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「昏い夜を抜けて…全483話完」
第三章 嫉妬②

昏い夜を抜けて087

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 肌蹴た白いシーツに比して、赤黒い痣はひどく醜く際立って見えた。
 類自身も色白な方だ。
 男のくせにきめ細やかで、すべすべした肌に、その痣は似合わない。
 なんだか不愉快な気持ちになって、類の肩までシーツを引き上げようと手を伸ばし、背中に薄く残った爪の痕に気が付いた。
 「…え、これ、あたし?」
 驚いて、躊躇も忘れ、細く長い線をそっとなぞる。
 ほとんどは消えていたが、わずかに一部かさぶたが残る。
 よしんばつくしがセックスの忘我で、類の背中をかきむしってしまったのだとしても、こんなに早く治癒するはずがない。
 ましてや、職業柄つくしの爪は常に短く切りそろえられている。
 同じ爪痕でも、こんな形にはなりそうもなかった。
 気持ちが悪い。
 なんで自分が、こんなに不愉快になっているのかわからない。
 王子様だと憧れた類の美しい体に、醜い傷ができているからなのか…。
 それとも…まさか、肌を合わせて彼に執着心が生まれてしまったとでもいうのだろうか。
 類が変わってしまったことは十分にわかっている。
 『彼女』ではない自分を平然と抱くような男が、昔と同じであるはずがない。
 そして、再会した時に女と戯れていた類の手慣れた様子が、つくしの確信を後押しする。
 類は、他の女も最近抱いているのだ。
 他にもあるのかもしれないが、肩甲骨にある赤黒い痣は俗にいうキスマーク、情交の痕なのだろう。
 いくら奥手の自分だとてそれくらいわかる。
 経験がなく、つけ方もしかとはわからない自分が、そんなものを無意識につけられるはずもない。
 いくら我を忘れていたとはいえ、それくらいのことは憶えている。
 その相手は自分と同じく類の玩具かもしれず。
 意外にも本命の恋人ということもありえるのかもしれなかった。
 あるいは、自分は知らないが、許嫁なり婚約者がいても不思議ではない。
 だからどうだというのか。
 類の女性関係など自分には関係ないはずなのに、もやもやとした胸の奥の不快感が消えてくれない。
 そんな自分が嫌で、よけいなことを考えたくなくって、つくしは今度こそシーツにその痕を隠そうと、再び手を伸ばす。
 が…。
 類の肩越しに手を握られ、とっさに胸元へ引き戻す。 
 だが、しっかりと握られた手は、類の手から引き抜けない。
 「…おはよう。早いね」
 つくしの手を握ったまま、眠そうに振り返った類が、「あわわわわ」と大きく欠伸をする。
 「お、おはよう」
 会社での怜悧な経営者然とした姿が嘘のように、いたずらっ子のように寝ぐせを付けた男が、ぼんやりとつくしに視線をあてる。
 「どうしたの?変な顔して…」
 「…変な顔、は元からだよ」
 こんな自分を知られたくない。
 とっさに浮かんだ自衛本能が、類から視線を反らさせる。
 だが、ただでさえ隠し事の苦手なつくしの妙な態度は容易に類に気づかれたらしく、怪訝な顔でつくしの手を引っ張りよせ、胸に抱き寄せる。
 「なんか、あんた変だね。なに?」
 寝ぼけていたのが嘘のような、スッキリとした声音。
 けれど、そう問われても自分の心の動きなど見たくもないし、わかりたくもないつくしは曖昧に誤魔化す。
 「帰りたいの…いつまで拘束されてればいいの?昨夜は、だ、抱かなかったってことは、満足したんでしょ?それなら、愛人の役目は果たしたんだから、今日は帰らせてよ」
 嘘ではなく本音ではあるので、言葉によどみはない。
 ジッと背けられた顔を見つめた類も、フッと息を吐き、シャツの裾から手を入れ、つくしの割れ目をそっと撫でる。
 ゾクっと走った怖気と快感の予感に、つくしは身体を跳ね上がらせた。
 「やっ!」
 そのまま、首筋から鎖骨へと舌を這わせ、類は逃れようとするつくしを羽交い絞める。
 「やだっ。昨日、あんなにしたのにっ」
 「だって、しないのなら帰るっていうんだもん。それなら、また足腰立たないほど抱いたらいいんでしょ?」
 愉しそうに、色を含んだ本気の声に、つくしが蒼褪める。
 確かに昨夜よりは回復していたが、節々も痛いし、まだ疲労は残っていて体はだるい。
 そんな状態なのに、またも昨日のように激しく抱かれたら、明日は仕事だというのにどうしたらいいのか。
 第一こんな気分の時に、またもや望んでもいない快楽へと引きずり込まれるのは嫌だった。 
 ぶるぶる震えて、体を強張らせるつくしの喉元に吸い付いていた類が、上目使いで見あげてくる。
 目と目があって、怖がっている彼女の目に出会い、類が一つ息を吐く。
 「…今日、俺休みだって言ったよね?あんたの役目は俺を楽しませることなんだから、このままベッドに一日中縛り付けてもいいはずでしょ?」
 その言葉に、怯えを押し殺して、ギュっと目を瞑り、できるだけ従順に体の力を抜こうとつくしは努力する。
 そんな彼女を柔らかく抱きしめ、類派優しく頭を撫で、髪をすき、背中を撫でた。
 「俺も明日は仕事だし、とりあえずあんたが俺の気の済むまで一緒にいるんなら、無茶はしないよ。仕事に支障をきたされたら、俺も困るし」
 恐る恐る目を開けたつくしに、類がニッコリと笑う。
 誰がつくしを怯えさせているのかわかっているのかと言いたいような、甘く優しい邪気のない微笑み。
 「まだ俺といるね?」
 念を押されて、小さく頷く。
 「じゃ、もう少し寝よう。まだ、早いよ。あんたも疲れた顔してるし、俺、今日は寝倒すつもりだったしね」
 下手に逆らって類に気を変えられたら困る。
 類の胸に突っ伏し、言われるままにそろそろと目を閉じ、眠る努力をする。
 優しい手が、何度も何度もつくしの頭や背中を撫で続け、やがてはつくしも柔らかな眠りへと再び引き込まれていった。

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