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「昏い夜を抜けて…全483話完」
第四章 発覚①

昏い夜を抜けて107

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 結局、つくしはアパートに戻って、金・土・日の2泊3日の外泊仕度してくることを類に許された。
 面倒臭がっていたわりには固執するほどではなかったらしく、頑固に黙り込んでしまったつくしに、疲労が溜まって眠気に襲われていた類の方があっさり投げたのだ。
 まさに、折れた…というより投げたが正しく、
 『…眠い、もう好きにして。いつまでもあーでもない、こーでもない言うくらいならいいよ』
 と、いうことで、アパート付近に街路で車を停めてもらった。
 運転手の開けたドアからつくしが降りると、なぜか類まで一緒に降りてくる。
 「…ちょっと、なんであんたまで降りてくるのよ」
 「ん~、なんとなく、けっこう暗いし距離あるみたいだから。あんたがどんなところに住んでるのかにも興味ある」
 眠そうに欠伸をしながら後ろに立つ類を見上げ、
 「あの…困るんだけど。もしかしたら弟も帰ってきてるかもしれないし」
 たぶん十中八九帰ってきている。 
 それだけに、類の姿を進に見られたくはなかった。
 焦るつくしに類が小首を傾げ、
 「別にいいよ、あんたの弟に会っても」
 とんでもないことを言い出す。
 「じょ、冗談言わないでよっ」
 「別に冗談じゃないよ、行こ?」
 ニコッと笑って、さっさと歩きだしている。
 「ねえっ、本当に困るの。お願いだから、車に戻っててよっ」
 キョロキョロと周囲を見回し、類を引き留めようと言葉を重ねる。
 「ねえっ!花沢類っ」
 「…別に何も困ることないよ。あんた、何をビクついてんだか知らないけど、俺はあんたの会社の上司。高校時代の先輩後輩じゃないの?」
 意外なほど常識的なことを言われ、グッと黙らざるえない。
 下手に藪をつついて蛇が出る事態は避けたかった。
 しかし…。
 アパートに近づくにつれ、人影がウロウロと階段付近で行ったり来たりしているのに気が付く。
 夜の闇で顔が見えなかったが、下の部屋の玄関灯の明かりで映るシルエットで弟の進だと思い当たった。
 「…進?」
 半信半疑で呼びかけると、はじかれたようにこちらを振り返った進が走り寄ってくる。
 「姉ちゃんっ!」
 「なに、あんた、どうしたの?こんなところで…」
 チラッと類を見上げ、驚いたように戸惑いを浮かべながら、呑気な姉を怒鳴りつける。
 「どうしたの、じゃないだろっ!?何回電話しても出ないしっ。もう少し遅かったら、警察まで行こうかと迷ったところだぞっ」
 「はっ?警察??」
 進のあまりの剣幕に、つくしの方が驚いて、思わず類を見上げてしまう。
 問われても、類の方だって事情がわからないのだから何も答えようがなく肩を竦めるしかない。
 「…はああ、でも良かった、何事もなくって」
 大きくため息までついて、肩を落としている。
 「えっと、なんかあったの?」
 「…うん、少し前に痴漢騒ぎがあってさ」
 「痴漢っ!?」
 驚いて大きな声を出したつくしの口を塞ぎ、声を潜めろと進が窘める。
 「しっ、姉ちゃん声がデカイ!いくらまだ寝るような時間じゃないって言ったって、夜なんだからさ」
 「もご、ごめん」
 「とにかく、最近、変な男がうろついているとかって近所でも噂になってたらしいんだ」
 「…へぇ」
 「ここのところ、姉ちゃんは早く帰ってたみたいだし、俺も気が付いてなかったんだけどさ。今日、警察がこのあたり周辺の聞き込みににきていて、なんだか、俺…心配になっちゃったんだ」
 一時期の興奮が過ぎれば、進にも冷静さが戻って来たらしく、脱力してしまっている。
 「…変な男」
 つくし自身もここのところ妙な視線を感じて気味悪く思っていたところだ。
 …もしかしたら、気のせいじゃなかった?
 「姉ちゃん、あの…」
 怖気を感じて身を震わせかけていたつくしは、弟の恐る恐るの言葉に、視線の先を辿る。
 兄弟の会話に我関せずという感じで一切加わってこなかった類が、進の視線に答えて小さく笑う。
 何を考えているのかとてもつくしには計り知れなかったが、不思議に類の進を見る目は穏やかで、いつもの冷たい無関心も酷薄さもなかった。
 「初めまして。牧野の弟さんだね?」
 「はい、えっと」
 「俺は花沢類。彼女の勤める会社での上司なんだ。彼女にはいろいろと助けられている」
 ニッコリ笑うと本当に花のように美しく、同性の進でさえ赤面せずにはいられない。
 「は、初めまして。その…えっと、弟の牧野進です。いつも姉がお世話になっています」
 丁寧に挨拶されたものの、いかにも只者ではない雰囲気の男に戸惑い、緊張して進がしゃちこばった挨拶を返した。
 いかにも困った視線で、姉に助けを求める進に、つくしが内心溜息を突き、少し情報を与える。
 「えっとね、進。花沢る…花沢さんは、英徳での先輩だったの。その…ど、道明寺の友達」
 驚いて目を瞬かせる弟に、曖昧な笑みでおもねり頷きかける。
 この数年間、司のつの字も話題にのせることがなかった姉の心境の変化に驚き、それ以上に、その司の関係者との交流があったことに進はなおいっそう驚きを隠せなかった。
 「道明寺さんの…。姉ちゃん」 
 「えっとね。実は…」
 今日の外泊を、どう弟に納得させればいいのかつくしにはわからない。 
 「実はね、先日、友人のツテで偶然再会して、仕事でも関わることになったんだ」
 「…はあ」
 「牧野とは、高校時代も知らない仲じゃない。司もこともあったし、けっこう交流もあったんだよ」
 類の言っていることは嘘ではない。
 それにしても、だいぶ省略された部分と、脚色された部分があることも確かで。
 進のつくしと類を交互に見比べる視線が痛く、怖ろしい。
 疑われているわけでもなさそうだったが、いつ自分の欺瞞が弟にバレるかと思えば、気が気ではなかった。
 自分の現況はもう受け入れている。
 受け入れて、耐えて、自分なりの矜持は保つつもりでもいた。
 それでも、実の弟にどうみても背徳的な関係を結ぶ自分の不甲斐なさを知られたくはなかったし…身近な肉親に軽蔑され非難されたくはなかった。
 「それでね、最近、お姉さんとは仲良くさせてもらってる。お付き合いさせてもらっているんだ」
 「え?姉とですか?」
 びっくりする進以上に、つくしの方が驚きで、類を振り返る。
 な、何を出だすつもり?
 「それでこの休みもお姉さんを我が家に招待してるんだ。今日、明日、我が家に泊まってもらうけど、かまわないかな?」

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昏い夜を抜けて

こんにちは。 類君は何を考えているのでしょうか? 何も欲しがらないつくしちゃんをどうしたいの⁇本当に謎!

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yone様

ふふ、すっかり、類君、『何を考えているのかわからない人』として、読者の皆さんにもうろんな目で見られてますねぇw
いろいろ考えている様で考えていなかったり、考えていないようで考えていたりする人なので、つくしちゃんも振り回されてます。

金魚草様

類君はですねぇ、人を見る目はあると思うんですが、それがかなり独善的と言うか、自分の為にしか使わない。一見花沢物産の為に動いている様で、彼の場合、むしろ司より責任感はないと思うんですよ。反抗するほどの熱意がないから淡々と専務をこなして働いている。でも、なによりも自分の欲求が優先するから、もしいざつくしちゃんと結婚したいとか思えば、平気で家なんか捨てちゃう気がするんです。というのも、司は原作で家に反抗していた。これってこだわりがあるからこそ反抗するのであって、類は家にまったく興味というか関心がないのでは?と思っています。なので、もし進を本気で獲得しようとしているとしたら、それは会社の為じゃないんじゃないですかねぇ。そして、山崎さん…。彼は今、どこで何をしているのでしょうか?^^;

ぴあぴあ様

はは。皆さん、やはり山崎さんにロックオンですね。疑わしいのは山崎さん。
さあ、視線の正体は?
現実的には進君のように姉思いの弟もあまりいないでしょうが、でも家庭環境がああで、つくしちゃんもかなり進君に尽くしていますからね。
腹黒い人ばかり(類君含めて)の『昏い夜~』の中で、癒される人になるといいなあ、なんて。
ついつい、皆さんとコメントのやり取りしていると、あれやこれやと思う浮かんできて、やっぱりつい長くなってしまいますお返事^^;
でもこれが愉しんですよね。
俳句がご趣味とは!素晴らしい^^
一時期、我が家でも子供と5-7-5を作りあったりして、モロめちゃめちゃな文でしたが、子供は喜んでました。
返信はツイッターが文字制限があって、逆にしやすいです。
特に私みたいにやたらと長くなりがちな人には、物足りないくらいなのがちょうどいい?ぴあぴあさんのコメントはいつも中身ぎっしりでいつも楽しませていただいてますよ♪
ぴあぴあさんは先月でしたか!
遅ればせながらおめでとうございますm_ _m
いやあ、やっぱり花男ファンは同世代が多いですねぇ。
他の二次作家の方々もそうですが、同学年ですよ、私w
早生まれなので、年齢はまだ誕生日を迎えていませんが、ぴあぴあさんのおっしゃるとおり、子供の頃に抱いていた大人への認識は、大いに間違ってましたよね。
いくつになっても、大人になったからといっても、劇的に自分が変化することなどない。キッパリ!w
私が好きな詩にサミュエル・ウルマンの『青春』という詩があります。
あれは、ちょっと意味合いが違って、若さとは年齢ではなく心持であるという詩なんですが、ああいう風に生きたいものです。
長い文章を書くと、はじかれますよね…。
一昨日も、長い文章書いたら覿面?はじかれまくって、テストしまくっての返信でした^^;
普通にブログを更新する分には禁止ワードには引っかからないのに…うーん。

ニコちゃん

こんにちは。類君ね、ホント、何を考えているのでしょうねぇ。案外、自分でも自分のことがわかっていないかもしれません。いろいろ裏では思案しているのかもしれませんが、いまのところ、けっこうつくしちゃんが手に入ってルンルンなのかも?w

鞠様

こんばんは。
『隣にはあなただけ』のつくしちゃん、だいぶ開眼してきました。やっぱり互いに鬱屈を溜めて雁字搦めになっていたのが、あの喧嘩で風穴が開いたかな?
『昏い夜~』こちらは類が、やりたい放題。でも、そうしてつくしちゃんに執着して、らしくない行動をする彼の行動自体がもう答えなんですけどね。
「答え」…それが何の「答え」になるのか、これからをご覧くださいませ。
進君、癒されてください。どっちみても腹黒い連中ばかりなので、私も荒んじゃいそうですw
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