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「中・短編」
秘密の司君…22話完

何度でも…I love you 01

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何度でも…I love you
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 幸福な気怠さの中、額に感じた唇の感触。
 優しい温もりに包まれて、つかの間の眠りから揺り起こされたつくしは、そっと目を開く。
 昨日…もうすでに日付を大きくまたぎ、二人が安らかな眠りを受け入れたのはいつのことだったのか。
 互いを味わい、悦ばせあい、気が付けば薄らとした朝日の訪れを近く感じていた。
 そして、目を覚ませば、大好きな男の綺麗な顔。
 クールビューティーだとか、切れ者だとか、鉄面皮だとか、世間で言われている男の評価なんて、熱愛する恋人の前ではまったく違う。
 バカで、我儘で、ガキで、だけど誰よりも恋に一途で純粋な一人の男でしかなかった。
 蕩けそうに優しく微笑み、彼女を見つめる熱い視線だけが真実。
 片肘を枕につき、ジッと眠るつくしを見守っていた司が、目があって今度はぼんやりしているつくしの瞼に唇を落とす。
 「…はよ」
 「お、おはよう、ずいぶん早いね。いつから、起きてたの?」
 「ん~、なんだか寝るのもったいなくてな。お前の寝顔見てずっと起きてた」
 「え~。何よ、それ、今更じゃない」
 わずかに頬を紅潮させつつ、クスクスと笑う。
 そんな彼女のご機嫌な笑い声さえ、司には大切な幸福の欠片だ。
 もう何年も前から付き合っていて、こんな夜や朝を何度も過ごしてきたというのに、そのたびにその時間がとてつもなく得難く、素晴らしいものに思える。。
 司が捧げてくれる愛情と恋慕は、いつまでたっても熱く深く、つくしもそれが嬉しくて面映い。
 それでも昨夜は確かに、日頃ツンデレなつくしにとっても特別な日で。
 ロマンチストの司を笑えないほどに、彼女も眠るのがもったいなかった。
 …まあ、体力的な問題で、ほとんど気を失うように寝入ってしまったわけなのだが。
 「今更だろうとなんだろうと、こうしてお前と過ごす時間は、何回経験しても俺にとって特別だし、大事なんだよ。昨日は無理させただろ?まだ早いから、お前は寝ててもいいぞ」
 今度は、チュッと軽い口づけを唇に受ける。
 それがあまりに甘ったるくて、日頃意地っ張りななつくしにしてみれば気恥ずかしく、軽いテレを感じてしまう。
 それでも、特別な日を一夜明け、つくしも愛する人に対して精一杯、素直に愛情と感謝を示したかった。
 美しい恋人の頬に手をあて、にっこりと微笑み返す。
 「ありがと、大丈夫だよ。あんたが起きてるならあたしも起きていたい」
 はにかみながら囁くその華奢な指先には、昨夜渡されたばかりの煌びやかな指輪。
 細い指先に余すような大きなダイヤは、朝の光を浴びて眩いばかりの輝きを反射し、まるで二人のこれからの明るい未来を暗示しているようだった。
 それを司も目を細めて眺め、これからも自分が守りたい、守ってゆくその小さな手を取り、今度は指先にキスをする。
 チュッ、チュッ、チュッ。
 「…もう、どれだけあんたはキスするつもりだつーの」
 「いいだろ?俺は今からもう一度お前を隅々まで舐めまわして、食っちまいたいくらいなんだからな」
 「ば、ばかっ!」
 揶揄るような切れ長の三白眼が色気を含んで、素肌のつくしの胸元をネットリと見つめた。
 それこそシーツに包まれた、体の隅々まで透視されそうなほどの熱視線。
 昨夜の熱い夜の余韻が蘇る。
 つくしは頬を羞恥に火照らせ、頭の上までシーツを引き上げた。
 「なんだよ、それこそ今更恥ずかしがってんじゃねぇよ」
 笑い含んだ手がそのシーツを剥がそうとして、それを阻止するつくしと甘い小競り合いを繰り返す。
 きゃあきゃあ、わぁわぁ子供のようにジャレあって、息を切らせて、ふと目があえば、またキスして、キスされて。
 その朝の二人は、この世の祝福を一身に受けているような歓びに包まれ、確かにこの世の誰より幸せだった。



 ひとしきりフザけあった後、恥じらいつつも司に望まれるままに一緒にシャワーを浴び、道明寺邸のシェフの美味しい料理を食べさせあった。
 けっして平坦とは言えなかった二人の交際が、実を結ぶことが約束された今日この日。 4年の約束どおり日本へと帰国を果たした司だったが、なんだかんだと時がすぎ、二人はいまだに結婚していなかった。
 第一に、二人の交際を半ば公認していた司の母の楓はともかく、今度は司の父が待ったをかけた。
 完全なる拒絶というわけではなかったが、まだたった22才の企業人としては若輩の司。 その彼が、平凡な一女子学生と結婚することを危惧してのことだった。
 二人はまだ若い。
 二人に襲い掛かった試練や距離が、逆に二人の恋愛のスパイスとなって燃え上がる炎の燃料となっていたのではないか。
 実際、危機を乗り越えたカップルの破局は存外に多い。
 それまで危機を乗り越えることでの連帯感が失われると、二人を結んでいた絆さえもが危うくなるのは別に珍しいことではなかった。
 波乱万丈な二人には、互いをよく知る機会さえない。
 そして、いざその障害が取り払われ、いざ恋人と真正面から向かい合う機会を得られるようになると、互いの人格や生き方に齟齬をきたして幻滅してしまうのだ。
 また、当事者の一人であるつくし自身も、学生のうちにせっかく学んだ勉強を社会で試す機会もなく結婚してしまうことに躊躇があった。
 学んだことを生かしたい、自分を試したい、司と対等に歩いていきたい。
 負けず嫌いで勤勉な彼女らしい欲求。
 それらが重なり合った結果、とりあえず日本で共に過ごす時間を結婚へのお試し期間…あるいは熱し過ぎた幻想の冷却期間として、司の婚約者ではなく、ただの恋人として過ごすことになったのである。
 それはそれで幸せな3年間だった。
 3年の間に、司も道明寺財閥次期後継者としてさらなる成長を遂げ、つくしはつくしで教職の資格をとり、幼稚園の教諭として社会にでて自分なりに自分を磨いた。
 当然その中には、道明寺家に相応しい花嫁教育も含まれていたが、忙しいながらも司に支えられ、順調に結婚へのカントダウンを刻むことができた。
 そして、先日、ついに司の両親にも二人の結婚が認められ、今日向かえる司の25歳の誕生日を控えた昨夜、改めて司がつくしにプロポーズ。
 数年の間にも何度かプロポーズされ、そのたびに新しい指輪を贈られたが受け取れずにいたのだが、今回、皆に求められたことでつくしがついにそれを受けいれ、今夜開催される司の誕生パーティにて二人の婚約発表が正式に行われることとなったのである。
 誕生日パーティを終えれば、今度は3日間のオフ。
 結婚式自体は来年の6月までお預けだったが、二人はそれでも最高に幸せだった。
 「明日は、どっか行く?」
 「…海外にでも出るか?」
 「ええ~、今からそんなこと言う?」
 「どうせ、うちのジェット飛ばすんだから、一週間前だろうと今からだろうと、好きにするさ。そうだ、お前、確か新婚旅行はハワイに行くのが夢だとか言ってただろ?」
 「あ~、うん、よく憶えたね」
 出勤前の司の着替えを手伝いながらの一幕。
 「俺様を舐めんなよ。お前のことなら、どんな些細なことでも俺が忘れるなんてありえねぇよ」
 「本当かなあ~」
 わざと難しい顔をして、掲げられた袖口のカフスを止めてやる。
 「なんだよ、俺を疑うのか?」
 「忘れたことあったでしょ?」
 問い返してやれば、あ~、と不遜な男が目を泳がせる。
 それに小さく笑って、もう片方のカフスにも取り掛かった。
 カフス一つでも、相変わらず高そう~。
 実際に、それ一つで普通のサラリーマンの月収を軽く超えるのだろう。
 関係ないことに気を取られているつくしの隙をついて、またチュッとつくしのうなじに吸い付き、つくしの機嫌を伺う。
 「もう、忘れねぇ。たとえ忘れたって、何度だってお前に惚れる。絶対に」
 低く囁かれる愛の言葉。
 下半身に直接響く甘いバリトンの美声に、耳下から囁かれて。
 「…ぁ」
 思わず溜息のような、小さな声が洩れてしまう。
 ところが、そんなつくしの声に図に乗ったらしく、ニヤケた男が今度は何度も同じ場所を舐めながら強く吸いついてくる。
 それを嫌がって、慌ててつくしは吸い付いているヤニ下がった顔を力いっぱい押しのけた。
 「ちょっと!今日のパーティで髪をアップにするんだから!痕つけないでって昨日も言ったでしょ?」
 「いいだろ?俺のモノって印なんだから。痕ついてりゃ、どうせ俺がつけたって他の奴らだってわかる。別にマズイことないじゃん」
 「マズイに決まってんじゃん!もう、この厚顔無恥男っ。あたしが恥ずかしいでしょ!?恥ってものをあんたも少しは知れ!あんたにだろうと、そんなマーキングつけられて人前に晒すほど、あたしは恥知らじゃないわよっ」
 「ふん。ベッドじゃ、別人みたいにすげぇ大胆なくせに、このムッツリカマトト女」
 「なっ!?」
 司がカラかうと、顔を真っ赤に熟れたトマトみたいに紅潮させ、頬を膨らめ、抱き付いてくる彼から身をもぎ離そうと暴れまわる。
 「もうやだ。これ以上手伝ってあげないんだから、自分でやって」
 「俺こそやだ、ネクタイも結べ。やってくんねぇと、もう一度ベッドに引きずり込んで、体中キスマークつけまくるぞ」
 物騒な物言いのわりに、司の声音と表情は甘ったれてる。
 そんな大きな子供の堂々とした駄々に、毒気を抜かれたつくしがプッと吹き出し、苦笑する。
 …ホント、ガキなんだから。
 そしてそんな司がもちろん、嫌いじゃない。
 いや、…それどころ、大好き。
 「新婚旅行の下見なんてのもいいかもな」
 さっきの話をぶり返す司の首を引き寄せ、
 「やだ、そんなんしたら、新婚旅行の時に感動が薄れるもん」
 屈む司のYシャツにネクタイを通し、今度はつくしが彼の顎の下にキスをした。




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