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「Fly me to the havenシリーズ…36話完」
高校生編①

キスの温度08

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 「そうだね」
 あっさり。
 ガクッ。
 何を期待していたわけではなかったけれど、こうも平然と肯定されると、さすがのあたしでも凹んでしまう。
 …やっぱり、怒ってるのかなぁ。
 記憶喪失の時や道明寺のお母さんに縛られていた時を除けば、こういうふうに道明寺に無視されるのは初めて。
 勝手な話だけど、以前自分がやった時には何とも思わなかったのに、自分がされるとそれがどれだけキツイことなのかよくわかる。
 「あたしって傲慢だったのかな…」
 「…なんで?」
 問われて、緩く首を振る。
 言ってみれば己惚れもいいところだけど、あたしがどんなに邪険にしても、我儘言っても道明寺はあたしを嫌いにならない、そんな妙な自信があったことに気が付いたからだ。
 ホント、あたしはなんてバカなんだろう。
 ああいう男があたしに一途なのが信じられないとかなんとか言ってても、その実、あのストレートで情熱的なあいつの性格や行動に安心しちゃっていたのかもしれない。
 なんだかんだ言っても、あたしの意思を尊重してくれる。
 嫌だと言えば辞めてくれる。
 あたしがイメージする男女交際を守ってくれる。
 そんな感じで甘えてたんだ。
 「…はあぁ」
 「あんたって、いつも自分一人で自己完結するよね」
 「そうかな…。まあ、そうかも。花沢類と一緒にいると、なんとなくもやもやだったものが、自分でも固まるっていうか、なんだか自分との対話チックになるんだよね」
 「自分との対話するのはけっこうだけど、それって俺がここにいる意味なくない?」
 言われて顔を上げると、花沢類はいつの間に立ちあがったのか、体の草を叩いて伸びをしている。
 「寒いから、お茶でも付き合ってよ」
 「お茶って…あたしまだ授業残ってるんですけど」
 「よく言うよ。サボってこんなところまで来て。どうせ、今更戻ってもすぐに授業終わるよ。第一、たとえまだ授業残ってたにしたって、そんな顔してまともに集中できないでしょ?」
 「そんな顔?」
 ぼんやりと花沢類を見上げると、自分の綺麗な顔の目じりに指をあて、大げさに引き下げて見せた。
 「こんな顔。まるで餌取り損ねた狸みたいな感じ?」
 「どういう例えだ。また、あんたあたしを動物呼ばわりしてっ」
 けっこうムカつく。
 花も恥じらう17才の少女を捕まえて、タヌキって普通ありえなくない?
 ま、こんな美少年からしてみれば、たいていの人間の顔なんて動物以下なのかもしれないな…。
 特にこの人なんて、自分もそうだけど、小さな頃から一緒にいる親友たちや、初恋の人だってめったに見ない美人揃いなんだもん。
 「…牧野は可愛いよ」
 「いいよ、今更慰めてくれなくって」
 「タヌキみたいなところがいんだって。ツンと澄まして真黒な腹を隠した女狐よりずっといいよ」
 「……。一応、褒めてもらったと思っておく。まあ、いいや、お茶しよっか。あたし、この後バイトもあるし、学校のラウンジでいい?」
 差し出された手を取り、立ち上がる。
 花沢類の手も大きいんだな。
 でも、いま、この手に手を握られてもそう感慨を覚えるだけで、ドキドキしたりしない。
 それが道明寺だと、いつも心臓はバクバク、恥ずかしくて逃げ出したいくらいに照れ臭いのに、いつまでも握っていたいって思えるくらい心地よくて嬉しい。
 …だから、もう少しだけそんな淡くて、甘い時間を味わいたいって、そう思っただけなのに。
 キスしたり抱き合ったり、いきなりそこまでのハードルはあたしには高すぎる。
 壊れちゃいそうな心臓を宥めるだけでも大変なのに、そんなことしたら自分がどうなっちゃうのか、それがとても怖いの。
 でも、それじゃあ、きっとダメなんだよね。
 そんな子供みたいなあたしだから、いつも道明寺を怒らせて傷つけて、喧嘩ばかりしてしまう。
 あの滋さんの島で、道明寺が刺されて死んじゃいそうになった病院で、記憶を取り戻して会いに来てくれた路上で、道明寺の手以外に大切なものなんて何もないって、そう思ったのに。
 たかだか、そんな自分の子供じみた臆病さで、失ってしまってもいいの?

 握られた手をジッと見ていたあたしの頭を花沢類がわしゃわしゃと撫でる。
 「…あんまり、深刻に考えすぎなくていいよ」
 「え?」
 「あんた妙に真面目だから、裏目に出るんじゃないかと心配なんだけど…いろいろ、お互いにもっと突っ込んで話し合った方がいいのは確かだからね。しばらく、様子見するよ」
 「…それってなんのこと?」
 あたしが聞いても、花沢類は口角を上げて意味深に笑うだけで答えてくれない。
 それでも…。
 「なんかあっても、さっきみたいに一人で自己完結しないこと。あんたの悪い癖だよ?話したくなったら俺はいつでも話聞くからさ。何にしても迷うことがあったら、あんたのダチや俺に相談しな?」
 「う、うん」
 真剣な目に、わけがわからないまでも大きく頷いたあたしに、花沢類は優しく微笑んでくれた。



 ラウンジか~。
 F4と知り合うようになって、ラウンジも何度か利用したけど、最近は道明寺と二人、屋上であたしの作ったお弁当を食べることが多かった。
 だから、すっかりご無沙汰してたけど、久しぶりにあそこのバカ高いコーヒーを飲んでみるのもいいかもしれない。
 たまには、花沢類にも奢ってあげようかな。
 基本、割り勘のあたしだけど、それでも何かとお世話になることが多く、知らぬ知らぬうちに金銭面でも負担してもらっていることはわかっていた。
 これが道明寺だと男のメンツがどうのって、お茶一杯奢るのさえも喧々囂々言い争うことになる。
 花沢類も同じような価値観もってるみたいだけど、それでもあたしの気が済まないことをわかって、ちょっとしたものくらいならニッコリ笑って受け入れてくれていた。
 …本当、なんであたし、この人じゃなくって道明寺なんかが好きなんだろう。
 会えばすぐ抱き付いたり、人目も憚らずキスしようとしたりして襲いかかってくるし、口を開けば喧嘩ばかりだ。
 それなのに、一緒にいるとトキめいて、手を繋いだりデートしたりして欲しいのは道明寺だけなんだ。
 いつの間にかジッと花沢類を見ていたのに気が付かれて、なに?と小首を傾げられる。
 そんな花沢類に赤面して俯くと、ポツリとした声が耳に届いた。
 「…総二郎だ」
 「え?西門さん?」
 顔を上げると、あたしの視線を避けるようにササッと廊下の陰に消えていった後姿を発見した。
 なんなのよ。
 道明寺に続いて、西門さんまであたしを避けようって言うの?
 よくよく周囲を気にしてみると、ザワザワきゃあきゃあ、女の子の甲高い歓声が聞こえる。
 …花沢類がいるだけにしては、ざわめきが大きい。 
 西門さんもいたけど、これってもしかして…。
 「司がいるね」

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