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「Fly me to the havenシリーズ…36話完」
高校生編①

キスの温度07

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 ここ2日、道明寺に避けられてる。
 最初は気のせいだと思ってた。
 だいたい、帰りしなあんな風に気まずい別れ方したんだから、さすがの道明寺だって、いつもどおりに気安く声なんかかけてこれないよね。
 そんな風に思って一日目は過ごした。
 まあ、それより、前の日に飲みすぎたお酒が体に残っていて、正直それどころじゃなかったっていうのもあるんだけど。
 二日酔いでフラフラしながら学校来るなんて、あたしってすごい不良学生じゃない?!
 ここまで真面目にきた学生生活なのに、あいつらと出会ってから、あたしってかなり斜めってきている気がしてならない。
 …未成年の身でしょっちゅうお酒飲むようになったし、授業サボっちゃったり、外泊や朝帰りも珍しくない。
 すっかり道明寺たちと過ごすことに慣れきった…というか玉の輿に目が眩んでいる両親は何も言わないけど、これってすっごいことだよね?
 あきらかに、パワーの足りないあたしをみて、以前だったら何かと傘にきて、ちょっかいをかけてきたはずの浅井やうざいクラスメートたちが遠巻きに見るだけで、何もしかけて来ないのは正直ありがたかった。
 これも道明寺様々効果。
 あたしたちが付き合っているのを隠さなくても良くなってから、道明寺の人目を憚らない行動は、クラスメートや他の生徒たちにも大きな影響を与えていた。
 さすがにあれだけ酷い苛めをしてきて、今更媚びてくる輩もいないけど、それにしたって腫物扱いだ。
 何かあたしの気の障ることをしてしまって、道明寺の逆鱗に触れたらと怖がってるのがありあり。
 「ま、牧野さん?お疲れなら、保健室で休まれたらどうでしょうか?」
 「…あ、いえ、すいません。大丈夫です。ちょっと、寝不足…いえ、頭痛がするんで、ぼうっとしちゃってました。頑張れます」
 「そうですか?無理をしないでくださいね」
 ニッコリ。
 …あからさまにおもねる先生にも、ガックリくる。
 あたしが苛められている時は見て見ぬふりだったのに、これっていったい…。
 道明寺と付き合う以上、こういうのは慣れないといけないんだろうな、とうんざりしつつ、ぼんやりと窓の外へと視線を流した。 
 やっぱり先生の言う通り、保健室で休んでいようかな。
 こんなんじゃ、全然勉強になんかならない。
 なんで、あたしがこんなに気にしなきゃならないの?
 たった二日、あいつが顔を見せないっていうだけで、どうしたっていうんだろう。
 あれだけ、好きだ、好きだって、人目も憚らず付きまとっていた男が、ここのところ姿を見せない。
 いや、学校に来ているのは知っていた。
 そこかしこで見かける後姿が、あたしを拒絶していて。
 会えないのはたまたまだと思っていたのに、声をかけたあたしをあいつは完全にスルーした。
 通り過ぎる道明寺を発見して、いつまでも喧嘩していてもしょうがないと声をかけたあたしの声はちゃんと届いたはずなのに、チラリともあたしを見ない背中はもうあたしと口をきく必要さえ感じていないみたいだった。
 『おう、どうした牧野?』
 道明寺のかわりに返事を返した西門さんを見ると、困った顔でチラチラと道明寺を見ていた。
 それでもソッポを向くあいつに、つめよる気力もわかなくって…。
 いまのところ、あいつがあたしを無視しているなんて、誰も気が付いていないだろう。
 それでも、いずれは周囲にだってわかるに決まってるから、こうした腫物に触る状態の周囲の状況も、またそのうち大きく変化するのかもしれない。
 道明寺があたしに興味を失ったと知れ渡れば、また昔のいじめが始まるのかもしれなかった。
 はあああぁぁぁ。
 そんなこと考えるのも億劫だ。
 あたしにとっては、すごい重大問題なはずなのに、いまのあたしには、ただ道明寺があたしを無視したってことだけがショックで、この先どうなるのかとか、周囲がどういうするかなんて些末なことでしかなかった。
 ふと木と木の間に、見慣れた長い足が見えた。
 …そういえば、今日は天気がいいもんなあ。
 非常階段だとあまり陽が射さなくって寒いだろうし。
 思いついたら、どうしてもあそこに行きたくなって、
 「先生、すいません。やっぱり保健室行ってきてもいいですか?」
 気が付いたら椅子から立ちあがっていた。



 「花沢類」 
 枝をかきわけるようにして、低木の間を覗き込むと案の定、花沢類が顔に本を置いて寝転がっていた。
 小さな寝息が聞こえるから、本当に寝入ってしまったいるらしい。
 マジ?
 いくら日が照っている昼だとはいえ、まだ寒さも厳しい3月初旬だよ?
 「風邪ひくよ」
 近くの枝に放り投げてあったコートをとって、体にかけてあげる。
 「ん…」
 顔を傾けた拍子に、本がズレて王子様みたいに綺麗な顔が覗いた。
 ふふ、こうしてると、眠り姫みたいだ。
 無邪気な顔して本当に幸せそうな顔で眠ってる。
 そばに座って空を眺めると、青空がすうっとどこまでも澄んで続いていて、すごく綺麗だった。
 「男の子ってみんなそうなのかな…」
 ぼやくでもなく、つい口からついてでる。
 「……女にもいろいろいるみたいに、男にもいろいろいるんだから、一括りにされてもね」
 独り言のつもりだったのに、横から聞こえた声に顔を向けると、花沢類が本の陰から顔を覗かせ、片目だけ薄めを開けてあたしを見ていた。
 「やだ…起きてたの?」
 「いや、あんたが独り言言ってる声で目が覚めた。何が、みんなそうなの?」
 「あ~」
 思わずぼやいちゃったけど、女友達にならともかく、いくら花沢類にだって道明寺とのことを相談することなんてできない…。
 「…えっと、こんなところで寝て寒くないの?」

 だから関係ないことをフる。
 それに小首を傾げて体を起こした花沢類が、「ふわわわぁぁぁ」と大きく欠伸をした。
 「…寒い」
 「ええっ?寒いのにこんなところで寝ちゃっ
てたの?風邪ひくよ」
 「日差しが強いうちは気持ちいいんだよ。でもまあ、そろそろ日も陰ってきたしね、戻るよ。で、あんたはどうしたの?」
 「…どうしたのって、言われても」
 「生真面目なあんたが、授業サボッてまでこんなところ来るなんて、何もないってことはないでしょ?」
 聞かれても特にこれといった答えがあるわけじゃない。
 でも、あたしを見つめる透明な目が心配している気がして…。
 「…道明寺、最近、あたしのこと無視してるよね?」
 ついここのところの屈託がポロリと口をついて出てしまった。

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