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「Fly me to the havenシリーズ…36話完」
高校生編①

ドキドキの法則09

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 移動中、雨はかなり大降りになって、ホテルに着いた時にはコートの中までぐちゃぐちゃだった。
 …ああ、やっぱり雨降りそうなのはわかっていたのに、歩いたのは失敗だったな。
 せっかく道明寺が買ってくれたコートが、濡れ鼠になってしまったのが、悲しかった。
 クリーニングに出せば大丈夫だよね。
 非常識な車に水を引っかけられなくっても、結局は濡れそぼる運命だったみたい。
 巻き添えをくわせた道明寺にも申し訳ないやら、情けないやら。
 初めて訪れたラブホテルの中は、意外にもフツーで。
 手を引かれてくぐったドアでは、さすがに俯いた。
 …やだ、誰かに見られなかったかな。
 道明寺の方はさすがに厚顔無恥といか、もちろん値段を表示した看板を見ることもなく、サクサク中へとあたしを引っ張って入った。
 他には誰も人の気配がなくって、居た堪れなかったあたしも少しは落ち着いて周囲を見回す余裕が生まれる。
 キョロキョロと見回した感じ、ホテルというよりも、普通のビジネスビルや、少し上等なマンションのエントランスのようだ。
 「…おい、これ、どうすればいいんだ?」
 「え?」
 ホテルの受付には誰もいなくって、部屋の写真の写ったパネルがあった。
 表示を見てみると、どうやらそれぞれに部屋の仕様が書いてあるらしく、無人で部屋をオーダーする仕組みらしい。
 いくつかは暗く消灯しているけど、電気がついているのが空室ってこと?
 「…どうすればいいって言われても、そこに書いてある通りにすればいいんじゃないの?聞かれたって、あたしだってこんなところきたことあるわけじゃないし」
 「そりゃそうだ」
 チラっ見た目が、「来たことあったら承知しねぇぞ」なんて言ってたけど、一々言葉じりを捕えて嫉妬しないでほしい。
 少し考えて、一応システムを理解したのか、
 「よくわかんねぇから、適当に選ぶか」
 道明寺が部屋の一つのタッチパネルに触れる。
 写真が小さくて不鮮明だからよくわからないけど、あまり奇抜さがないような感じでそこはホッとした。
 すぐ横にある部屋なんて、檻みたいなのがあるし…。
 たぶん、値段で選んだんだろうな。
 道明寺が触れたパネルの下からカードキーが出てきて、部屋番号が記載してあった。
 ほ、本当にここ入るの?
 いや、ホテルに来ることを同意したわけだから、いまさら嫌だというつもりはない。
 それに、どこだかのお嬢様じゃないんだから、それが一流ホテルだろうとこういうホテルだろうと気にはしないけど、…なんていうか、それ専門のホテルっていうのは、初心者のあたしには敷居が高かった。
 それに本来なら、こんな場末(失礼)のホテルなんかに一生縁がないだろう道明寺がこんなところにいるのにも、あまりに似合わな過ぎて戸惑ってしまう。
 掃き溜めに鶴、違和感バリバリだと思うのはあたしの偏見なのかな。
 人に会うんじゃないかとドキドキしながら、まるで屠殺場に引きだされてゆく牝牛よろしく後について歩いたけど、幸い玄関をくぐる時同様、誰にも出くわすことはなかった。
 ホッ。
 道明寺もこういうところに来るのは初めてだとは思うけど、不思議に戸惑っているふうもなく、ドンドン進めている。
 まさか、本当は誰かと入ったことがある、とかそんなこと言わないよね?
 「…なんだよ」
 「え?」
 「そのジト目は、なんか言いたいのか?」
 片眉を上げた道明寺に、突然眉間を探られ、思わず驚きでのけ反った。
 「シワできてんぞ。ちんくしゃな顔がよけいに、不細工になる」
 ブーッ。
 失礼な言い草に、キッと睨むと機嫌のいい獣みたいな顔の道明寺がクツクツと笑ってる。
 「…うそ、すげえ可愛い」
 「バッ、な、な、何言ってんのよっ。からかわないでよね!」
 「カラかってねぇよ…まあ、多少はあるけど。可愛いと思ってるのはホント。そんな取って食われるみたいに怖気づいた顔すんなよ」
 「…怖気づいてなんかいない」
 「そうかぁ?」
 疑わしげな言い方に、ムキになって否定する。
 「そうだよっ。ただ…あんたがあんまり余裕あるから、こういうとこ、誰かと入ったことがあるのかな…って」
 まるで自分が嫉妬しているみたいなのが恥ずかしくて、語尾が小さくなってしまった。
 「はあ?…俺が?あるわけねぇだろ。女連れ込むのに、こんな安っぽいホテル使うかよ」
 「……」
 「嘘」
 「え?何が?」
 それって本当にこういうところ、使ったあるってこと?
 あたしの問い返しに苦笑して、クシャクシャッと頭を掻きまわして来る手を叩き落とす。
 「もうっ、やめてよね」
 きっと山姥みたいな頭になってしまったに決まってる!
 「あんた、あたしを子供がなんかだと勘違いしてない?」
 「…いや、そんなことねぇし。俺、ガキに欲情するほど、変態じゃないぜ」
 「欲っ!!」
 もう、こいつ、ここのところ、エロい台詞や態度全開で、そうじゃなくてもドキマギしっぱなしなのにどうしたらいいのかわからない。
 本当はあたしよりガキ臭いくせにっ。
 でも、前みたいに、怖いとか恥ずかしいとか、そればかりじゃなくって。
 「だからお前はバカだつーんだよ」
 「…なにがよ」
 「これだけ俺が言っててもわかんねぇーとこ。俺が惚れたのはお前が初めてだし、惚れてない女を抱くような男だと思ってんの?お前?」
 わかってる。
 わかってるんだけどさ。
 「おい?」
 「思ってないよ」
 ようやく返事を返したあたしの頭を、今度は柔らかく撫でて。
 「ランクの違いはあっても、ホテルなんて基本の作りは一緒だからだよ、俺が戸惑わないのは。…でも、なんか妙にドキドキすっよな」
 「え?」
 道明寺の意味深な言葉に反応するあたしに優しく微笑んで、肩に腕を回され引き寄せられて、チュッと頭にキスを落とされる。
 「ビクビクするな。俺を信用しろ」
 「…うん、してる」





 「…案外普通だな」
 「……」
 どでかいベッドが中央に鎮座しているというのは本来衝撃的なものなんだと思うけど、確かに、普段からここのベッドと大して変わらないサイズのベッドで寝ている道明寺にとったら普通なんだろう。
 「しっかし、せめぇな。いかにもヤリ部屋って感じ」
 いえ、十分広いっす。
 あんたの邸と比べるのが、おかしいってだけで。
 あたしの方はといえば、道明寺の言う通り、ラブホテルという特殊な用途のわりに、普通の部屋だったのにホッと安堵していた。
 エントランスも、いかにもって感じじゃなかったしね。
 外装がけっこう派手だったから、中はいったいどんなんなんだろうってかなりビビったけど。
 大きなベッド以外は、広くて綺麗だし、これだったら道明寺の部屋やスウィートよりシンプルで質素なだけの部屋って感じで、変な意識をせずに済みそうだった。
 ところが…。
 「な、なにこれっ!?」
 「…すげぇな」
 「あ、あんたが選んだんでしょ?」
 驚愕に横に立つ男を睨むと、ムッと不機嫌に唇と尖らせた。
 「そんなん知るかよ。一番値段の高い部屋適当に選んだだけだし」
 「……」
 で、何がすごいかと言うと、浴室!
 浴室のスペースが部屋に比べて異様に広いのはともかくとして、その内装が凄い!
 部屋の普通さに比べて、お風呂はとてもじゃないけど普通とは言い難かった。
 なぜか天井は夜空模様?で、貝殻の形をした白い浴槽を青い光でライトアップしている。
 広い浴室には、椅子とテーブルが置かれ、片面巨大な鏡張り!…な、なんで??
 さらに、寝室とこの浴室の間には脱衣室がないっ!
 そして何より、信じられないことに、なんと…仕切りがガラス張り。
 そう中が丸見え。
 部屋がL字型になってるから、入り口からは見えないけど、当然部屋にいる人間からは中が丸見え。
 お、風呂だよね?
 「…お前、風呂先に入って来いよ」
 「えっ!」
 じょ、冗談じゃないっ!



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