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「中・短編」
Short story(1話完結)

ある日の風景

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短編表紙

 「あっれ~?牧野じゃん。一人?」
 久しぶりに天気の良い日曜日。
 これまた久しぶりに丸一日、道明寺が休みをとれるというのでデートしようと、待ち合わせの喫茶店。
 オープンテラスのテーブルで、パラソルの木陰から見るともなしに通行人を眺めていた小半時。
 いやあ、風が気持ちいい季節になったなあ、とか。
 おお、女の子たちのファッションが薄着になっていいですねぇ、なんてオヤジみたいな感想を呟きながらボウッとしてた。
 ちょっと早く来すぎちゃったかな。
 ま、いっか。
 ここのところ忙しくてのんびりお茶なんか飲んでる暇もなかったし、どの道、早めに目が覚めちゃったしねぇ、なんて。
 で、なんか見たことある人がいるなあと見ていたら…。
 「あや、いのちゃん、と、おキョンか~。相変わらず仲いいねぇ、デート?」
 バイト先で一緒の井瀬まどかと、鴻上京子が連れだって歩いていた。
 「そうなのよ~、私たちラブラブ~」
 「運命の二人だもんね!」
 手に手をとってヒシッと抱き合う二人。
 大学も同じ学部で、高校生の頃からの親友だという二人はいつも息もピッタリだ。
 まいど、いいノリだなあ。
 「て、何言わす!まどかはともかく、私には列記とした彼氏がいるんですぅ」
 「はは、そうだったね」
 「うう、男ができてからすっかりおキョンにはお見限りなのよ~」
 シクシクと泣きマネするまどかは、なんだか美作&西門コンビの子芝居を思い出すなあ。
 「で、牧野は、こ~んな陽気のいい日曜日に一人でお茶?なんだか寂しすぎるねぇ」
 「はは、けっこう気持ちいいよ。風もいいし」
 「独り身が身に沁みない?牧野らしいっちゃ、牧野らしいけど」
 私らしいって…。
 なんだか、二人の中ではすっかり、一人でお茶してる、という認識になっているらしく、恋人とまでは言わなくても普通、待ち合わせっていう発想にならないかなあ。
 そう思ったので、そう言ってみる。
 「はは、ごめん、ごめん。友達と待ち合わせしてたのか。別に牧野に友達がいないなんて思わないけど、牧野ってお茶したければ一人でもするし、外食だって普通にしていそうなんだもん。
私は一人で外食ってできない人だけどさ~」
 「私も、一人でレストランや喫茶店て入れないなあ。牧野って、友達多そうだけど、一人でもやっていける人だよね」
 うんうん、と頷き合う。
 まあ、確かに一人でお茶も食事も全然平気だけどね。
 私だって普通に友達とお茶したりだってする。 
 「うーん、まあ、確かに友達と待ち合わせしてるわけではないけどねぇ」
 「あ、やっぱり、そうなんだ?もしかして、今暇?」
 「いやあ」
 曖昧に返事してみたものの、『彼氏』とデートの待ち合わせだというのはなんとなく気恥ずかしい。
 これが英徳の学生だったら、学部は違っても私のことを知らない人はいない。
 1年生の時は外部生にはさすがに知られてなかったけど、4年生ともなった今では、卒業したとはいえF4との付き合いは周知の事実だった。
 道明寺と待ち合わせしてるとは思われなくても、こういう時、たいてい、『あれ?もしかして花沢さんと待ち合わせ??』が一番多い。
 自分ではそんなに頻繁に類と一緒にいるつもりはなかったけれど、桜子や美作&西門コンビに言わせればベッタリだったそうで、道明寺が帰国した当初は、バリバリ類に対する風当たりが強かった。
 まあ、類の方はどこ吹く風で、その分お鉢は私に回ってきたけれど。
 「あ!じゃあ、彼氏とデート?」
 「…はは」
 「「ない、ない!牧野だもん」」
 問いかけておいて、即座に否定はないだろう!?
 「牧野に男がいたら、私の立場ないよ~」
 「だよね~?シャレっ気なし、色気なし、胸なし!三重苦だもんねぇ」
 「ちょっと!胸なしは余計なお世話でしょ!」
 「あはははは。でも、今日はけっこう可愛いかも。牧野っておシャレに興味がないのかと思ってたけど、いつもの飾り気のなさってバイトだからだったんだねぇ。普段はけっこう可愛くしてるんだ?」
 「うん、薄いけどお化粧もちゃんとしてるじゃない?」
 「はは、ま、まあねぇ。ちょっとはね」
 ちょっと頬が熱い。
 確かに、普段、面倒でリップの一つも塗らない時がほとんどで、シャレっ気がないと言われてもしょうがないところだけど。
 でも、ほら、やっぱりね?
 さすがの私もこ、恋人!とデートの時くらいは、なけなしの乙女心を発揮するわけですよ。
 それを面と向かって指摘されるのもハズい。
 「これで男っ気もあれば、もっといいんだろうけど。あ!そうだ。ねね、友達と待ち合わせじゃないんだったら、これから私たちと一緒に合コンいかない?」 
 「あ!いいねぇ!私ら、これからT大の経済学部の人たちと合コンなんだけど、ちょうど女の子が少な目なんだよね!行こうよ、牧野」
 「あ、いや、それはちょっと」
 「いいじゃない!どうせ、彼氏の一人もいないんでしょ?もうすぐ夏もやってくるし、彼氏がいた方が絶対に楽しいよ!?」
 「いこいこ!」
 「だから、どうして、私に彼氏はいないと断定するわけ?」
 「「えっ?いるの?!」」
 「うっ」
 両脇から思いっきり意外そうに見下ろされて、絶句する。
 と、馴染んだ嗅ぎ覚えのあるコロンの匂いがふわっ香った。
 「いるよな、彼氏」
 甘い低音の声。
 「っ!」
 私の肩に長い腕がすっぽりと回されて、柔らかい唇の感触が頬にそっと落とされる。
 「どっ!道明寺!!」
 「悪い、遅れた」
 いつもはキツイ光を宿している切れ長の三白眼が優しく私を見つめていた。
 うはっ、い、いま、こいつ、わ、わ、私の頬に…。
 ガッ!
 とっさに繰り出した肘鉄は予想していたのか、ヒットする前に道明寺は私から離れて、機嫌のいいクツクツ笑いをもらした。
 ううう、恥ずかしい~。
 できたら永遠に顔なんてあげたくないけど、そうもいかない。
 さっきから、ウンでもスンでもなく、反応のない二人の様子を伺った。
 道明寺の顔を見て固まってる。
 「あ、あのぉ、もしもし?」
 ハッと我に返った二人が急に赤面したかと思うと、キラキラっと目を輝かせた。
 「ま、牧野…さん!」
 さん?
 「す、すご~い!すごーい!こんな素敵な彼氏がいたなんて!!」
 「ほんと!うっそ!男っけなんてまるでない顔して。牧野には密かに思いを寄せてる男の子も何人かいるっていうのに、誰とも付き合ってないっていうのって、彼氏がいたからなんだね!」
 え?そんなの知らないぞ。
 思い違いなんじゃ?思いを寄せるも何も、コクられたことなんてないし。
 そうは言うものの、怖々と道明寺の顔を見上げた。
 うっ、目の前で妙なテンションで浮かれている二人は気が付いていないだろうけど、一見ニコやか?な笑顔に浮かぶ青筋が怖い。
 てか、ニコやか…それはそれで怖いんだけどね。
 昔の道明寺だったら想像もできないけど、やっぱり社会にでて大人になったっていうのは伊達じゃないんだよね。
 「そう。俺が牧野の恋人なんで、その思いを寄せてるっていう誰かには、君たちから伝えておいてくれるかな?牧野には両思いでベタ惚れの彼氏がいるからよそ見できないって」
 おい!誰がベタ惚れの彼氏なのよ!!
 ふがふがとわめき立てる私の口を大きな手が塞いでいて、抗議できない。
 「「はい!どうぞ、お幸せに~」」
 道明寺にニヤっと笑いかけられ、陶然とした二人が上気した顔で返事を返す。
 ああ、明日にはバイト先であることないこと噂が飛び交うんだろうな。
 二人の口の軽さは言うまでもない。

 はあ~。
 「とりあえず、ショッピングでもいくか?」
 はあ~。
 「それとも、どこか行きたいとこある?」
 はあ~。
 「…おい」
 「え、なに?」
 「なにじゃねぇだろ、さっきから何溜息ついてるんだよ?俺様にあえて有頂天になるならともかく、ため息つくとはどういう了見なんだよ、てめぇ」
 「何が、有頂天よ、ばっかじゃないの?」
 「ああ?」
 まったく、大人な態度はどうした?
 下手に喧嘩になるのも馬鹿らしいので、しょうがなく私から折れる。
 …認めたくないけど、3週間ぶりに会えたんだもの、久しぶりのデートを喧嘩別れしたくない。
 「別にあんたにため息ついてたわけじゃないわよ」
 「じゃあ、なんなんだよ」
 「いやあね、さっきの二人にバレちゃって、月曜日から何あることないこと言われるかと思うと…」
 はあああ~、ホント溜息でちゃう。
 「なんだよ?あることないことって?お前と俺っていったら、あることあることばっかりだろうが」
 あることあることって…ぷっ
 「何よ、それ~」
 「お前と俺が両想いなのも、お互いベタ惚れなのも本当のことだろ?」
 「ベタ惚れって…」
 「なんだ?お前は違うのか?」
 …違わない。でも、そんなこと素直に言えずに、赤面して俯く。
 それに道明寺はどう思ったのか、首を傾げて俯いた私の頬を両手でそっと包み、すくいあげて目線を合わせた。
 うっは~。
 相変わらず綺麗な顔。
 形の良い眉も、バサバサの長い睫に包まれた切れ長の目も、すっと通った鼻筋も、薄めの綺麗な唇も。
 何もかも完璧。
 そんな美貌の男が、私だけを見つめて熱い眼差しを注いでいる。
 すっごいドキドキする。
 「俺はお前にめちゃめちゃ惚れてる。ベタ惚れだ。好きだ、愛してるって誰にでもどこででも公言できるし、どんな噂になっても大歓迎だ。お前は?」
 真摯な瞳に、嘘なんてつけない。
 壊れそうに動悸うつ心臓が聞こえてるんじゃないかと、余計に体が震える。
 「わ、わたしも」
 「わたしも?」
 「わたしも道明寺にめちゃめちゃ惚れてる…し、す、好き」
 ふわりと道明寺は幸せそうに微笑んで、私の瞼に唇を落とす。
 「牧野、好きだ」
 鼻先に、キス。
 「惚れてる」
 頬に、キス。
 「愛してる」
 目と目を合わせて、ダダ漏れに溢れてくる何かに私の脳みそがやられてしまう。
 「私も…愛してる」
 唇に唇が触れて、温もりに包まれてそっと、目を閉じた。

 その数分後…映画の撮影よろしく多勢のギャラリーに囲まれた中で、我に返った私の叫び声が日曜日のショッピングモールを響き渡った。



(~Fin~)




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~ Comment ~

short story見逃してました😵
というか一話完結でこの濃密度。素晴らしく面白かったです。大満足です。「俺に会って有頂天」とか言葉チョイス最高すぎです。一人笑い転げました。ありがとうございました😆💕

あぁもう幸せ🤤💓
ご馳走さまでした\(//∇//)\
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

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