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隣にはあなただけ(献上作品)…13話完

隣にはあなただけ11

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 目が覚めた時、つくしは一人だった。
 正直…ひどい目にあった。
 そうとしかいいようがない。
 鉛のように重い体を無理に引き起こし、体の節々がまるでひどい打ち身のように鈍く痛む。
 そして何より、下腹部の違和感と重い生理痛のような痛み。
 体はすでに綺麗に拭き清められているようだが、股間に感じるぬるみはおそらく少し出血している。
 …まあ、それでも初体験よりはマシよね、きっと。
 あまり変わらない気もするけど、気分的にはそんな感じだ。
 時間を見ると、意外にもまだ日付はまたいでいないようで、思うように動かせない不自由な体を引きずりベッドから降りる。
 意識を失った時には床に転がっていたから、おそらく司が抱いて運んでくれたのだろう。
 しかし、当の凶行の主はどこにいったのか。
 「…さすがに、バツが悪いわよね、そりゃ」
 思わぬほどに掠れた声に、顔を顰める。
 喉が詰まったような気がするけれど、まあ、これはあれだけ叫べば仕方のないことだろう。
 とりあえず、汗や体液の生臭さや気持ち悪さは感じなかったけれど、フラフラとハッキリしない思考をなんとかしたくって、まるで老人のように体をかがめてシャワーへと向かう。
 「あいつ、あたしを置いて、邸に帰ったのかしら」
 フツフツと怒りがこみあげてくる。
 だが不思議に、あんなひどい抱き方をしたことに対しての怒りはなくって、ただ置いて行かれたことだけが腹立たしい。
 意外な爽快感。
 今まで経験もしたことのない恥ずかしいこともされたし、憶えていないが凄いことも言わされた気もする。
 下手をすると、この様子では明日にまで体調は響きそうだ。
 それでも、つくしの心はさっぱりとしていた。
 「人の体を勝手に清める気遣いがあるくらいなら、あたしを一人にするなっていうのよ、まったく」
 零れる愚痴もどこか明るい。
 とりあえず、へたれているだろうバカ男を探し出さなければならなかった。



 夜中ではあるものの、邸に電話して、お抱え運転手に車を回してもらう。
 いつもだったら申し訳なくってできないことだったが、いまのつくしは最優先でしたいことがある。
 「…帰ってなかったら承知しないわよ」
 口から洩れる言葉はおどろおどろしく、実際、いなかったら半殺しにしたいくらいの気分。
 だが、その心配はすぐに拭い去られて、お抱え運転手が司の帰宅を保証した。
 邸に帰ると、普段は寝ているはずのタマが出迎えに出ていて、内心バツが悪いつくしへと心配げに歩み寄ってきた。
 「…すいません、遅くなって」
 「なにがあったんだい?また、若旦那さまはひどい顔して。ここんとこ、ずっとゾンビみたいな顔色や表情だったけど、また一段とすごかったよ」
 「凄かったんですか…」
 「ああ。まあ、あんたと一緒になる前は、あれが普通だったんだけどね。なまじいい時を見てると、そのギャップがねぇ」
 「……」
 どうやら、そのひどい様子を心配してタマが待っていてくれたらしい。
 「あの…あいつ、どこにいますか?」
 「さあ、どこにいるのやら。帰ってきたとたん、不機嫌に使用人たちを追い払ってね。とてもじゃないけど、あの凶悪な雰囲気の坊ちゃんに誰も近づけられる感じじゃなかったんだよ」
 実際、逆らえばまた暴れだすに決まってる。
 昔のように人に当たったりはしないようだったが、また価値も天井上がりな道明寺邸の美術品の数々が多大な被害にある可能性は大いにある。
 …ホント、仕方ない男。
 呆れる気分半分、諦め半分。
 そんな男が誰よりも好きだなんて、一番仕方のない女はつくしなのだろう。
 この広大な屋敷を探し回ると思うと、うんざりするが、まあ、たぶんなんとかなる。
 少し前までの閉塞感はすっかり拭い去られ、逆にいまのつくしにはなんでもできそうな不思議な高揚があった。
 まあ、体の方は、ほとんど半病人みたいなものだったが。
 つくしの老人のような不自由な歩き方や、多少見えるとこにもある濃い情交の痕に、タマもいろいろ言いたいこともあっただろうけれど、フンと鼻を一つ鳴らしただけで何も言わないでくれた。
 うっかり何か言われたら、根拠のないつくしの妙な自信が、一気に羞恥にとってかわられそうだったので、大いに助かる。
 さて、どこから探しましょうか。



 やっぱりというか、意外にというべきか、司の捜査は難儀を極めた。
 手伝おうかという使用人たちを断り、つくしは単独捜査を開始する。
 まもなく、たやすく後悔したが、単独捜査を撤回しようとは思わなかった。
 たとえ朝までかかっても、自分で司を探し出すべきだと思っている。
 それは夜中で関係ない使用人たちに迷惑をかけたくないという思いもあったけれど、司を探すのは自分の役目だという不思議な自負があった。
 第一そうでなければ、司は話も聞いてくれないかもしれない。
 そして、何より、自分が彼を見つけたかった。
 かつて自分を見つけてくれて、愛し続けてくれた司のように、自分も自分の手で足で彼を見つけて、愛していることを伝えたい。
 そう思い決めると、案外、真夜中に広大な邸内を彷徨うことも苦ではない気がした。
 「…寝室はいなかったでしょ。執務室にもいなかった。昔道明寺が使ってた東の角部屋もダメ。えっと、確かあたしが住み込んでいた頃に使ってた私室…」
 そこで、ふと、自分が借り受けていた部屋ではないかと思い当たった。
 いまもつくしの胸もとを飾る思い出の土星のネックレス。
 それをくれたのは、つくしがメイドをしていた頃の部屋だった。
 あの時が、ある意味つくしと司の始まりだったといえなくもない。
 司からはその前も告白されてはいたが、どこか信じきれない思いもあった。
 告白されて、土星のネックレスをプレゼントされて、2か月の限定とはいえ交際を始めた。
 思いつけば、そこしかないような気がして、痛む体を叱咤し部屋へと急ぐ。
 部屋にたどり着く前に、すでに少し開いているドアから洩れる光が、つくしの予測がドンピシャリであったことを教えてくれた。
 必要もないのに足音を消し、気配を消して、そっと中を覗き込む。
 しかし、司の気配はなかった。
 ならば寝室の方かと部屋の奥へをソロリと進むと、普段お邸では感じることのない自然の風が頬をかする。
 思い当たってはためくカーテンの向こう、ベランダを覗くと案の上、まだ寝ていない司がベランダの手すりに両肘を乗せ、煙草をふかしていた。





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still…様

こんばんは。つくしちゃんも、司君の暴発を受けて、一皮むけた感じでしょうか。
肉体的には辛くても、スカッと抜けたって感じ?
残りあと2回ですが、実際には次が正念場かな^^

ゆみん様

次回つくしちゃんの男前?パワー炸裂ですw
開き直ったというか、悟ったつくしちゃんは強いです。
ヘタレな男をガシガシ揺さぶって、一山乗り越えてくれることでしょう♪

*ririko*様

本当ですねぇ。一途だからこそ不器用で、司君の魅力は完璧な男ではないところですよね。
ステータスや見た目は完璧な男!というところもポイント高しw

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HN無記名の方へ

お名前を記載されていなかったので、お返事は必要ないのかな…と思いつつ。
すいません、不用意な言葉じりがご不快を与えてしまったようですいません。
「書く書く詐欺」というのは、あくまでも冗談を含んで茶化した言い方をしたつもりで、もちろん、予告している時は、騙そうとしたわけではありません。
私も一読者として他のサイト様を訪れ、更新があれば喜び、更新がなければガックリする。
そんな経験を持つ一人なので、出来る限り皆さんのご期待に沿って頑張りたいと思ってはいるのですが、どうしても書けない時と言うのはあります。
軽い気持ちで予告しているというよりも、頑張って書くぞという、奮起の言葉であって申し訳ないのですが、確約する言葉ではありません。
それならば予告しなければいいのでは、と思われるかもしれませんが、どうでしょう。
私としてはズレこむことはあっても、できればその日のうちに、できなければ次の日に2回連続になっても更新したいという意欲は持っています。
しかし、なし崩しにスルーしてしうと、今日は更新しなくてもいいか、という気持ちにもなりまして。
そういう意味で、予告することで自分を奮い立たせているわけなのです。
朝6時の更新にしても、なるべくここらへんで更新するよ、という感じてとらえていただければありがたく。
基本、毎日更新していますし、スキップというよりズレこむのはこの先も、度々あると思いますが、ご了承くださいませ。
執筆活動というのは、商業的なものではないため、やはりどうしてもリアル優先になりますし、何より、自分のテンションを保つというのはけっこう波がありまして。
軽作業の積み重ねとは違って、書きたくない時はどうしても書きたくない。
皆さんが楽しみにしてくださる、というのが励みになり力になっているのは確かですが、書くだけですべて満足を得ることもできないのは確かな現実です。
これからも、こんな感じの緩い執筆活動になるかと思いますが、お付き合いくだされば幸いです。
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