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「昏い夜を抜けて…全483話完」
第五章 迷走②

昏い夜を抜けて191

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 つくしが玄関ドアをくぐると、見慣れた彼女つきのSPが頭を下げた。
 「…お迎えにいらしてます」
 「すいません、いつもお世話になっています」
 護衛されているとはいえ、目立たぬ行動を心がけてもらっているので、つくしに直接的な危険がない限り接触して来ない。
 そのため、こうして直に顔を合わせたのもほとんど初めてに近かった。
 「いえ、仕事ですので」
 セレブに接する機会が多い立場上、いろいろな人間を知っている。
 そんな上流階級の人々に気に入られ、身近にいることで中には自分自身の立場を勘違いし、セレブ然と権高く護衛の人間に威張り散らす者たちもいる中、つくしの殊勝な態度は彼には意外だった。
 「それでも、寒い中、あたしの身の安全のために、危険に気を配っていただいていることには違いありません。今日も、雨の中、ご迷惑をおかけしました」
 「…いえ。私こそ、牧野様が転ばれた折にもお助けせず」
 申し訳なさそうな男性に、つくしがゆっくり首を振る。
 「あたしが望んだことです。なるべく、普通の生活が送りたくて、他の人たちと違うようには見られたくなくって。その分、ご苦労をおかけしていると思いますが…」
 これからもよろしくお願いします、と言いかけて、果たして自分はそれを言う資格があるのか、これから…などというものがあるのか、つくしは言葉をとぎらせた。
 「…堀田と申します」
 「堀田さんですか?」
 「はい。だいたいは私が専属で牧野様におつきしております。時々他の者と交代で当たらせていただいていることもありますが」
 「そうですか。牧野つくしです」
 言わずもがなことだったが、名乗られて名乗り直して、頭を下げる。
 「いつまで…のことかはあたしにもわかりませんが、もうしばらくお世話になりますので、どうぞよろしくお願いいたします」
 「はい、お任せください」
 挨拶を終え、エレベーターへと向かうつくしに堀田と…急いで部屋から出てきた総二郎が付き従う。
 「…類の家のSPか」
 「はい。一月ほど前より担当させていただいております」
 山崎との事件からのことなのだろう。
 実のところ総二郎はまだ、類とつくしの関係をすべて把握しているわけではなかった。
 つくしが類のマンションに住んでいることや、あきらの話から総合すると、どうやら類とつくしが肉体関係を込みで男女の関係にあることは察していた。
 けれど、それにしては二人の態度が解せない。
 元々、静以外の女に入れこむような類ではなかったけれど、それにしても遊び相手にするにしては、つくしではいわくがありすぎた。
 あの司の熱愛した女なのだ。
 そして別れていまなお、未練を持っていることなど類だとて知らないはずもない。
 そうでなくても、総二郎やあきらが大切にしている女友達だとわかっているはずなのに、それをあえて愛人よろしく囲っているなど信じられなかった。
 …それなら、マジなのか。
 それはそれで信じられない。
 だが、高校生の時の一時、類とつくしの関係は、類と静の関係とはまた別の何か心の交流のようなものを感じさせる場面が、多々あったことを思いだす。
 そして…つくしだ。
 彼女はどう類が言いくるめたにせよ、唯々諾々と他人の男を寝とるような女ではない。
 類の婚約者の存在も、立場もわかっていて、それでもなおそんな男と付き合うことができる女だとは、今もって信じられなかった。
 そっと、つくしの顔を覗き見る。
 高校生の時の面影を残しつつも、大人の女へと成長とげ、芋虫が蝶へと羽化したかのように、いまのつくしは総二郎の目にも十分魅力的な女だ。
 まいったな。 
 つくしはきっと、磨けば光る女だとは昔からわかっていた。
 たとえ本人の自覚がどうであろうと、つくしは真実、花に群がる虫達のような男たちをひきつける甘い魅力を持つ女には違いない。
 司、あきら、そして類。
 よもや自分までも参戦するつもりはなかったけれど、世の女たちの憧憬を集め、高レベルの男たちだと称される彼らF4のうち3人までもつくしの周りに群がり、相争っている。
 あきらもだもんな。
 なんの冗談かと思った。
 けれど、いつになく真剣な眼差しをした友の顔は、総二郎でさえも初めて見るほどに輝いていて。
 恋愛とか…マジになる奴らの気持ちがわからねぇ。
 一瞬、一瞬だけ、期待したことがあった。
 自分の身に降りかかった奇跡にではなく、この目の前の女と友との絆に。
 あの司が恋い焦がれ、応えた目の前のこの女なら、自分たちが超えることができなかった壁さえ打ち壊せるのではないかと…。
 「西門さん」
 「…あ?」
 「…もう、ここでいいよ」
 気が付けば、エレベーターに乗り込み、階下へと降りていた。
 「寒いから戻って。今日はありがとう」
 総二郎にはわからない重いものを背負って微笑む女の寂しそうな顔が、胸を塞ぐ。
 なんだよ、雑草女のくせに。
 類と付き合ってんだろ?
 とっさに、つくしの手首を掴む。
 「西門さん?」
 「行くなよ。…そんな顔して帰るだなんて、絶対フツーじゃないだろう、お前」
 「そんな顔かあ…。なに?そんなにあたしったら悲壮な顔してる?」
 「悲壮って言うか…通り道塞がれて困った犬みたいな顔してるな」
 言いえて妙な例えに、つくしがキョトンと総二郎を見返す。
 心配してくれているのはわかるのに、総二郎のそうしたフザけた物言いが、かえってつくしの心を和ませ、微笑ませる。
 「ひどいなあ。でも、通り道塞がれても、そのうち何とかなるから平気」
 「…なんとかすんじゃねぇのかよ」
 「もう昔みたく無闇やたらに元気だったりしないもん」
 「牧野…」
 「…何、総二郎まで来てるの?俺、お前のことまで送ってかないよ」
 かけられた声に、つくしと総二郎がとっさに、エントランスホールのドア口へと振り返る。
 「…類」
 「遅かったね。出て来て、下に降りるだけなのに、ずいぶん待たされたから、けっこう寒かった」
 「申し訳ございません」
 堀田が類へと頭を下げる。
 「堀田さんのせいじゃないから。待たせたって言ったって、5分か10分くらいのことでしょ?」
 自分で勝手に待っていたくせに、なじる類がつくしの癪に障ってあてこする。
 寒いなら最初から待たなければいいし、そもそも無理を通したのは類の方なのだ。
 「俺、待つの嫌い」
 子供みたいに言い放って、冷めた目がつくしの手首を握った総二郎の手を見据える。
 「その手、離してよ」
 「断るって言ったらどうする?」





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総二郎待ってました!

つくしと西門さんの掛け合い好きです。原作では、「やだよにしかどさんが相手じゃ妊娠しちゃう」とか言ってましたけどもうその心配もないし(たぶん?)、明るくノリよく支えられてください!!

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櫻井るる様>ご質問について^^

こんにちは。
いつも応援ありがとうございます♪
もちろん!ちうも気は向いているんですが、すいません、すっかりお返事滞ってしまってます><

ご質問の堀田さん読みについて!(昏い夜を抜けて、登場のつくし付きSP)
とりあえず、「ほった」さんかな。
「ほりた」さんもいるんですねぇ。
日本名ってホントすごいですよね。
たとえば一瀬、とかいても、「いちせ」ではなく「いちのせ」。
もちろん、いちせさんもいらっしゃるかもしれませんが。
学校で習う読みとは違う読みもあったり、いろいろな読み仮名名があったり。

しかし、この堀田さん、もう一度出ることがあるかなあ^^;
本当に本当のチョイ役ですw
まあ、突然気が向いて、いきなり重要人物になることもありえる?w

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