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「中・短編」
拍手小話*①

大凶は恋の転換時?

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 その日は朝からツイてなかった。
 「あきら君!あきら君!!た~いへん!!今日のあきら君の運勢、10年に一度の大凶運ですって!」
 だからって、いきなり寝ている息子の上にダイビィングすんなよな…。
 見事に鳩尾にお袋の頭が頭突きして、悶絶する俺はとっさに何も言えなかった。
 「あ!でもね、でもね。恋愛運は転換の時!ですって。古い恋が去るも新しい恋が訪れるかも?ってぇ」
 言いたいだけ言って、
 「あら、次はママの運勢見なくっちゃ。ママったら、今日は大吉だったりしたらどうしよう~♪」
 本日一番の大凶がすでに発表されたので、最悪大凶はないと踏んで、ご機嫌なんだな。
 毎日お袋が見ている「ルイルイ先生の星占い♡」なんて、必ず半分が凶で、残りが吉なんだぜ?どこまで信頼性あるっていうんだよっ!
 「いてててて…」
 やっといろんな意味でのダメージから回復した俺は、振動を続けるマナーモード中の携帯電話を取り上げた。


 
 「あ、あきら君、ごめんねぇ、急に呼び出して」
 おしゃれなカフェの一角で、ロシアンティを傍らに、手持無沙汰に待っていたらしい美女が、片手をあげて俺に合図した。
 祥子さん、28才。
 年の離れた貿易商の夫を持つ彼女は、年の半分は外国にいる亭主の留守中に、カルチャースクールやら、ダンスサークル、お嬢様大学時代の
友人たちとお茶会を主催しあう正真正銘の有閑マダムだ。
 豪華な美貌と豊満な肢体、奔放なベットテクニックが俺を虜にしている。
 そんな彼女とのデートもこれでやっと片手の指で足りなくなるくらい。
 うちの親父のお得意様を招いた懇意会のパーティでの出会いが、二人の馴れ初めだった。
 こんな早い時間から待ち合わせなんて、珍しいよな。
 久しぶりにホテル直行コースじゃなくって、半日デートか。
 どこに連れていけば、ガキ扱いされず、若いツバメの面目躍如になるかと、あれこれ頭の中でシュミレーションを重ねながら、華奢な結婚指輪の似合う彼女の前の椅子に腰かけた。
 「祥子さんと会えるのも久しぶりだから、俺、嬉しかったよ」
 「ありがとう」
 いつもは、甘い顔で頬の一つも撫でてくれる祥子さんが、どこか苦笑を浮かべているのを嫌な予感で見返す。
 このパターンはもしかして…。
 そして、その予想にたがわず、
 「あきら君、ごめんね。いままで、どうもありがとう。とても楽しかったわ」
 「…祥子さん、それって」
 もしかして…。
 「実は私、妊娠しちゃったの。もちろん、あきら君の子じゃないわよ?もう3か月に入るから、ちょうどあきら君と出会う直前だったと思う」
 ようは旦那の子だということらしかったが、その時は別れ話をされたショックよりも、『あ、危なかった…』あるいは、自分の子供だと疑われる可能性もあったことを
回避できた安堵でホッとしてしまっていた。
 たぶん祥子さんも、そんな俺の気持ちに気が付いていたんだと思う。
 別れはどちらもあっさりしたもので、とてもじゃないけど愁嘆場などあるはずもなかった。
 けれど、祥子さんと他人行儀に握手で別れを交わして、秋の枯葉吹きすさむ肌寒い風の中を一歩一歩、足を踏み出すにつれ、猛烈な寂しさと、哀しさ、
怒りが込み上げてきた。
 なんだよ、結局なにか?!俺って遊ばれて捨てられたってことだよなっ!?
 いつものことだと言えばそれまでだけど、俺は俺なりにいつも恋に真剣で、それなりの真心を尽くしてきた相手に、あっさりと涙の一つもなく切られたことに頭に来ていた。
 いやまあ、逆のパターンはよくあることなので、自分を棚に上げてとか、自業自得だというのは頭の片隅にはあったんだけどな。
 このムシャクシャした気持ちをどこかにぶつけなけりゃ、とてもじゃないけど、次の恋になんか立ち向かえない。
 それこそ、今日の運勢、古い恋が去るも新しい恋…てやつの訪れのためにも、どこかで憂さを晴らす必要があることは自明の理だった。
 と、いうことで。
 「…あ、総二郎?俺、あきら。ああ、お前も暇なんだろ?司と牧野がどこで会う予定か知ってっか?ちょっと、景気づけに冷やかしにいってやろうぜ。ああ、うん、そうそう。滋や桜子たちも呼べよ、ぱああっとやろうぜ、ぱああっと。はあ?いいんじゃねぇの?どうせ、俺たちが邪魔したってしなくったって、チンタラやってる純情野郎と鉄板鈍チン女のカップルなんだからよっ。え?何かあったのかって??別に何にもねぇよ!」
 ま、せっかく半年ぶりにNYから帰国してくる司だったから、たまには二人っきりにしてやろうと仲間内で情けをかけて、今日一日は見逃してやるつもりだったけど、
そんなの俺ららしくねぇよな?
 やっぱり、司と牧野はいじり倒してやらにゃあ、あいつらも調子狂うだろ。
 司と牧野が聞けば、怒髪天を突くような思いを巡らせて、俺はその日の鬱屈を晴らすべく、仲間たちとの待ち合わせ場所に向かった。

 「てめぇら!いったいどういうつもりなんだよっ!!」
 グデングデンに酔っぱらった司は、さっきから何度も同じことをクドクドと怒鳴りつけながらぼやいている。
 言わずと知れた、司と牧野の感動の再会に割って入った俺たちに、司は鬼もかくやという形相で怒り狂ったが、そこは猛獣使いがついている。
 なんだかんだで、牧野に宥めすかされ、致し方なく結局、いつものメンバー、司、牧野、俺、総二郎に類、滋に桜子(優紀ちゃんは別に用があったらしく不参加)とで、
司の邸で恒例の飲み会へと雪崩れ込んだ。
 「まあまあ、美作さんたちも道明寺と会うの久しぶりだから、みんなで会いたかったんだよ。道明寺だって、ここのところずっとプライベートで友達と呑むなんて
なかったから悪くないでしょ?」
 俺たちの意図を知りながら、お人よしの牧野は半ば諦めムードで苦笑ながら、それでも司の日頃のストレスを汲んで、これはこれで悪くないことなのだと
納得したらしかった。
 いい女だよな、ホント。
 普通だったら自分を優先してくれ。
 長い遠距離恋愛の束の間の逢瀬。
 甘やかされて独占したいと頑張る女がほとんどなんだろうけど、牧野は司の交友関係を優先して、なるべく司の孤独が深まらないようにといつも心を砕いていた。
 それがわかっていて、邪魔しまくる俺たちって…。
 ちょっと良心が疼くけど、今日は俺も可哀想な振られ男。
 牧野!大目に見てくれ!司は…たまにはお前も周りに気を遣うってことを覚えろ。
 悪魔な俺は、司と牧野の恋路を邪魔して、自分のうっ憤晴らししまくった。
 幸せな奴らが憎い!

 ん~?
 なんだか、背中がポカポカと温い。
 誰かが抱き着いていて、さわさわと胸元や腰を撫ですさってくる。
 ソフトなタッチの優しい触れ方が、心地よくって更なる眠りへと俺を誘う。
 ところが、胸のあたりを彷徨っていた手が、するりとシャツの裾から忍び込んできて、俺の乳首を円を描くように擽った。
 なんだよ、祥子さん、今日はずいぶん積極的だな。
 柔らかく乳首をつまんでくる感触に、はああっと吐息が洩れてきそうになって、
 なって、
 なって、
 あれ?
 ハッと我に返ると、とっさに胸元の手を抑えた。
 ちょっと、待て!
 筋張り、ゴツゴツとしたこの肌触りの悪い手は…間違いなく華奢な女性の手などではなく。
 ギクッとして恐る恐る背後を振り返ろうとした、俺の首筋にチュッと吸い付いてくる…司。
 司ーぁああああ!!!?
 ぎえぇぇぇ~と叫び声を上げようとした途端、力任せに抱きしめられた。
 うげぇ、ゴキッっつうたぞ、ゴキって!?
 息も絶え絶えになりながらも記憶を探っていると、昨日の牧野との甘い時間を邪魔されて、グテングテンに酔っぱらった司と、やはりいつの間にかフラレたヤケ酒となっていた俺の泥酔した姿が思い出された。
 そ、そうだった。
 先に司の奴が潰れて、まだしも足腰がしっかりとしていた俺が、酔いで頭が死んだ状態で司を二階の寝室へと運んだんだった。
 牧野はえっと…そうだ!確か、大学が忙しくって桜子たちとも久しぶりだから、ついでに女子会へ雪崩れ込むとか言って、滋や桜子と別室に移動したんだったよ。
 女の子同士の内緒話をするから男子禁制とか言って、それがよけいに司の酒量を急ピッチにあげたようだ。
 そして、気が付けば、司と同衾しているこの事実。
 いや、さすがにこの長い付き合いで、雑魚寝することなんざ別に珍しくはないんだが、この体勢はさすがに焦ったぜ。
 まさか、まかり間違っても司となんざ、何かあるはずもなかったが、すっかり寝ぼけて牧野と間違ったコイツとその、あれだ、酔ったはずみでなんつうことに
なってたかと、ゾッとしちまった。
 だがやはり、あまりに馬鹿馬鹿しい危惧だったのは明白で、まあ、ちょっと胸元撫でまわされたり、危うく股間に手を入れられそこなったが、服は着ているし、どこもかしこもおかしいところはない。
 しっかし、こいつ、こんなバカ力出して、いつも牧野を抱きしめてんのか。
 どうりで、いつも牧野が、いつか司に絞め殺されるんじゃないかと本気で心配していたのも、まんざら大げさっていうわけでもないな。
 男の俺でさえ、このバカ力で締め上げられて声も出せねぇんだ、よく華奢な牧野が無事でいられるもんだと感心した。
 まあ、あの女も一種、司と張り合う化け物みてぇに丈夫な女だからな。
 一般的な女性と一緒くたにする方が、間違いなんじゃねぇかと思うけど。
 感慨にふけっている間に、また、ごそごそと司の奴が俺の胸元をまさぐろうと蠢きだす。
 や、やめろ、この野郎!気色わりぃじゃねぇかよっ!
 案外、繊細なタッチで触れてきやがって、思わず、あの奥手だった司が…と兄貴的な妙な感慨に耽りそうだったが、黙っていたらシャレにならない事態に、いくらなんでもなったりしねぇよなっ?
 つうか、コイツ、牧野の胸まさぐってるつもりなんだろうけど、男の胸触ってて気が付かないって…牧野の奴、どんだけ洗濯板?
 ちょっと、牧野をつうか、男の立場として司に同情してしまった。
 まあ、本人は牧野命で、牧野の胸が洗濯板だろうが、ホルスタインなんだろうが気にしていないんだろうけど。
 と、ピタッと司の手が止まった。
 ん?という感じで、今度はまさぐるようでなく、確かめるように撫ですさる。
 おいおい、もう、勘弁してくれよ。
 男に胸揉まれる、俺の立場って…。
 妙に冷静なのって、やっぱ、俺も酔ってんだよな、まだ。
 「ま、きの?」
 司の奴が、不審げに、だが、何かを恐れるように牧野を呼ぶ。
 そして、クルッと俺の体を反転させると…。
 「…」
 「…」
 「…」
 司の目が驚愕に見開かれ、やがて、だんだんと危険な光を帯びてきた。
 な、なんだか、俺が次にどんな目に会うのか、次の展開が読めてきたぞぉ!?
 なので、思わず、本当に思わず、つい、出来心でボケてしまった。
 「いやん、司ちゃんたらあ、エッチィ」
 てへ。
 額にだんだんと青筋が浮かび上がり、それがまるで蚯蚓腫れのように、幾重にも連なる。
 「て、て、てめぇ!!!あきらああああああ、ぶっ殺す~ぅううう!!!!」
 「ぎぇぇええええええええ!!死ぬ~ぅぅぅ」
 


 今日の俺の運勢、おさらい。
 10年に一度の大凶運。
 恋愛運は転換の時。古い恋が去るも新しい恋が訪れるかも。
 いや、ちょっと、それは遠慮いたします。



(~fin~)




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じゅり様^^

こんばんは^^初めまして!
ぜひとも!ちょくちょくコメントいただけると嬉しいです^^!

あきらくん劇場、笑ってもらえて良かったです^^ちょっとBLチック?にいってみましたが、
司君一人でもコメディ路線は突っ走れるのに、あきら君を相方にするとコントができることが判明!
これからは、ボケツッコミでいってみるのもいいかな?
て、いうか、花男はこうしてみると、けっこう元々コメディ路線なんですねぇ。
(え、今頃?w)
それでいて、ロマンチックという最強漫画。ビバ!
これからもコメディにも挑戦してゆきたいので、よろしくですね♪

つかつく様^^

初めまして^^

丁寧なお気遣いありがとうございます。

私もたくさんの二次作家の方のお話を楽しませていただき、幸せな時間をたくさん過ごしました。
私もそうした皆さんたちと同じく、ほかの方々に楽しい娯楽の時間を提供できれば嬉しいのですが^^

確かに、私も打たれ弱いのであまりにキツイ言葉はへこんでしまいます^^;がんばれ、楽しいよ、とヨイショしていただければ、もっと嬉しくなって楽しくなったり。おかげさまで、更新頻度もあがってたり?w

頑張って、お話を書き上げ、最後には「面白かったね~、あのお話。楽しかったね~」といわれるように頑張りたいと思いますm_ _m

こ茶子さんの発想力には脱帽です(*≧∀≦*)
楽しませて頂きました、ありがとうございます!
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