゃん、部屋戻った方がいいよ」
 「うん」
 返事をしたもののまだ動く気になれなくって、這い出したトイレの外、隣接している脱衣所の床に腰を下ろして足を抱え丸く蹲った。
 「…先寝てて、もうちょっと気分が良くなったら部屋に戻るからさ」
 ガー、ガーと仕事で疲れて眠っているパパのいびきやママの寝息が聞こえる。
 「ごめん、進。起こしちゃって」
 「それはいいけどさ」
 ちょっと考えて部屋に戻った進が再び戻ってきて、肩にカーティガンをかけてくれた。
 「ここで寝るなよ。春先だって言ったって、まだ寒いからさ」
 「わかってるよ」
 「いくら俺がデカくなったからって、姉ちゃんみたいなデカイ荷物、抱きあげたりなんかできないないよ」
 「…うるさいっ」
 デカイはよけいでしょ?
 感謝はしたけど、憎まれ口を叩く進にムッとして、伸ばした足で脛を軽く蹴っ飛ばしてやったら、子供の頃と同じように情けない悲鳴をあげた。
 「いてっ。チクショー、ほんと、姉ちゃん凶暴だよ。こんな女がいいって言う、道明寺さんや類さんの気が知れないよっ」
 





 「せんぱ~い!」
 廊下を高等部の制服姿の美少女が駆け寄って来る。
 みんなの視線が桜子に集まり、ついであたしを見て、気まずそうに視線を反らせた。
 …なんなのよ、まったく、この視線の意味って。
 外部生の子はそうでもないけど、高等部からの持ち上がりの生徒の反応は大半そんなものだった。
 白眼視か無視。
 それが基本的な彼らのスタンスで。
 たぶん、それらはすべて道明寺を含むF4にあたしが庇護されている(と思っている)認識のせいなんだろう。
 「…触らぬ神に祟りなし、ですね」
 ギョッと桜子を顧みる。
 「なんですか?」
 「いや、あんたってもしかして超能力者?」
 「はあ?何バカなこと言ってんですか」
 「えー、だって、あたしが思ってたことピタッていい当てるんだもん」
 フンと鼻を鳴らした桜子が、嫌味な笑みを浮かべた。
 やめなって。
 あんたせっかく美人なのに、そんな顔したら台無しだよ。
 「先輩が考えてることなんて、顔見れば丸わかりです」
 「……それじゃ、あたしがまるで単純バカの隠し事できない人みたいじゃない」
 「え?自覚ないんですか?」
 大真面目に問い返されて、ガクッと肩が落ちる。
 あんたたちのあたしへの認識ってそんなものなの?
 「まあ、そんなことはどうでもいいんです。ずいぶん今日は冴えない顔してますね。地味な顔が萎れて見れたものじゃないですよ」
 「地味な顔とかよけいだから。…まあ、それはともかく、ちょっと夢見が悪くってさ。ハアッ」
 溜息をつくあたしを、マジマジと桜子が見つめる。
 「…よく夢は現実の鏡。願望とかの他に、過去の出来事の反芻(※繰り返し)と言いますよね」
 「…反芻か」
 あれが過去あったことだってこと?
 でもどこら辺が?
 夢だけあって、時間が経つごとにその詳細は薄れて、イメージだけが残っていた。
 とにかく、怖かった。
 怖くて悔しくて、辛かった。
 あれが過去にあったことだと言うのなら、いったいあたしってどんな経験をしたっていうの?
 「どんな夢だったんです?」
 「…ん、どんなって言われても。なんていうか、大勢に追い掛け回されて襲われてる夢?」
 「……」
 無言の桜子に、はは、と笑う。
 「まあ、自分でも荒唐無稽だと思うし、何被害妄想みたいな夢見てるんだとか思うけど、けっこうこれがリアルでさ」
 難しい顔をした桜子が、ふううッと呆れたように息を吐き出す。
 「どんな夢を見てるのかと思えば、もうちょっと色っぽい夢でも見てくださいよ?」
 「は?」
 「は、じゃありません。明日には道明寺さんが帰って来るっていうのに。どうせ見るなら、道明寺さんとのラブシーンでも夢見てください」





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