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「Fly me to the havenシリーズ…36話完」
高校生編①

キスの温度12

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 あたしを抱きしめていた道明寺の体がブルリと震えて、わずかに歯の根があってないのに気が付いた。
 「…えっと、もしかして寒い?」
 「もしかしなくても寒いに決まってんだろ。いくら電話しても繋がんねぇーし。類はバイト先で降ろしたつーから、行ってみたらすでに帰ったって言うし」
 「あ…」
 どうやら行き違ってしまったらしい。
 「どこ行ってたんだよ」
 「いや、真っ直ぐ帰ってきたんだけどね。車のあんたと違ってあたしは歩きなんだから。って、あんたんちの車は?」

 「ここら辺、路地も狭いし、とりあえずいったん帰した」
 「え~」
 確かに、ここらに路駐されたんじゃ困るって前に厳しく言いつけたけど、こいつ帰りどうする気なわけ?
 そんなことを考えていると、またアパートの住人が帰宅して来て、ジロジロあたしたちを見て通り過ぎてゆく。
 …ヤバイ、こんなところで制服着たあたしが男と抱き合ってたりなんかしたら。
 親はまあ、相手がこいつだと思っていれば、逆に喜んじゃうだろうけど、さすがにご近所で変な噂を立てられたくない…。
 とはいえ。
 「あんた、もう帰る?」
 「はあ?お前、寒さに震えながら待ってた彼氏を、ちょっと顔見ただけでもう帰れってか?」
 誰も頼んでないんだけど…。
 そう心の中で意地を張りつつ、喧嘩別れして無視された後の仲直りなので、確かにこのまま帰しがたい。 
 でもな…そうはいっても、うちに呼ぶって言うのも。
 「父ちゃんたちもう帰ってんの?」
 「…えー、あ、いや…実はママと二人で社員旅行行ってて、泊まり」
 つい、言っちゃってた。
 「ふぅん?じゃあ、弟は」 
 「…えっと、友達の家、にお泊り」
 語尾が消え入りそうに小さくなったけど、道明寺はしっかり聞いていて、ニヤリと笑った顔が妙にセクシーで、正直に言ったことを後悔した。
 で、でも、あたしの意思を無視して突っ走らないって言ってたし…。
 「で、でででで、でも、や、やっぱり進も気が変わって帰って来るかもしれないからっ!」
 「…何焦ってんだよ?キョドってんじゃねぇよ。弟にも最近会ってねぇし、帰ってきたら挨拶するればいいじゃん」
 フツーに言い返されて、はははと、我ながら挙動不審な態度をとってしまった。
 ど、どうしよう。
 やっぱり早まった?
 こいつ、さっき堂々とあたしを抱きたい、て宣言したよね。
 同時にあたしが本当に嫌だったら、無理矢理にやったりしないとも言っていた。
 さっきから同じことばっかで、頭の中グルグルだ。
 怯えてるあたしを、無視して最後まで…そこは、こいつを信用しないわけじゃない。
 いままでだって、あたしが嫌がってるのに、自分の欲望のままに振る舞ったことなんて一度もない。
 ただ、少しづつやることが大胆になって、なし崩しに行くところまで行かされてしまいそうな自分が怖い。
 …だって、あたしだってこいつが好きなんだもん。
 だったら何をこだわるの?って気もするけど、そう思う反対側のところで躊躇することをやめられない。
 「なんだよ、急に黙り込んで。とりあえず、こんなところで立ち話なんてマジで寒くてやってらんねぇ。行くぞ」
 「え、え、…あうぅぅぅ、わかったわよ。お茶飲んだら、帰ってよね」
 「…相変らず、ひでえな、お前」
 「何よ」
 「なんでもない。お前に夢見るほど俺もバカじゃねぇし」
 グダグダなんか言いながら後ろからついてくる道明寺がふて腐れた子供みたいなのにこっそり笑ってしまい、なんだか妙な緊張感も多少ほぐれた。
 …いいよ、なるようになる。
 怖かったら、やめてって言えばいい。
 恥ずかしかったら、無理だって言えばいいんだもん。
 こいつはあたしを大事にしてくれてる。
 それはわかってる。
 こいつを信用しないってことは、こいつと…自分の気持ちを疑うのと同じことだ。



 牧野のうちに入ると、やっぱり家族はまだ帰ってないらしく、シンとしていて暗い。
 俺んちではありえないことだが、ほとんど外気とかわりないくらいに寒かった。
 「ごめん、いま、ヒーターつけるから、とりあえず中入って。もう桜も咲いてるのに、けっこう寒いよね」
 バタバタっと小さな足音が部屋の中へと入り、安っぽい蛍光灯があかりを灯し、部屋の隅に置かれていたストーブに牧野が火を入れる。
 俺もさっさと靴を脱いで上がり込み、台所でお茶を入れ出した牧野の背後から腕を回して抱きすくめる。
 「…ちょっと」
 「いいだろ。くっついてる方が温かいんだから、お前は気にせず茶でも入れてろ」
 はあっと溜息をついて、強張っていた肩から力を抜いた牧野が、湯飲みにお茶を注ぎ入れた。
 「…あたし、お茶の入れ方はけっこう自信があるんだ」
 「あ?」
 「あんたん家みたいな高級な茶葉なんか使ってないけど、入れ方で味も違うよね」
 言われても、俺は自分で茶なんて入れたことないから、そんなもんなのかと頷くくらいしかできない。
 それでもニコニコと嬉しそうに見上げてくるから、肩を竦めて差し出された茶を口に含む。
 「どう?」
 「…マズイ」
 「はあ…、まあ、しょうがないか。これでもかってくらい高くて美味しいお茶を、さらに美味しい淹れてもらってるあんたの口を誤魔化せるはずなんてないもんね」
 美味くないものを美味いとは言えねぇ俺だから、とりあえず全部飲み干して、湯飲みを返す。
 「ま、でも、温まるのに味は関係ねぇし、冷えた体には良かったんじゃねぇの」
 「…あ、そ。微妙なお答え。せっかくお邸でお茶の入れ方は教え込まれたのにな」
 「ふぅん」

 俺から離れようとした体を改めて引き寄せ、腕の中に囲い込んだ。
 髪を撫でて、かき上げるようにして梳くと、現れたうなじがほんのりと赤く染まっている。
 当然、俺の胸元に恥ずかしそうに伏せた横顔も赤くなっていて、ギュッと目をつぶっていた。 
 多少堅いが、拒否してるわけじゃなさそうだ。
 「もう、あんたは…」
 「言っただろ?5年を短縮する努力はやめねぇって。最後までやったりしねぇから、少しは触らせろ」
 言い切ってやったら、胸の中の牧野が、ぷっと吹き出す。
 「なんだよ?」
 「…触らせろって、こんな時まで俺様なんだから」
 クツクツ笑う小さな声が、俺をカラかってるみたいで気に食わねぇ。
 いくら安心しろって言ったって、完全に信用されすぎて緊張感がないのもそれはそれでなんだかムカつく。
 マジになれよ。
 俺は本気でお前に触りたいし、少しでも感じたい。
 それは興味や単純な欲望からってわけじゃなくって、お前って女に惚れて惚れて、服一枚、薄い皮一枚でも隔てられないほどに混じりあいたい、俺の焦げちまいそうな愛情を思い知らせたいって願いそのものからなんだよ。
 …それこそ、時々、お前と別々の体であることが歯がゆくってならねぇ。
 どうしたらこの俺の気持ちがわかってもらえるのか、同じだけ愛してもらえるのか、それこそ一つに溶け合えば俺のこの不安も解消されるんじゃないかと気も狂わないばかりに思う時がある。
 男は恋心が体の欲望に直結してる。
 理屈じゃねぇんだ。
 牧野の顎に手をかけ、嫌がるのを無理矢理に上向かせたら、意外にもフザけてなんかいない。
 不安そうなキョドった顔に出会った。
 潤んだ目が、それでも、いつもみたいに羞恥と…拒絶ばかりじゃなくって。
 震える唇から洩れる吐息さえ熱い気がした。
 そっと引き寄せられるように、甘そうな唇にそっとキスを落とす。
 自然に閉じられた瞼から伸びる睫毛が小刻みに震えていた。
 
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