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「百万回の微笑みを愛の言葉にかえて」
第一章 忘却は罪?

百万回の微笑みを愛の言葉にかえて027

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つくしSIDE)

 これってどう見ても、串かなんかで刺したパイナップルだよね。
 頭のところのイガイガなんて、一度そう思ったら、パイナップル以外の何物にも見えなくなった。
 そういえば、昔パパたちと暮らした漁村で、こういうのを作っている人がいたな。
 なんて名前だっけ。
 そうそう吉松君だっけ。
 一緒にトウモロコシを売ってたけど、ちっとも役に立たない人だった。
 懐かしい人をつい思い出していたら、横で呆れたようにあたしを見つめている類の目に出くわした。
 「な、なに?」
 「いや。牧野のことだから、きっとこれも食べ物に見えてるんだろうなって思ったら、ついね」
 クスクス笑われる。
 ムッ。
 失礼な!
 そうは思うけど図星だったので、自分でも自覚して赤面しつつ、憮然と口を尖らせた。
 …なんだかな、と思う。
 なんて綺麗な顔で笑うんだろう。
 こんな人と二人でデートしたり、歩いたり、子供の頃に夢見た夢みたいだなって思う。
 王子様ってきっとこんな人のことを言うんだよね。
 でも現実はやっぱり見た目がどうであろうと、中身まで王子様というわけじゃなかったようで。
 「さ、行くよ、また、グズグスしてると、映画館に辿りつく前に、また牧野が腹を空かせてお腹グウグウならしちゃうからね」
 「なっ!失礼なこと言うなっ」
 つい蹴り上げようとしたら、大げさに飛びのいて避けられて、類が歩き出してしまう。
 …つい習慣でやっちゃったけど、類の方でも中学生の時の同級生の男の子たちとそう変わらない反応で、特に嫌な顔はされなかった。 
 っていうか、これっていつもあたしがこんな態度で、類も慣れてるってことだよね。
 うは…いうくら見た目だけだって、こんな人にも地が出てるあたしって、我ながら…終わってるかも。
 「……なに?」
 何やら手が差し出されている。
 「そこ、修復中で階段の床にテープやらなにやら貼られてて、滑るから手を引いてあげる」
 「あ、…うん、ありがとう」
 さすがにお年寄りじゃないんだから…とは言わなかった。
 イケずなことも言うくせに、こういうところはやっぱり王子様なのかもしれなかった。




司SIDE)

 目が覚めたら、7時過ぎだった。
 起きるか起きないかのタイミングで、執事から迎えの車と秘書が来たことが伝えられる。
 クソッ、ひと眠りしたら類に電話するつもりだったのに。
 あっちは今頃、23時すぎってか!?
 こんな時間まで、牧野と一緒だったら類のやろう絶対に許さねぇ。
 汗っぽい前髪をかき上げて立ち上がると、まだわずかにフラッと立ちくらみがした。
 「チッ、15分くれぇか」
 執事に15分ほど待て、と秘書に伝えるよう伝言を言い渡し、ざっとシャワーを浴びて、急いで身支度を整える。
 まだ生乾きの髪が、少しづつ強い癖を取り戻す。
 チラッと確認した壁時計はキッカリ15分を指し示していた。
 「…類のヤロウ、憶えてろ。後で時間ができたら、詳しい話をゲロさせるからな」
 上着の内ポケットの携帯電話を凄んで、再び戻すで。
 もうちょっとの辛抱だ。
 もうすぐで牧野の傍に帰れる。
 そうしたら、類だって誰だって、あいつの傍に男なんて犬コロ一匹だって寄せ付けねぇッ。
 「…副社長」
 俺の姿を見てホッとしたような寺島が、車の横で会釈を寄越す。
 「ガンガン仕事寄越せ。一日でも予定を早く消化できるよう、お前も根性入れろよ」






つくしSIDE)

 「つくし~、お風呂入っちゃいなさい」
 「…あ、はーい」
 ママに言われて、今日の記念に類からもらったストラップを急いで携帯に取り付ける。
 最初目についた時、可愛いなって一目で気で入った。
 でももうすでに一つつけてるし、大学生にもなって、こういうファンシーなグッズをあんまりジャラジャラつけるのもどうかとちょっと迷って、お店の棚に戻した奴だった。
 『…いいじゃん、それ気に入ったなら、記念に買ってあげるよ』
 現代アートの美術展を見に行ったにしては、まったくアートとは関係なくって、記念にはあまり相応しくはない気がして断ったんだけど、止める間もなく類が会計を済ませてしまっていた。
 「…けっこうアレで強引なんだよな、花沢類」
 甘い王子様の見かけに反して、気が付くと類の意思を通されている時も多い。
 あたしはピンクゴールドのクワンピースを着たクマで、裾にはガラス玉が入っていて、それが花模様になっていた。
 「類も買ってたけど、本気でアレつけるつもりなのかな」
 類の方はシルバーのクマで、ズボンの裾がやっぱりガラス玉の雫模様になっていた。
 携帯につけたストラップを透かし見るように目の上に翳す。
 類の携帯にもおそろいのクマがつけられていると思うと、ちょっと落ち着かない気分になった。
 …別にストラップくらいいいよね。
 そう思うのに、しっくりこないのは、やっぱり疚しいんだよね。
 ホント、誰に言い訳してるんだか。
 わかっていてあえて考えようとしないあたしはやっぱり卑怯なんだろうか。
 道明寺が帰ってくるまで、あの人のことは考えないでいようって思ったのに。
 それなのに、どうしても思考は道明寺へと戻ってしまい、彼が帰国するという来週のことを考えると居ても立っても居られなくなった。
 …とって食うわけじゃない。
 病室で確か道明寺も言っていた。
 だけど、いまのあたしは彼の存在自体が不安で、怖くて仕方がなかった。
 「案ずるより産むがやすし!F3だって、思ってたよりずっといい人たちだったんだから、道明寺だってきっとそうだよ!」
 でも、やっぱり思い浮かぶのは、学園で偉そうに練り歩いていた傲慢な王様の姿ばかりだけど。
 「やめやめ、お風呂入ろ」 
 もう一度ママに言われる前にと立ち上がり、携帯電話を引き出しにしまおうとして、奥の通帳に気が付いた。 
 「あ、そうだ。記帳しようって思ってたんだ」
 どれくらい入ってるんだろう。
 自分では見覚えのない、一番下の通帳を手に取る。
 「えっと……………え?」
 ちょっと、待って。
 見間違っちゃった?
 「1、10、100、1000、10000、100000、1000000、1……っ!?」
 …0が7つ。
 み、見間違いじゃないよね?!
 こ、これってもしかして…。
 「い、い、一千万円っ!?ひえええええぇぇぇぇぇ~~~~~~っ!?」





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