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「昏い夜を抜けて…全483話完」
第四章 発覚①

昏い夜を抜けて102

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 「…私も野暮じゃありませんから、ここで失礼させていただきますよ」
 いらぬ気遣いで、二人を家まで送ってくれるというあきらの車を断った桜子は、あきらが車を呼ぶために席を外したすきに、耳打ちをよこした。
 「先輩、今日のところはお邪魔虫は消えますけど、今度はいろいろとどういうことになっているのか、聞かせてください」
 「なにがよ」
 「私も迂闊だったと今頃気が付いたってことですよ。…まさか、花沢さんとなんてね」
 ギクリと桜子を見返せば、揶揄るでもなく真剣な目に出くわす。
 からかっているわけではない。
 それがわかっても、桜子に言えることなどつくしには何もあろうはずがなかった。
 「まあ、今回は…美作さんに頼まれたとはいえ、不意打ちしましたからね。猶予を差し上げます」
 「…言うほど、何かあるわけじゃないって」
 つい反らしてしまった目を桜子に戻す。
 俯いてしまいそうな自分を叱咤し、声も震わせていないつもりだったが、果たして桜子に通じるものだろうか。
 自分でも自信がなのだから、一重も二重も上手な彼女を誤魔化せるはずがなかった。
 「…いいですけど、先輩がそうおっしゃるなら、今はそれで。とにかく、近いうちに今度こそ、二人で女子会といきましょう」
 「本当に、何もないんだってっ!」
 「…おう、桜子、うちの車ついたぞ。タクシーも呼んだけど、送らなくって本当にいいのか?」
 「ありがとうございます。…実は今、自宅にうるさ方の大伯母が逗留していましてね。男性の車で帰って来るのを見られたりするは得策ではないんですよ」
 心配そうに重ねて誘い掛けてくるあきらに、適当なイイワケで断り、桜子は柔らかく微笑み返した。
 自分が見かけどおりの、深窓の令嬢などではないことは十二分にわかっているはずだ。
 にもかかわらず、スレて強かな女であると熟知しているだろうに、あくまでもフェミニスト然と彼女に対しても紳士的に待遇するあきらの優しさがこそばゆく、好ましい。
 海千山千のマダムさえも手玉にとる女タラシの男のくせに、女性に対する優しさや博愛は真実で、それだけにタチが悪くもあり、女たちも彼に溺れるのだ。
 …先輩に対する気持ちだけは本物だと、信じてますよ、美作さん。
 あきらのつくしへ注ぐ眼差しを見れば本気だと桜子にも重々知れたが、それにしてももし彼が彼女の大切な女性を傷つけるようなことがあれば、絶対に許さない。
 それだけの思いがあるからこそ、つくしに求愛しているというあきらに協力する気にもなったのだし、どうも避けられているらしいフシのある彼をつくしに引き合わせる手伝いもした。
 …それなのに、よもや類とは。
 つくしの初恋の男性であり、F4の中にあって一種独特な存在である花沢類。
 かつては司に憧れ、総二郎やあきらとも交友関係のある彼女だ。
 だが、類に関してだけは、桜子は警戒心を解くことができなかった。
 馴染めば友人としても魅力的で、信頼に足る誠実さを持つあきらたちに対して、類はどこか蟻地獄のような虚無を内包している。
 かつて底なしの渇望と他者への嫉妬で、汲んでも汲んでも底のない柄杓で水をすくっているかのような虚無ばかりだった自分に通じるものを感じて。
 現れるものが違っても、類の孤独と虚無は桜子にも馴染みのもので、それだけに同族嫌悪のような嫌悪感と畏怖を隠すことが難しかった。
 …花沢さんはダメですよ、先輩。昔の夢を見て、今の姿に惑わされたら絶対に先輩が傷つく。
 確信めいた予感に苛まれながら、よもやつくしがすでにその闇の一端に囚われかけていようとは、さしもの桜子にも予想だにできなかった。



 電車で帰るから…と遠慮したものの、やはりあきらには通じず、美作家の車で送ってもらうことになった。
 それでも、車で隣り合っていれば、気の置けない友人同士としてのあきらは、相変わらず気さくで、柔和な洒脱さと話題の豊富さでつくしを退屈させなかった。
 …やっぱり、美作さんって女性の扱いに長けてる。
 女に慣れているという面では総二郎も同様だったが、彼の場合は無駄に過剰なフェロモンとセックスアピールでどうしてもつくしの緊張感を完全には解かせない。
 友人としての彼を信頼できたが、それでも強烈な異性としての存在感が強すぎて、安心しきれなかった。
 「…戸川さん、ここで停めてくれる?」
 「え?もう着いたの?」
 楽しさに時間を忘れていたのか、運転手を呼び止めるあきらの言葉に驚いて窓の外を眺める。
 が、外の景色は確かに、つくしのアパートの近所のようではあったがけれど、それでも見慣れた建物や路地には見えない。
 「この辺でいいんだよな?」
 「…え、まあ、そうだけど」
 近所ではあっても、間近とは言えないここに降ろされるだろうか?
 つくし的にはそれでも別にかまわなかったが、送ってくれるといったあきららしからぬ行動に戸惑い、口ごもる。
 不審げなつくしにフッと小さく笑みを落とし、運転手が開けるのを待たずあきら自ら車の外へと足を踏み出した。
 そして、わざわざ屈みこんでつくしへと手を差し伸べ、外へと促して来る。
 差し出された手に躊躇しつつも、あからさまに拒絶するのも大人げないと、手を取り車外へと連れ出してもらう。
 「寒いか?」
 ぶわっと顔に吹きかかった風に顔を顰めたことが暗闇の中でもわかったのか、あきらが自分の首に巻いていたマフラーを外して、つくしの首へとかけてくれる。
 「え?い、いいよ。美作さんが寒いじゃない」
 「俺は平気。これでもけっこう鍛えてるからな。お前の方が鶏がらぽくて、骨と皮ばかりだから、寒さが堪えるんじゃないか?」
 「ぶっ、なによ、それ。ひどぉ~!」
 何気に酷い言いようでカラかってくるあきらに拳を振り上げ威嚇して、「怖ぇ~」と大げさに身を引くあきらの仕草に、笑いを誘われ二人で笑いあう。
 「…少し、一緒に歩こう」
 「え?」
 「どうせ、避けるなって言ったってお前のことだ、妙に意識してそうそう俺とこういう機会を持とうとはしないだろ?」
 「……」
 図星になんと答えて良いやら、あきらを見上げる。
 「そんな顔するな。困らせようっていうんじゃない。でも、せっかくのチャンスは有効に使いたいんだよ。…ダチの俺だけでなく、求愛者の俺にも慣れて、俺と言う男を意識してくれ」
 わざと大げさなウィンクを一つ。
 気障な仕草が洗練された美貌に似合いすぎていて、あきらに夢をみていないはずのつくしでさえも真っ赤に赤面する。
 「…どっちだ?お前んち」
 「あ、こっち」
 聞かれて先導しつつ、肩を並べる。
 こうしてみると、あきらは司とも類ともまた別の個性を持つ男性なのだと強く感じる。 
 二人よりもわずかに背が低いそうだが、さすがにこれだけ身長さがあるとあまり気にはならない。
 いかにも男性としての男臭さと野性味で威圧的な司。
 王子様のような甘い美貌とは裏腹にシャープで冷淡なギャップが魅力的な類。 
 けれど、この二人と比しても見劣りせぬほどの美貌と魅力を持つあきらだったが、あくまでも自然体でそして…威圧感や引け目を感じさぬ物柔らかな男性だった。
 こうして隣を歩いているとそれを強く感じる。
 クスッと微笑んだつくしの気配に、あきらがん?と見下ろして来る。
 「なんだよ?」
 「ううん。美作さんて、やっぱり他の男の人たちとずいぶん違うよね」

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ホーリー様^^

こんにちは。
いつもいつも、たくさんの励ましの言葉と応援をありがとうござますm_ _m
支えていただきながら、返信せず、非礼ばかりの私ですが、本当に感謝しております。

さて、お問い合わせ?の件ですが、ご興味をもっていただいて、とてもありがたく、嬉しいです。
場所は「ベリーズカフェ」というところで、そのまんまのHNで執筆しています。
まだ、始めたばかりで本当にさわり程度なのですが、頑張ってゆきたいと思っていますので、気が向かれたらご覧になってください。

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