FC2ブログ

「昏い夜を抜けて…全483話完」
第四章 発覚①

昏い夜を抜けて099

 ←昏い夜を抜けて098 →昏い夜を抜けて100
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 「あ…えっと」
 避けている…意図的ではないにしろ、結果的にはそうだったし、そうしなければならないとも思っていた。
 実際にはつくしも忙しくて、元々激務のあきらとはタイミングが合わなかっただけ。
 そうでなくても、つくしにはあきらを避ける理由がある。
 「求愛されて、避けて逃げ回るなんて、ホント、先輩って高校生の時から成長していないんだから」
 呆れたように言われて、つくしもムッと唇を尖らせる。
 その顔があまりに高校生の時の彼女そのまんまで、自分でも自覚があるだけに皆で吹き出す。
 「…成長していないのは自覚してるわよ、あんたにわざわざ言われなくっても」
 「開き直られちゃいましたよ~。意地っ張りだったのが素直に認められるだけは、成長したのかな」
 ふふふ、と笑いあう。
 「お前を困らせるつもりで告白したんじゃないって、言ったよな?」
 「…うん」
 困ったようなあきらの顔に、少し罪悪感がこみ上げる。
 「俺とお前は元々友達同士なんだ。気まずく思うお前の気持ちもわかるけど、無視するのは辞めてくれ」
 「…そんなつもりじゃなかったのよ。ただ、ちょっとあたしの方も仕事が込み合っていて」
 「嘘ばっかり。どうせ、美作さんに告白されて、その気がないなら気を持たせちゃダメだとか思って、どうしていいかわからなくって、距離を空けようとか思ったんでしょ?」
 図星だった。
 「……」
 赤面しつつ、なんと返していいのかわからず、アイスティをチビリと口に含む。
 「美作さんは、先輩に一度や二度振られたって、元々の恋愛経験が違うんですから、少しくらい踏みつけてやったって凹んだりしないんだから、普通にしていればいいんです」
 恋愛上級者らしいお言葉。
 「おいおい。俺はまだフラれてねぇぞ」
 「…どうせ、速攻断らないでくれ、とかいってお願いしたんでしょ?それでも無視されて、アプローチのしようがないくって私に頼ったくせに」
 うっ、と胸を抑え、わざとらしい芝居じみた仕草であきらが項垂れる。
 「えっと、その…。ホント、無視したわけじゃないって。そりゃまあ、美作さんにどうやって向き合えばいいのかわからなかったから、仕事にかまけてつい連絡を怠りがちになったのは悪かったと思うけど…」
 「だろ?そうだと思ってたよ。お人好しのお前が、俺をシカトしたり、逃げようなんて思うはずがないよ、な?」
 に~っこり。
 「…わざとでしょ?美作さん」
 「いやいや、これで俺の電話にもちゃんと出てくれるし、たまにはメシにも付き合ってくれるってわかって一安心した」
 これで食わせ者なのはわかっているが、それでも気を使わせまいとわざとお道化つつ、それでも次の約束をとりつけるのはさすがだな…と鈍いつくしもさすがにわかって苦笑する。
 「…ねえ、本当に、あたし、美作さんのことは」
 横にいてニヤニヤ状況を見守っている桜子の視線が気になって、ストレートには言えずに、遠慮がちに口火を切る。
 「いいんだよ。お前はいままでどおりで。無理矢理、振り向かせることなんてできないのはわかってっから。ただ、俺の気持ちをわかっていてもらいたかっただけ。電話にも出てもらえなくなるんじゃ、チャンスも何もないだろ?お前が俺に振り向いても振り向かなくても、俺は今まで通りお前の仲間だし、友達だと思ってる。…お前が他の男と恋愛してるのを見るとは辛いけど、まあ、その時だって覚悟してるさ」
 「……」
 言葉が途切れたところで、あきらの懐から携帯の呼び出し音が響く。
 「悪い…ちょっと、電話。二人で飲んでて?」
 断りを入れ、席を立つ。
 あきらの歩く姿を、女たちの視線が追いすがる。
 店の外に出ようとしたところを、女の一人が声をかけていて、それをにこやかに断っているところさえスマートで。
 「ほら、先輩、見ました?美作さんなんて、より取り見取り。わかってらっしゃる思いますけど、女たちの方が花にたかる蝶状態なんですよ?そんな人があそこまで言ってくれるなんて。こんなチャンス、絶対にもうありませんよ?」
 桜子が乗り出すように、つくしへと言い含めてくる。
 そんなの桜子にわざわざ言われなくっても、つくしにだってもちろんわかってる。
 どんなにあきらが素敵な男性で、真摯な気持ちを寄せてくれているのか。
 …けれど、そんな単純な問題じゃないのだ。
 大事な友達だからこそ、いい加減な気持ちで受け入れたりなんかできるはずがなかった。
 目をキラキラと煌めかせて、コンコンと説教する桜子の顔は、どこかお見合い小母さんのような下世話ささえもがあって、こんな美女が…と呆れる気持ち半分、おかしさ半分。
 「なんです?含み笑いなんてして、気持ち悪い。失礼ですよ?」
 「気持ち悪いって、あんたの方が失礼だわよ。…あんたはそう言うけど、美作さんとあたしじゃあつり合い取れないでしょ?」
 「それこそ、いまさらじゃないですか。それでも良いって思ってるからこそ、美作さんは先輩に告白なさったんだろうし、美作さんのご家族なら、たぶん…道明寺さんの時のようなことにはなりませんよ」
 迷って、最後まで告げられた名前に、小さく動揺しつつも、曖昧に微笑んで首をふる。
 「…先輩、本当はこだわってるんでしょ?」
 「そうだね、否定してもしょうがないか、あんたに」
 つくしの声は彼女らしくもない弱々しさで、そんな声を聞きたかったわけではない桜子は、自分の軽はずみな発言に後悔してギュッと唇を噛みしめる。
 「先輩には幸せになって欲しいんです」
 「桜子?」
 「…たぶん、道明寺さんもまだ先輩のこと、完全には吹っ切っていないんだと思います。いえ、もしかしたら…それどころか」
 「昔のことだよ」
 「そう言いながら、一番納得していない先輩を見ていられないのは私の我儘ですか?」
 「……」
 真摯な顔がつくしを見つめる。
 「美作さんのこと、考えてあげてくださいませんか?とても真剣に先輩のことを想ってらっしゃってます。あの時のようにもう先輩を失いたくない。美作さんとなら、きっと先輩は私とまた、ずっと一緒に付き合っていってくださる…そう、私のエゴなんです」
 一般家庭へ嫁げば、またも縁が途切れる。
 だが、あきらのような上流階級の家へと嫁げば、当然桜子との付き合いも続けていけるのだろう。
 そういう打算だと言われ、エゴだと言われても、その裏側にある桜子のつくしへの友情や愛情は疑うべくもない。
 あきらとだったら、つくしは幸せになれる。
 桜子の根底にあるのは、そんな信頼だった。
 そんな友の温かい気持ちに、心を慰められ…だが、そうだからといってあきらとの将来など考えられるべくもない自分がつくしにはわかっている。
 それはあきらだからとか、…たとえ司に気持ちが残っていなくても、今の自分に自分の心を自由にできる権利も立場もない。
 類との契約…。
 それは悪魔との契約にも似て。
 だが、つくしは桜子へとただ微笑み返す。 
 「ありがとう、桜子の気持ちは嬉しい。美作さんの気持ちには答えられないと思う。でも、あんたも、美作さんも、あたしにとっては大事な友達だよ。あんたたちが許してくれるかぎり、このままずっと付き合い続けられたらいいね」

◇交流・意見交換 『こ茶子の部屋』へ
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ

↓ランキングの協力もよろしくです♪
ブログランキング・にほんブログ村へ 💛 
いつも応援ありがとうございます^^!

web拍手 by FC2


関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【昏い夜を抜けて098】へ
  • 【昏い夜を抜けて100】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【昏い夜を抜けて098】へ
  • 【昏い夜を抜けて100】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク