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「Fly me to the havenシリーズ…36話完」
高校生編①

ドキドキの法則08

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 「…え、それって」
 戸惑ったように俺を見ていた牧野の顔がみるみる赤く染まる。
 こいつの赤面は俺にも移るから、なるべく直視しないように視線を反らして、何でもないことのように言い切った。
 「いいだろ。…約束破らねぇから。お前が嫌ならただ一緒に寝るだけでいいし、ただ二人っきりでいたいんだ」
 「…でも、今日はあんたの家に泊まるって親に言ってきちゃったし」
 「別に俺と一緒だからって、お前んとこ、なんか言うような親じゃないだろ?」
 「そりゃそうだけどさ。なんで、わざわざホテルなの?」
 もっともだ。
 別に邸に戻ったって、俺の親がいるわけでもないし、使用人の誰が何を言うわけでもない。
 けど、お前が嫌だろ?
 タマや、使用人時代に親しくしていた連中の前で俺といちゃついたり、ベッタリするのは。
 それに…。
 「あいつら、ネグってフケってきたからな。絶対に、邸で待ち構えてるぞ」
 「…ああ、確かにF3や滋さんたちなら、そうかもね」
 思い起こして、苦笑しているのは牧野だって実感しているからだ。
 あの場は見逃してくれたが、絶対に邪魔するためにいるに決まってる。
 俺らを心配してくれたり、いざって時には頼りがいのある奴らには違いねぇが、その反面俺らを弄って遊ぶことを無類に楽しんでいやがるからな。
 「だから、今日は邸に帰るのはやめようぜ。早めにホテル出て、桜子の誕生パーティの前に邸に帰ればいいだろ?」
 迷って考え込む牧野の手をギュッと握り締める。
 それに促されて、躊躇しつつもコクンと小さく頷いてくれた。
 よっしゃっ。
 「…車呼ぶか」
 「遠くで泊まるの?」
 「いや…どうすっか。メイプルだと読まれて、結局押しかけてきそうだし」
 考え込む俺を見て、赤くなっていた牧野がクスクス笑う。
 「…なんだよ?」
 「ううん、なんでもないんだけど…」
 「言えよ」
 別にどうしても聞き出したいってわけでもなかった。
 ただ、そうやってジャレるように言葉を交わしあってるのが楽しくって。
 見上げてニコニコ笑う牧野もそうなんだろう。
 「なんか、あたしたちって逃亡犯か何かみたいだね。必死で西門さんたちの追跡を逃れて?」
 「ぷっ、確かにな」
 キラキラした目で俺を見上げてくるお前がむちゃむちゃ可愛い。
 その目も、その顔も、いつの間にか俺の腕を抱きしめるように密着しているお前の胸のドキドキも、全部がお前も、「俺を好き」って言ってるみたいなのは、俺の己惚れじゃないんだよな?
 「…遠くないんだったら、歩きたいっていったらダメ?」
 「歩くのかよ?」
 嫌だってわけじゃない。
 けど、あまりに意外なことを言われたので、思わず聞き返す。
 それを否定的と見て取ったのか、牧野がシュンと意気消沈した。
 「あ、寒いから嫌だよね。雨も降りそうだし」
 「いや、いいけどよ。降ってきたら、タクシー停めればいいし」
 こいつのガッガリした顔は見たくねぇ。
 「よし、決めた。ちょっと距離あるけど駅に引き返してリッツにすっか。それともハイアットがいい?」
 「…いや、名前は聞いたことあるけど、よくわかんないし、任せるよ」
 密着したままでいたかったけど、歩きずらいので一度離させて、改めてギュウッとその小さな手を握り返して歩き出した。
 それを牧野も握り返してくれて、それがすげぇ嬉しい。
 「…なんかね、こうやって一緒に歩けるなんて、前は全然考えられなかったからさ」
 「あ?」
 「手を繋いでこうやって歩けるだけですごく嬉しいっていうか。その…憧れてたからさ」
 はにかんで笑う牧野を、危うくそのまま押し倒しちまうところだった。





 道明寺の大きな手に手を握られて、それがひどく嬉しくて幸福だった。
 あたしのコートは買ってくれちゃったけど、買い物もしないのに街を練り歩くウィンドーショッピングも、人混みでの買い物も、ただこうやって手を繋いで歩くだけの移動も、道明寺の辞書には今までなかったことなんだろう。
 それをあたしの為に、いままでの自分の習慣を曲げてもやってくれることが本当に嬉しくって。
 買ってくれたコートの温もりや手の温かさ以上に、あたしの心をほんのりと優しい温かさで温めてくれる。
 たわいない会話をしながら、彼氏と歩くってこんなに楽しいものだったんだね。
 まだまだそれに慣れなくって、つい照れてしまって邪険にしてしまうあたしだけど、少しづつ素直になれてきている気がしている。
 道明寺にホテルに泊まろうって言われて、本当は少しどうしようって困って戸惑ったけど、あたしもまだもう少し道明寺と二人っきりの時間を楽しみたかった。
 道明寺にお邸に帰るかって聞かれた時もそうだったけど、この楽しい時間を少しでも引き延ばしたい、って気持ちでいっぱいで。
 …明日、道明寺NYに行っちゃうのか。
 以前、あたしが道明寺を好きだと自覚する前は、何日会えなくったって別に大丈夫だったし、逆に嫌っていた頃は顔を見るのさえ苦痛だった。
 それなのに、不思議。
 『好き』って気持ちが膨らめば膨らむほど、ほんの少し会えないだけで寂しくって、辛くって、早く逢いたいって思う。
 そうして逢いたい気持ちが募れば募るほど、一緒にいれなくなっている気がするのは気のせいなのかな?
 それとも少しでも会えていないと、ずっと逢えてないように思えて毎日が長く感じるだけなのか。
 歩道を歩いていると、一度は止んでいた雨が、ポツポツと再び降り出した。
 「やべぇな。本降りになるかも」
 「あ、ホント?タクシー停める?」
 あいにく、雨の日はタクシーも出払ってしまっているのか、何台か通りかかったタクシーは送迎中で、中々空車に出くわさなかった。
 「…しょうがねぇ、どっかで時間潰して、うちの車呼ぶか」
 「うん、そうだね」
 頷いた途端、通りかかった車が思いっきり水たまりを撥ねて、ザバァッーと泥水が降りかかる。
 「きゃっ」
 引き寄せられて、庇われて、気が付いたら頭からずぶ濡れ。
 あたしは半身がちょっと濡れちゃった程度だけど、あたしを庇った道明寺の方は頭から酷い有様だった。
 「…つめてぇ」
 ポタポタと前髪から泥水を滴らせた道明寺が、髪をかき上げこめかみに青筋を浮かばせている。
 「だ、大丈夫」
 急いで、ハンカチをスカートのポケットから探って、差し出そうとしたけど、道明寺の方は走り去った車の方を眼光鋭く睨みつけて受け取ろうとしない。
 「…ムカつく、人に水ぶっ掛けやがって。詫びも入れずにそのまんまかよっ」
 吐き捨てるその気持ちはわかるけど、追いかけられるわけでもない。
 「もう、しょうがないよ、風邪ひくから、屈んで」
 まだ横を向いている道明寺の腕に手をかけて、伸び上がって顔にかかった泥水を拭ってあげるけど、ハンカチくらいじゃ間に合わない。
 高そうなコートもべちゃべちゃで。
 中までは沁みてないと思うけど、見栄っ張りの道明寺はこのままで歩くなんてできないだろう。
 どうしよう、こんな姿じゃタクシーも乗車拒否されちゃうかもしれないし、喫茶店だって入れない。
 「…ごめんね、あたしの為に」
 「別にお前のせいじゃねぇだろ、謝んな」
 憮然としながらも、それでも困ったように微笑んでくれる顔は、嘘のように優しい。
 それにキュンとしながら、一生懸命水滴の垂れた首筋や、コートも拭いてあげようと伸ばした手を取られた。
 「もういいよ。そんなんじゃ間に合わねぇし。つーか、雨酷くなってきた」
 「あ、本当だ」
 「…しょうがねぇ、背も腹もかわんねぇ(※背に腹は変えられないの間違い)し」
 「……」
 相変らずの道明寺のズッコケた間違いは、とりあえずスルーして。
 「牧野、行くぞ」
 引っ張られた先、路地の向こうに派手なネオンの特徴的な建物が見えた。

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12/6にいただいたコメント(拍手)について。

こんにちは^^
いつも応援ありがとうございます。
とてもたくさんの方にコメントをいただいておりますため、【こ茶子の日常的呟き】にて返信を書かせていただいておりますm_ _m
よろしければ、こちらhttp://daytodaykochako.blog.fc2.com/?page=0.htmlをご覧くださいm_ _m

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