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「中・短編」
秘密の司君…22話完

何度でも…I love you 04

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 滋に支えられるようにして、つくしは病院へと到着した。
 昼日中の大学病院は外来も終わり、喧騒も一時落ち着きを見せている。
 リムジンで病院に向かう道すがら、犯人は捕まり司も軽い打撲と脳震盪程度で、特に重篤な怪我がないことを伝えられた。
 それでも、生きた心地がしなくて、つくしは震える体を抑えられなかった。
 病院につくまでの間、ずっと滋に肩を抱かれ、なんとか正気を保っていた。
 いくら大丈夫だと言われても、司の無事な顔を見ないうちには安心できない。
 残念ながら、まだ司の意識は戻らず、直接連絡がとれなかったのだ。
 「…大丈夫?つくし」
 「うん、平気。もう落ち着いた。ごめんね、迷惑かけて」
 「何言ってるのよ、水臭い。あたしにとっても、司は大事な友達なんだから。司、特に大事にはなってないんでしょ?」
 「そうらしい。まだ意識が戻ってないから何とも言えないんだけど、たぶん階段から落ちた時に頭を打ったらしいから、そのショックみたい。でも、特には外傷もないらしいし、受け身もとってたって」
 「ああ、まあ。あたしらは子供の頃から護身術とか、教え込まれてるしね。逆に言えば、よっぽど運が悪かったんだろうね。階段転げ落ちたくらいで、意識不明なんて」
 意識を取り戻さないのは不安だったが、とりあえずこれといった外傷もなく、医師の見たところ大事ないとのこと。
 いずれ近くMRIやCTも撮ってみなければ確かなことは言えないとは言われたものの、西田の様子から言っても、単に疲労が重なって…というのが司の目覚めない直接の原因のようだった。
 「それって、単に寝不足を解消してるだけってこと?」
 「…はは、まあ、まさかそんなことないとは思うけど、ね」
 冗談を言い合っているうちに、つくしの気も紛れ、動揺も落ち着いてくる。
 「類君たちも、仕事が一段落したらこっちに顔出すって」
 「う~ん、一応大事とって今日は検査入院とかになるのかもしれないけど、下手をすると意識が戻り次第、病院なんて自主退院しちゃいそう」
 「ああ…それはそうかもね。なんてったって、今日はずっと待ち望んできた日だったんだもんね。ここで、中止なんて死んでも死にきれないか。パーティ、続行するの?」
 死んでも死にきれない…なにげに今この時にはタイムリーすぎて笑えない。
 つくしは引き攣りつつ、そういえばどうなるのだろうとしばし悩む。
 とるものもとらず、大急ぎで道明寺の邸を飛び出してきたが、パーティの主役が不在ではあまりに締まらない会となってしまうだろう。
 とりあえず、それらの手配については西田が楓の…司の意識が戻れば彼の判断を仰ぐのだろうけれど。
 「あ、着いた」
 チンと鳴って到着したエレベーターから降りるとすぐ、いかにもな黒服が控える特別室のドアが見えた。
 つくしと滋の姿を見つけ、顔馴染みのSPが頭を下げる。
 「高島さん、道明寺は?」
 高島が柔和な顔をホッと緩め、立ちふさがっていた体をどかせて、つくしと滋をドアの前へと招く。
 「今さっき、医師の診察が終わりまして。意識は戻ってらっしゃいませんが、安定されているようです」
 「そうですか。西田さんは?」
 「さきほど各所への連絡のために席を立たれまして。社の方から何かトラブルがあったとかで、一時、社へ戻っていますが、すぐに戻りますので、そのまま牧野様には病室の方でお待ちいただきたいと、伝言を承っております」
 たぶんパーティや、今後のスケジュールのことだろう。
 つくしは一つ大きく頷き、礼を言って滋とともに病室の中へと入った。
 さすがに司の病室は、個室の中でも普通の部屋とは違う。
 高級ホテルのような豪奢な作りや、広さには今更感慨も浮かばないが、白いベッドに点滴を打たれて眠る司の妙に青白い顔が、つくしの目を射った。
 「…つくし?」
 棒立ちにドアの前から動かないつくしに、滋が怪訝に声をかける。
 「どうしたの?司の横に行こうよ」
 「滋さん」
 躊躇なくベッドに近づく滋を追いかけて、仕方なくつくしも司の傍らへと立つ。
 「…もしかして、思い出してる?」
 傍らで無言のまま、司を見下ろすつくしへと、滋が視線を向ける。
 「あ…その…、ちょっとだけ」
 滋が言っているのはもちろん、司が昔暴漢に襲われ出血死しそこなった7年前の事件のことだ。
 司は一命をとりとめたがその直後、つくしの記憶の身を失い、一時期つくしを激しく拒絶した。
 司の青白い顔を見ていると、記憶喪失の時のことはともかく、彼が死ぬのではないかと恐怖したあの日の悪夢が蘇ってくる気がしたのも確かだった。
 別に命に別状はないと言われている。
 怪我も大したことがなく、眠り続けているのも大半が過労と睡眠不足が原因。
 だというのに、司のいつもとは違う頼りなげで儚げな風情が、つくしを感傷的に不安にさせる。
 複雑な顔をして顔色の悪いつくしを見つめ、ギュっとその手を滋が握り締める。
 つくしが滋の顔を見返すと、滋がニッコリ笑って、再び司へと視線を移す。
 「しっかし、相変わらず、すっごい綺麗な顔してるよね、司。お肌も綺麗だし」
 「え~?」
 呑気な物言いに、ついつくしも肩の力が抜ける。
 「無邪気な顔しちゃって。子供みたい」
 「ふふ、そうだね」
 「司って、目を瞑ってるとキツさがなくなって、あんまり野獣って感じしないよね」
 「うん、寝顔だけは無邪気だから。昔から、けっこう可愛いかな」
 「うっは~。ご馳走様」
 滋がつくしの顔を見て、何を思ったのか赤面している。
 「え?」
 「いやいや。普段、司ばっかりアプローチしてるから、司がつくしをべた惚れっていうのはまあ、よくわかってるんだけど、こうしてみてみると、つくしもけっこう司にべた惚れだよね」
 「はい?なにそれ」
 「すっごい、甘い顔しちゃってる。もう、蕩けそう~」
 「滋さんっ!」
 つくしの照れた大声がうるさかったのか、静かに眠っていた司が顔を顰め、身動きしだす。
 「ん…」
 点滴をしていたのとは反対側の手があがり、瞼をピクピクさせながら、眩しいのか手を額に翳して、呻く。
 「道明寺っ」
 「…司っ」
 二人が息を呑む中、ゆっくりと目が開かれた。
 「ここ?」
 茫洋とした顔が、心配と驚き、安堵、その他もろもろの感情を浮かべて、殺到する二人の女の顔を見上げる。
 「なんで?俺」
 幼い子供のような頼りなげな口調。
 ハッと我に返ったつくしが、だああっと滂沱の涙を流し、怒鳴りつける。
 「このバカッ、人をさんざん心配させてッ。まだ目を醒まさなかったら、頭に蹴りを入れようかと思ってたところだよっ」
 「…ちょっ、つくしっ」
 思ってもいない雑言を吐き、まだボウッとして無抵抗の司を激しく揺さぶるつくしを、滋がギョッと振り返り、制止する。
 「ほら、まだ精密検査してないんだから。頭を揺さぶったらマズイよ」
 「え、あ、そ、そっか…」
 「何すんだっ!俺に触るなッ」
 司の怒声に、つくしと滋がビクッと固まる。
 見たことがある。
 これと同じ目で、今と同じ声音であの時もつくしに言い放った。
 「誰かっ、この頭のおかしい女、放り出せ!!」
 つくしは震える唇に片手をあて、敵意と嫌悪をぶつけてくる司から、一歩後退った。




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ショック‥‥。
また記憶喪失なんて‥‥。
司の意志とは裏腹に、またあの目をして、つくしに怒声をあびせることになるなんて。
こ茶子さま、待てません。
早く続きを。

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