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「ヾ(o´∀`o)ノ贈り物ヽ(*>∇<)ノ」
隣にはあなただけ(献上作品)…13話完

隣にはあなただけ12

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 それほど晴天というわけではなかったけれど、東京の夜空にしては星が煌めいている。
 それをボウッと見つめる司の横顔は、いつもの傲慢男の面影もなく、どこか殊勝で頼りなく儚い。
 何を考えているのだろうか。
 なんだか、広い背中が小さく見えて、つくしは堪らなくなって、思わず司の背中へと抱き付いた。
 抱き付いて、手を当て、頬をすり寄る。
 気が付いていたのか、突然現れたつくしにそれほど驚くことなく、背中に抱き付かせたまま司は振り返らない。
 「…風邪ひくよ」
 「ひくかよ、この季節に」
 寄りかかって、くっつけた頬や手に伝わる温もりがひどく優しい。
 …そうだ、司はいつも優しかった。
 それこそ、司自身が望んだように、いつも砂糖菓子でつくしを包んで甘やかせたがった。
 ただ、意地っ張りなつくしがそれを受け入れなかっただけで、司はそういう男だったのだ。
 そして、つくしも意地を張りながらそんな司が愛しかった。
 嬉しくなったはずがない。
 なのに、どうして二人、こうやってすれ違ってしまったのだろう。
 「聞いて、司」
 ビクリと大きな背中が頼りなく震える。
 どれだけ、つくしを恐れているというのか。
 自分の胸の中にスッポリと埋まってしまうほど小さな女に怯え、戦いている。
 「…あたしの隣にいて欲しいのはあんただけ。どんな綺麗な洋服や宝石をプレゼントされるよりもあんたにそばにいて欲しいの。ご馳走や美味しいお菓子もいらない。旅行とか、どこにも連れてもらえなくても全然かまわない。でも…あんたに毎日逢いたい」
 「…牧野」
 「司って毎日呼んで、つくしって毎日呼ばれたいの」
 グッと司が掌を握りこんだ気配を感じる。
 温もりも、息遣いも、何を考えているのかさえも、こうして触れ合う肌と肌から感じ取れる。
 あんなにも遠いと感じていた司が今はこんなに近い。
 「あんたがあたしを新婚旅行に連れて行ってくれようとしたことはすごく嬉しい。あたしが新婚旅行はハワイに行くのが夢だって言ってたのを憶えていてくれてありがとう。でも…違うの」
 「何が違うんだよ」
 「ハワイじゃなくてもいいの。特別にどこかにいかなくったっていい!…だから、毎日帰ってきて!毎日帰ってきて、あたしを抱きしめて。あたしを抱いてよ!」
 司の肩に手をかけて、無理矢理振り返らせる。
 もちろん、司が拒めばつくしの意のままになどならなかっただろうけれど、容易に司は身を翻し、つくしへと向きあう。
 その襟首を両手に掴み、つま先立ちで司の…愛する夫の目を覗き込む。
 まっすぐに…けっして反らすことなく。
 「あんたも我慢なんてしないで!…そりゃ、その…あんな風に毎日、されたりするのはちょっとっていうか、すごく困るけど、あんたのイライラや辛いこと、嫌なこと、あたしにも分けて。もっとぶつけてよ。あたしだったら平気。嫌だったら黙ってなんかいないんだから、黙って溜め込んだりなんてしないで!あんたらしくないでしょ」
 「…つくし」
 「あたしは砂糖菓子で包まれなきゃ幸せになれない女なんかじゃない。あたしは雑草!いつのまに、そんな勘違いしちゃったのよっ。あたしはあんたと戦いたいの。あんたと並んで歩きたい。…でも、雑草だって愛情が足らなくなったら枯れちゃうの。時々疲れちゃったら抱きしめて欲しいのよ。あんたのことも抱きしめてあげ…」
 突然、嵐が吹き荒れるような激しさで、つくしの体が司に攫われる。
 息が止まりそうな強さで抱きしめる痛いくらいの強さが、今は嬉しい。
 「俺もお前に毎日逢いたい。毎日顔を見て、話をして、抱きたい」
 「うん」
 「抱きしめて眠りてぇ」
 「うん。…もうあたし、遠慮しない。帰ってこなかったら電話もする。遅かったら早く帰れって怒る!あんたもあたしが寝てたら起こしてよ。起こしてお休みって言って。あたしの体が心配なら、一分でも早く帰ってきて」
 「…わかった。ごめん、つくし」
 「遠距離の時みたいに電話もして!メールもくれなきゃダメっ!」
 「ああ」
 司のごめんは、いままでのつくしに寂しい思いをさせていたことに対してのことだったのか、それとも不甲斐ない自分を謝ってのことだったのか…あるいは強姦に近い無理な交接に対してのものだったのか。
 今はもう、つくしにとってもどうでもよかった。
 ただ、大切なのはこの手の中にある愛しい男だけ。



 「欲求不満?」
 「うん」
 「司と牧野は夫婦になったものの、思うように互いに逢えなくって欲求不満がたまっちまったってか?」
 ドライマティーニのオリーブを齧り、戯れに舌で舐る。
 オリーブの苦味が酒の味をまた味わい深いものへと変える。
 「…で、お前はそのオリーブだったってわけ?」
 呆れたように尋ねる総二郎に、類がニッコリと微笑む。
 この年になっても、王子様と言われる男だけあって妙に無邪気な笑みだったが、その中身が外見ほど初心なものではないのを幼馴染み二人はよく知っている。
 それどころか、一物も、二物も腹の中に抱える食えない男だ。
 だが、そんな男がつくしにだけは、純な真心を見せる。
 「ま、単調な結婚生活には、刺激も必要でしょ?」
 「…単調ってほど、あいつらはまだ新婚生活も堪能してねぇと思うけど」
 「ようはお前はダシにされたってわけだ。奴らの刺激の」
 「どうだろうね。どちらにせよ、俺は牧野が幸せならそれでいいしね」
 どこまでが本気で、どこまでが冗談なのか。
 いや、類のつくしへの思いに関しては、いつでも本気以外の何物でもないのかもしれなかった。





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still…様

こんばんは。
終わってしまいました~。
私にとっては再掲で、前回も読んだよ、と言う方は多かったと思いますが、楽しんでいただけたようで良かったです^^

tomo様

tomoさんも再読してくださいましたか、嬉しいです^^
本当ですね、互いに互いのことを想っていても口に出さなければわからない。
ままさんのリクエストから生まれた話でしたが、私もいろいろ考えさせられました。
実はショートで書くつもりが、やはり私にはショートは難しかった。
しかもエピソードは他にも考えていて、そんなもん入れてたらいったい何話になるんだ!と断念wでも、誰かのリクエストをもとに書くお話というのも楽しいもので、今までは自分の書きたいものだけを書いてきましたが、いずれまたリクエスト作品も書きたいと思っています^^

うさぎ様

こんばんは^^
いつも楽しく拝見しています。
私も一気読みも好きなんですが、ついついフラフラっと毎日伺ってたりw
互いに互いを想いあう故にのスレ違いって愛が根本なんですが、人間は言葉がなければわかりあえない生き物。
そしてその言葉がないばかりに、とんでもない破局に向かってしまう場合もある。
そんな山場山場を乗り越えて、夫婦ってものがあるのでしょうねぇ。
私自身はそこまでの心境にはいまだ至っていませんがw
バレンタイン話気に入っていただけましたか^^
それはよかった。
実はブログ開設当初はそんなにみなさん、拍手を下さるものだとは思わなくって、安易に1000打で一話なんてフいたら、あっという間に間に合わなくなり^^;
今や1年近くも更新してない嘘つきです…。
ホワイトデー話くらいは更新したかったんですけどね。
どうもショートはやっぱり難しいです。
物書きの実力はショートにあるそうなのですが、そういう意味では私はやっぱりどうしても長くなって、短く文章をまとめる能力が低いってことなんでしょうねぇ。
うさぎさんのお話は、いつも考えさせられて、人生ってそうだよな、と恋愛だけじゃない愛情についても感じ入らせていただいています^^
ここのところのショートもほのぼので、近いうちに、また感想いれさせていただきますね!

みりんさん

つくしちゃんらしかったですか?^^
最初が我慢しすぎて、自分を押込めてましたからね。
でも開き直った彼女は強い。
そしてそんな彼女に愛された司もイイ男なんですよね。
そんな風に感じていただけたのならとても嬉しいです。
いろいろ、あっちこちつまみ食い状態の連載ですが、頑張って書き続けるのでこれからもよろしくです♪

たやや様

お久しぶりです。
いやあ、長らくご無沙汰していてすいませんm_ _m
不義理をしている間もたくさんのコメント、本当にありがとうございました。
こちらばかりか、『美男ですね』の方にもコメントをいただき、お話を楽しみにしていると応援いただいたにもかかわらず、あちらは停滞中。
一気にこちらをかき上げて、あちらも一気に更新したいという意欲は変わらず持ってるんですけどね。
ついつい、やはりアクセス数が多くコメントをたくさんいただいちゃったりすると、つい力の入れ方が^^;
あちらはあちらで常連さんもついてきてくださって、本当に不義理しっぱなしです><
『隣にはあなただかけ』リクエストで始まったこのお話。
楽しんでいただけたようでよかったです。
愛するが故のすれ違い。
壊れてしまうこともあるけれど、二人も今回は無事に乗り越えました。
長い人生の中、何度なくこういった試練はまた来るのでしょうけれど、二人はきっと乗り越えてくれる、そんな願いを込めたお話でした^^
やっぱり、夫婦の愛は女次第?w

*ririko*様

ふふふ、今回というか『昏い夜~』以外の類は、惚れる男に描けているでしょうか^^
私は司に抱きしめられたいより、抱きしめたい派かな。
なんというか、ああいう可愛い?男は守ってやりたい派なんですよね。
そのわりに、苛めたいっていうのもあったりしますが^^;
これも愛ゆえ?w

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