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「百万回の微笑みを愛の言葉にかえて」
第一章 忘却は罪?

百万回の微笑みを愛の言葉にかえて020

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類SIDE)
 今日は朝から、牧野は講義が入っていたはず。
 牧野の姿を探して、心当たりのカフェや芝生のあたりを探していると、あきらが歩み寄ってきた。
 「よう」
 「…おはよ。今日はずいぶん早いね。授業、午後からじゃなかった?」
 「もう昼だぞ。おはようって時間じゃねぇだろ」
 苦笑しながら横に並んでくる。
 「今日は特に予定がなかったし、ここんところ牧野の顔見てねぇからどうしてるかと思ってさ」
 俺らもジュニア。
 司ほどじゃないけど、それそこ親の会社を手伝い始めてる。
 あきらも先月、2週間ほどイギリスに行ってたり、今月は今月でなんだかんだと仕事に駆り出され、必須科目がヤバイとボヤいてたところだ。
 ある意味、一番時間があるのは総二郎だったが、奴は奴で、親父さんがつい先日大腸にできたポリープの手術で入院してたから、家元代理として何かと多忙だった。
 「お前、また牧野か?」
 ちょっと困ったような顔で、あきらが聞いてくる。
 だいたい何を言いたいかわかっているので、あえて答えず、周囲を見回して牧野の姿を探す。
 「…お前な、シカトすんなよ。たいがい、俺も小姑みたいにお小言言いたいわけじゃねぇけどよ」 
 「なに?また司がなんかねじ込んできたわけ?」
 司の焦る気持ちもわからないではない。
 だからって、何かっちゃ時差も無視で電話かけられちゃ迷惑だから、ネグってやると必ずといっていいほど、あきらが出てくる。
 お前もよくやるよ。
 司のパシリやるほど暇じゃないんだろうに…。
 そうは言いつつ、俺も総二郎も何かあれば、あきらに…っていうのは、もうガキの頃からの習い性みたいなもんだった。
 「はあ、わかってんなら、電話とれよな。要件だってわかってんだろうから、適当に相手してやれよ」
 「だって、司うざいんだもん」
 「…そりゃ、俺だってわかるけどさ、お前のせいで、あいつの苦情の集中砲火、俺が受けてんだぞ?俺の身にもなれよ」
 うんざりしつつも、頼まれるからあいつもいい気になるんだろうに。
 そういいつつ、あきらが相談にのってやらなければ、総二郎が、…面倒くさいけど、結局俺も完全には無視できないんだから、仕方ないよね…親友だもん。
 まあ、今回のことは、その俺が原因ちゃ、原因だから相談も何もないんだけど。
 「愚痴なら総二郎に言いなよ。悪いけど、司の言いがかりに関しては俺もうんざりしてるから、何言われても当分、電話に出る気ないから」
 「まあな、確かに言いがかりっちゃ言いがかりだけど、正直、俺も司の心配はわからないじゃない」
 「…なにそれ?」
 真面目な顔をするあきらをチラリと振り返り、視線の先に牧野後姿を見つけた。
 「あ、いた」
 「…あ?牧野?」
 さっさとあきらをおいて、牧野の方へ歩き出そうとした俺の腕を掴んで引き留めてくる。
 「なんだよ」
 「お前、マジで司から牧野を、横取りするつもりなのかよ?」
 「はあ?それこそなに寝言言ってんだよ。司だってマジで疑ってるわけ?俺のこと」
 そうだと言われたら、けっこうムカつくかも。
 俺は俺なりに好きな女にも、親友にも誠意を尽くしてきた。
 牧野のことを俺が好きなのは周知の事実。
 それをあきらも総二郎も…もちろん、司や当の牧野も知ってる。
 だからって、親友の司から、その牧野を奪い取ろうなんて思ったことはない。
 確かに、司が道明寺のおばさんにNYへと連れ去られて唯々諾々と従った時や、牧野の記憶を亡くして彼女をないがしろにした時には、魔が差しそうになったことがなかったとは言えない。
 けど、牧野と司が心を通じ合わせて、遠距離恋愛を乗り越えようとしてからは、牧野の笑顔が見れればいいって、見守るスタンスを崩したつもりはなかった。
 …ああ、でも一度だけ、俺が他の女と付き合えばいい、みたいなことを牧野に言われてキレちゃったことがあったか。
 今思えば、それが原因で牧野が記憶を失ったような気さえするから、大きな声じゃ言えないのかもしれないけど、それだけに責任を感じてたし、記憶を失って不安がってる彼女の力になりたかった。
 時折疼くように彼女への気持ちが湧き上がることもあるけど、それはもう名残り雪みたいなもので、今現在燃え盛っている炎なんかじゃない…はずなんだ。
 「司はまあ、根っこじゃお前を信じてる。ギャーギャー喚いてたって心の底じゃ、幼馴染みで親友の俺らの絆ってやつを信じてるさ。…そうじゃなきゃ、お前にいつまでも牧野を任せて、呑気にNYに留まっているはずなんかないだろうよ。でも、俺も伊達に女と遊んできたわけじゃないからさ」
 「…だから、なに?」
 「人間の気持ちって、そんなにキレイに割り切れるもんじゃないだろ?司の心配も当たり前のことだし…お前の気持ちが変わったとしても仕方のないことだと思う」
 「それって…けしかけてる?もしかして」
 「ん~、そう取られると猛獣に食い殺されちまうから勘弁して欲しいんだけどよ。…どっちかというと、お前より、俺は牧野が心配なんだよな」
 「牧野?」
 俺はもうすでに傍らの親友から、チラチラと学生たちの間に見え隠れする牧野に気を取られていて、見覚えのない男が牧野に話しかけているのが目につく。
 牧野…何気に隙だらけだからな。
 特権意識が異様に強かった高校時代と違って、外部からも多くの学生を受け入れている大学部では、牧野たち庶民と感覚が近いものが多い。
 実際、庶民出身の人間もかなりいて、俺らが目を光らせてるから牧野は気が付いていないけど、大人の女になり始めた牧野は蝶が羽化するように日々美しくなっていて、密かに男子学生たちの中で人気があった。
 まあ、そういう連中はたいてい大学部からの外部組で、牧野が司の女だと知らない奴らばかり。
 いくら俺らがガードしてるって言ったって、まさか俺らの彼女ってことにもできないから、表向き牧野はフリーなんだ。
 「…記憶のない牧野が、お前にまた惚れたら、お前、それでも司の女だってあいつを諦められるのかよ」
 「…っ!?」
 牧野と見知らぬ男に気を取られていた俺は、突然突かれたあきらからの攻撃に、思わず息を呑みこみしばらく言葉を失ってしまった。

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