FC2ブログ

「昏い夜を抜けて…全483話完」
第四章 発覚①

昏い夜を抜けて100

 ←昏い夜を抜けて099 →昏い夜を抜けて101
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 「…悪い、ちょっと会社からだった」
 「会社に戻る?」
 気を使ったつくしの問いかけに、優しく微笑み返し、今度はつくしの横へと腰を下ろす。
 今度はさすがに、自分が席を変えるわけにも違う椅子へ座れと指図するわけにもいかず、内心のため息一つで、諦める。
 あきらの言う通り、彼はつくしの友人でもあるのだ。
 「平気さ。一日や二日、放っておいてもマズイもんは残してきてないよ。…スプモーニ、それにチーズと適当なつまみくれる?」
 あきらが注文すると、すかさず綺麗な茜色の酒と、何種類かのチーズが盛合された皿と野菜スティックのグラスがサーブされる。
 「ほら、これ」
 差し出されたカクテルとつまみに、つくしが顔を首を振る。
 「…お酒はやめておくって言ったでしょ?」
 「禁酒なんて言ったって、酒を飲む場に行ってノンアルコールじゃあ、その場の雰囲気を白けさせる場合もあるだろ?ダチ同士ならともかく、仕事関係で出かけることもあるだろ?」
 「そりゃそうだけど、だから慣れておけって?」
 「…それは違いますよ。人それぞれに、アルコールを分解できる量は体質で決まってます。お酒に強くなんてなりませんよ」
 桜子に同意され、あきらも大きく頷く。
 「じゃあ、どうすりゃいいのよ」
 「だから、酒の飲み方をお前に教えてやる。お前はあまりに酒の飲み方を知らなさすぎる」
 「え~」
 子供に言い聞かせるようなあきらの物言いに、つくしがわずかに膨れた。
 あきらがそれに小さく笑い、髪をかき混ぜ、つくしに嫌がられる。
 「子ども扱いしないでって前にも言ったでしょ?あんたとは1才しか違わないんだから」
 「ガキだよ、お前なんて。飲むペースを守るなんて初歩的なことが守れないんだから」 「ぶ~」
 「はは…。まあ、それはともかく、まずは酒だな。これはスプモーニ。わりとアルコール度数も低いが立派な酒だ。見た目もいいし、女が注文するのにもいいだろ?」
 「そうねぇ、とっても綺麗」
 「グラスがロングなのもいいんですよ。ゆっくり飲んでいる間に、氷が解けますから、さらに薄まりますし」
 「へえ?」
 「なるべく、飲むならロンググラスの酒を飲め。それに、あらかじめアルコール度数の少ない酒も念頭に置いておくといい。カンパリソーダ、クロンダイクハイボール、ピーチツリークーラー、照葉樹林なんかもいいかな」
 「…なるほど」
 そういえば、昔あきらはマダム相手に、バーテンダー顔負けの腕でカクテルを作って振る舞っていた。
 気障な物言いや仕草が彼に似合って、あきらの魅力をさらに引き立てていたのを思い出す。
 「とにかく、お前みたいに弱い奴は積極的につまみを食え。特に飲む前に、牛乳を飲むか、チーズを食っておくと、油分で胃を保護する働きがあるから、アルコールの吸収を遅くできる」
 「そうなんだ!」
 さすがは女タラシ。
 女を酔わせる知識も豊富だが、逆もしかり。
 そんな不埒なことを考えているのがわかったのか、あきらがつくしの額をツンとつく。
 「いったいなあ」
 「人が親切に教えてやってんのに、いま、ロクなこと考えなかっただろ?」
 「…ははは」
 乾いた笑いで誤魔化そうとしたつくしを、あきらが苦笑一つで許した。
 ふと、会話の切れ間に、つくしは何気なく話題提供に思いついた出来事を口にする。
 「あ、そういえばさ」
 「うん?」
 「先日、倉敷会長にお会いしたよ?」
 「へえ?倉敷グループの?」
 「…かな」
 意外な名前に、あきらと桜子が顔を見合わせる。
 経済界の重鎮も重鎮だ。
 「美作さんとは特に親しいの?」
 「…別に知らない仲じゃねぇけど、むしろ類の方が親しんじゃねぇかな。確か母方のじいさんと倉敷会長が学生時代の友人同士だ」
 「…ああ、そんな感じだったかも」
 飛び出した名前に、ちょっと気分が落ち込み、つくしのテンションが下がった。
 気の置けない仲間との語らいに気持ちが明るくなっていたのに、類の名前を連想させるような話題を提供した自分がちょっと嫌になる。
 「でも、どうして先輩が倉敷会長を?」
 「…ああ、その…、花沢類と外に出ていた時に、ちょっと出くわしてね」
 「ふぅん?」
 微妙な間に、あきらも桜子も違和感を覚える。

 だが、ここで問い詰めたところで素直に白状するようなつくしではない。
 それに別におかしなことでもないだろう。
 つくしと類は学生時代友人に近い関係を築いていたように二人には思えていたし、現在は仕事上の上司と部下。
 たとえ接点がないくらいに階級が離れていようと、互いに知らない仲ではないので、それなりに交流があるのかもしれない…つくし本人はなぜかそれを認めないが。
 「その時、美作さんの話題も出たから」
 「は?俺の話題?何の話だよ」
 「…あ~、なんだっけ、単なる世間話だよ。でも、倉敷会長が美作さんのこと、呼び捨てで名前を呼んでたからさ」
 深い意味なく話題にした話だったので、怪訝な顔のあきらに戸惑う。
 「倉敷会長が俺を呼び捨てに?…それって、もしかして俺のことじゃなくって、高階彰のことじゃないのか?」
 「え?」 
 「ああ。花沢さんのところに修業に出てらっしゃる高階会長のお孫さんですよね」
 「そうだな、類の母方の従兄弟だ」
 ぼんやりとあきらと桜子の会話に耳を傾けていたつくしの脳裏に一人の男が浮かび上がる。
 …そして、あの日、類に再び裏切られた日に耳にした名前が。
 「それって…」
 「あら、もしかして、美作商事の美作あきらさんじゃありません?類さんのご友人の」
 華やかな美声が、背後からかけられ振り返る。
 嫣然とした笑みを浮かべた美女が、あきらへと媚びるような眼差しを注いでいた。

◇交流・意見交換 『こ茶子の部屋』へ
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ

↓ランキングの協力もよろしくです♪
ブログランキング・にほんブログ村へ 💛 
いつも応援ありがとうございます^^!

web拍手 by FC2


関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【昏い夜を抜けて099】へ
  • 【昏い夜を抜けて101】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【昏い夜を抜けて099】へ
  • 【昏い夜を抜けて101】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク