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「昏い夜を抜けて…全483話完」
第五章 迷走②

昏い夜を抜けて192

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 「いいの、西門さん」
 二人の火花が散る前に、つくしの小さな手が自分の腕を掴んだ総二郎の手をそっと外す。
 彼女の顔に浮かんだ寂しそうな微笑みが堪らなくて、どうしてこんな顔をこの女にさせることができるのかと、総二郎は類への怒りを抑えられなかった。
 「…類。こいつとお前がどういう付き合いをしているのか俺は知らねぇ」
 「……」
 「俺も男と女のことに口を出すほど野暮じゃねぇよ」
 「そう?じゃあ、口出さないで」
 そっけない類の舐めた言い方も無視し、総二郎がその目に強い意志をこめて類を睨み据える。
 「けどな、こいつは俺の大事なダチだ。男とか女とか、そういうところを越えたところで大切な存在だ」
 「…お前みたいな女にだらしない男が、そんなこと言っても全然説得力ないと思う…っ!?」
 「西門さんっ!」
 言葉の途中で、総二郎の片手が類の首を締上げた。
 さすがに吊り上げることはできなかったが、つくしが縋り付いて止めた手が、拳の形で握り締められる。
 「お前が、こいつをこんな顔にさせてる原因なら、俺はお前を認めねぇ」
 「……」
 「いまは、こいつの意思を尊重するが、このまま唯々諾々とお前の言いなりにさせておく気もねぇからな」
 「…どうするつもり?牧野のこと、子供みたいに閉じ込めておく?」
 「お前じゃあるまいし…」
 揶揄るようにあげられた口角が、類を見透かしている。
 お前が得ているものは、つくしの心や、ましてや愛情ではないだろうと、総二郎の顔が類への嘲りを含みせせら笑った。
 わずかに、類の冷たい仮面が揺らぎ、素の顔が覗いたように思えたのは総二郎の気のせいだったのか。
 「…何言ってんだかわかんないけど、お前が俺に敵対するなら、いくらお前でも許さないよ」
 「どう許さないって言うんだ?」
 「お前には前にも貸しがあるわけだし、俺の忍耐を試さなきゃならない理由はどこにもないよね?」
 「ぷっ、忍耐だあ?お前にとってどうでもいいことを無視してきただけだろう?他人の心も傷も知らぬ存ぜぬ、気にするに値しなかっただけ。ただ、それだけだ」
 表面的には笑いあう二人の空気はまるで切りつけ合う刃のごとく鋭いもので、類の目がすっと細まり、致命的な何かを吐き出そうとしているのが、つくしにも見て取れた。
 「それなら…」
 「戻るっ!戻るって、言ってるじゃないっ」
 悲鳴のような絶叫は、類よりもむしろ総二郎の戦意をそいだ。
 「…牧野」
 「西門さん、ほっておいて!本当に、いいの。あたしは、自分の選んだことの責任はとれるつもりでいるし、そうありたいと思っているのよ。だから、お願い」
 あたしの為に、無用に争わないで。
 それが総二郎の友情へのせめてもの義理立てであったし、もう誰にも自分のせいで傷ついて欲しくなかった。
 類はどこまでも冷酷になれる男だ。
 いまならそれがよくわかる。
 つくしと幼馴染みの親友である総二郎では立場も類にとっての重みも違うだろう。
 だが、そうであってさえ、類の意に添わなければ総二郎でさえも切り捨てるのではないかという危惧がつくしにはあった。
 その目に宿る冷酷さが、孤独が、友情でさえ不要だと思えば踏み躙る。
 もちろん、総二郎もまた容易にそんな類に潰されるような男ではないとわかっている。
 それでも、類と相争えば総二郎の立場で、無用な波風が立たないわけがなかった。
 「ありがとう。西門さんの気持ちは本当にありがたいし、嬉しい。あたしにとっても、西門さんは大事な友達だし、…嫌な思いをさせたくないの」
 「…気にすんなよ、って言ってもお前は気にするんだろうな」
 「……」
 「でも、俺もそう言われても、黙ってお前を行かせるような男じゃねぇんだよ」
 「西門さんっ!」
 「…今日のところは、とりあえず返してやるさ、類」
 「今日のところは…ね」
 鼻を鳴らす類の顔は余裕綽綽とも見えたが、そのわりには身に纏う空気はひどく冷たかった。
 憤りを抑えて。
 総二郎への敵意を抑えられず。
 冷静さとは真逆のところにいるのはあきらかで、逆に総二郎は安堵もしていた。
 類にとってつくしはとるにたらぬ存在ではないということに。
 どうでもいい存在であれば、自らこんなところへ来はしないだろうし、かつての婚約者のように顔も見ずに切り捨てただろう。
 それがつくしにとっていいことであるのか、そうではないのか。
 それはまだ総二郎にもわかってはいなかったが、どうやら知る必要がありそうだ。
 「いくらお前でも大の大人を、拉致監禁するわけにはいかねぇだろ?」
 「物騒なことを言うね。いつ俺が、牧野に無理強いしたっていうのさ?」
 類の唇の端にわずかに自嘲が浮かぶ。
 いつだって無理強いだ。
 そんなこと、誰よりも類自身がわかっていた。
 それでもかまわない。
 最初から承知の上だ。
 つくしの心など必要ない。
 ただ、その温もりがあればそれでいいのだから。
 「牧野、お前、うちに茶を習いに来い」
 「え?」
 唐突な話題転換に、つくしが戸惑う。
 だが総二郎の目は類から反らされないまま、至極真面目だった。
 「この前誘ったろ?俺もそうそう暇じゃねぇからな。会わせたい人もいる」
 「…西門さん」
 「これは命令だ。拒否は許さねぇ」
 「それこそ、お前に命令する権利がどこにあるのか聞きたいところだけど?」
 皮肉な類の言葉にはまったく反応せず、つくしへと振り返り、眼差しを揺らす彼女の両肩に手を置き、ゆっくりと総二郎は頷きかけた。
 「いいな?」
 「……」
 迷って、つくしは類へと視線を投じる。
 「類、承知しねぇなら、いまここで、牧野は渡せねぇ」
 「……本人が戻ると言っているのに?」
 「警察でも呼ぶか?そん時、牧野が味方すんのは俺かお前か、試してみるか?」
 つくしの肩がビクリと揺れる。 
 類を裏切ることは許されない。
 だが、総二郎を裏切ることはなおつくしにはできなかった。
 もし、このまま二人の相克が続けば、どうすればいいのか。
 青ざめた顔のつくしは、体の震えを止めることができない。
 「別に俺が二人っきりで、教えようってわけじゃない」
 「…そうだね、俺の元婚約者を略奪したってスキャンダル起こしておいて、二度目はないでしょ?」
 「好きに言え。俺がその気なら、奪い取ってやるさ」
 ニヤリと笑う総二郎に、類が冷たくせせら笑う。
 「いいよ、牧野どうする?」
 「…類?」
 「好きにしなよ。とりあえず、お前が俺のところにいるかぎり、それくらいは許してあげる。契約違反だなんて、言わないよ」





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類 対 西門さん 

西門さんに勝ってほしいです。

つくしちゃんを泣かす類は、許せないです!

もしくは 司ともう一度 ラブラブになってほしいです。

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うーむ

「類xつくし」な物語なので司と結ばれて欲しいとは贅沢言いませんが、
せめてこの花沢類の根性叩き直す大役を、ぜひ道明寺司にやって欲しい。
つくしに未練ある司がろくに調査もしない、事情も知らない、F3険悪も知らないノホホンと平和ボ ケ状態なんて普通ありえないですって(汗)
司の出番が少ない分、カッコよくガツンと類をお仕置きして欲しい。
そういや、つくしの大の仲良し幼馴染の優紀も出番少ないような気が・・・

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ついに契約の関係が・・・?

「契約違反」という言葉がでちゃいましたね。さあどうなるのか・・・
すごく続きが楽しみです。
類の心がいつかとかされ、素直になる日がくるといいなあと。
そして、類とつくしが幸せになるのを願ってやみません。
(類×つく ファンより)

なんだかんだ

この物語の牧野つくしは、道明寺を振って、さっさと忘れて、新しい恋愛してた女性なので・・・。
司は、つくしとは完全に未練もくそも無い状態で接して欲しい。
そうしないと司が不憫すぎて、女々しい男になってしまいカッコ悪すぎだお。
嫉妬深いタイプは、興味の対象が失せたとき、冷めて全く関心がなくなる場合もありますからー。
ただでさえ類と肉体関係の現在進行形であるつくしを知ったとき、
人一倍プライドが高い道明寺が恋だの愛だのといった感情を持ち続けるとは思えないですね
大河原滋でもいいし、栗巻あや乃でもいい、他の女性と司は司で幸せになって欲しい~♪
もう牧野とはただのダチとして、F4のリーダーとして、カッコよく登場を期待するばかりです。

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