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「百万回の微笑みを愛の言葉にかえて」
第一章 忘却は罪?

百万回の微笑みを愛の言葉にかえて019

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つくしSIDE)
 ホント!信じられない。
 なんとか車と運転手さんは、道明寺邸で引き取ってもらうことで話はついた。
 『いいけどよ、あの車突っ返すんだったら、うちの邸にはもう運転手いるし、いま他にうちの人間も住んでねぇから、解雇することになるけど?』
 …そんなことを言われ、あたしのために運転手さんを失業させることなんてできない。
 かといって、あんな高級車うちみたいな貧乏アパートの前(月極駐車場とは名ばかり青空駐車)にドーンと置かれたって困っちゃうし、下に運転手さんに住み込んでもらったりしたって、どこへ乗っていけばいいのかわからない。
 仕方がないので、とりあえず手間かもしれないけど、大学の送迎や、遅い日のバイトの帰りの迎えにだけは来てもらうことにして、あとは道明寺邸の来客など備えて待機してもらうことで話がついた。
 とにかくやることが極端!
 確かに車でも退院祝いにやろうか、なんて軽く言われてたけど、もうすでに退院してから早2か月近く。
 すっかり冗談だと思っていた。
 退院直後にすごい豪華な花束と美味しいケーキを贈られて、それで話は終わったんだって。
 その時も、チラッと部屋いっぱいの花を贈りたかったけど、以前に1万本のバラを贈ってどうのこうのと…い、一万本?
 もしかしたら聞き間違いだったのかもしれないけど、まあ、どちらにせよ、非常識な数の花を贈ることは断念してくれたらしい。
 それが、今になってなんでまた退院祝い?
 聞くと、
 『ああ、カルフォルニアにはカルフォニアなんだけど、お前向けにちょっと安全対策とか、特注仕様で手配したから時間くっちまったんだよ』
 だ、そうで。
 どうやら市場価格で販売されているものより、さらにグレードアップされた車であることがそれでわかった。
 けれど、あたしは、道明寺司という人がどこからどこまでわからない。
 本当にわからない。
 いくら彼女(自覚ないけど)の退院祝いといえど何百万もする高級車をポンとよこしたり、そのための運転手さんを雇ったり、そもそも記憶がないというあたしに触れるのも恐ろしいほどの婚約指輪を渡そうとするなんて想像の範疇外だ。
 こんなに価値観違う人と、あたしにどう付き合えと?
 「先輩、何、辛気臭い顔してんですか?」
 ポンと背中を叩かれ、箸を咥えたまま顔を振り向けた。
 「…桜子」
 今日は天気が良かったので、大学部の中庭でお弁当を広げて一人ランチタイム。
 いつもは誰かしらF3が迎えに来て、カフェに引っ立てられるんだけど、ちょうどみんな忙しかったらしく、特に誰も来なかったのでここへとやってきた。
 時々、類も昼寝をしてたりするけれど、天気の良い日やカフェに行かない時にはあたしのお気に入りの場所だ。
 間違ってもあたし一人でカフェに行きたいとは思えない。
 何を話しているのかだいたい想像できるけど、F3同伴の時とは雲泥の差の冷たい視線の集中砲火。
 あちらこちらでひそひそ、こそこそ、たま~に、浅井百合子なんかが直接素敵な嫌味を置いて行ってくれる時もある。
 高校生の時は特に浅井とは仲が悪かったわけでもないのに、なんだかいきなりの悪意に当初は面喰ったけど、あたしの記憶にある高校時代のその後には道明寺とのことを巡っていろいろあったことは、この目の前の美少女によって聞いていた。
 まあある意味、遠巻きに悪意を向けられるより、直接ぶつけられる方がいいかも。
 ムカつくことは、ムカつくんだけどね。
 なんで、何の記憶もないあたしが、道明寺司のことで白い目で見られなければならないのよ。
 まあ、道明寺のことがなくても、F3といつも一緒にいるあたしをやっかんでいるってことだけは、もう仕方がないと諦めてる。
 道明寺はともかく、F3には、畏れ多くも今や友達として得難い人たちだと好意を抱いていたし、そんな理不尽な理由で離れる気にはなれなかったから。
 横に座った桜子が、小首を傾げてあたしの手元の弁当を覗き込む。
 「相変わらず、庶民的なランチですねぇ。道明寺邸のお抱えシェフにお弁当でも頼めばいいのに」
 「…道明寺邸のお抱えシェフって、余所の家で雇っている人にそんなの頼めるはずがないでしょ」
 「人の家って、道明寺さんのお宅でしょ?もう半分嫁入ったみたいなもんじゃないですか。聞きましたよ?大きなダイヤモンドプレゼントされてプロポーズされたんでしょ?」
 両肘を膝について、形のいい顎を支えた桜子が、キラキラした好奇心たっぷりな目で見つめてくる。
 同性なのに、この子の綺麗さには何度見ても圧倒される。
 『三条さん、綺麗』
 初めて顔を合わせた時、そう呟いたあたしに、
 『そうでしょ?この顔とボディにはたっぷりとお金と時間かけてるんですから。なんでしたら、先輩なら良い医師を紹介しますから、その顔にメス、入れてみます?』
 なんてあっけらかんと言われて、思わず変顔して、
 『牧野、ハトが豆鉄砲食らったみてぇ』
と類に大笑いされたオマケつき。
 ジロッと桜子を睨み、今日一押しのポップコーンシュリンプを口にする。
 うーん、美味しい。
 コンソメと粉チーズで味付けしたこの一品は、この子たちが普段口にするおっきなエビなんかとは雲泥の差だろうけど、エビ好きなあたしには十分ご馳走だ。
 「…先輩、よく榎のベーコン巻とか、卵焼きとかお弁当のメニューにこれでもかって、毎日のように入れてたのに、最近いれてないんですね?」
 「ん?そんなことないよ~。たまには入れてるけど、毎日同じもの入れてたら飽きちゃうじゃない」
 「まあ、そりゃそうなんですけど、それでも先輩、飽きた飽きた言いながら、そこら辺はいつも入れてたんで」
 「ふ~ん?大学の時のあたしって、よっぽど卵焼きが好きになってたのかな??」
 「どうでしょ。まあ、それはともかく、先輩、道明寺さんとのこと、もう見切りつけるつもりなんですか?」
 言いずらいことをズバリと切り付けてくる。
 いつも心の底で迷ってることだったけど、こうやっていざ他人にストレートに突き付けられると、返答がしにくい。
 あたしらしくもないことに、のの字を書くようにして五目豆を箸で弄り回し、
 「…え、あー、なんで?」
 しょうがなく、質問に質問を返すしかなかった。
 桜子がはあ~っと大きく息を吐く。
 「…まあ、先輩が道明寺さんのお持ちのものを便利に利用したり、いただいたプレゼントを素直にありがたがる、なんて器用な人じゃないのはわかってますよ。そんな先輩が、いきなり現れた王子様から、プロポーズされたってびっくりすることはあっても、受けるはずがないって」
 王子様…イメージは全然違うけど、まあ、確かに道明寺はあたしみたいな一般庶民からしたら、十分王子様の範疇に入る高スペックの男性だというのは納得だった。
 「て、いうか、誰だって見も知らない人からプロポーズされて、はい、わかりました、ってわけにはいかないと思う」
 「まあ、そうですね。そこんとこ、道明寺さん、非常識っていうか」
 あたしからしたら、桜子だって常識なんてものはあまり持っていない気がするけど、それでも道明寺の言動は非常識だと認識しているらしい。
 少しは価値観の重なるところがあって、内心ホッ。
 記憶を失ってから、何くれとなく気を使ってくれて、あたしを弄りながらも親しくしてくれる桜子になんだかんだで、あたしも馴染んでいた。
 今なら、以前のあたしが彼女と友達付き合いしていたのが理解できるし、今も友達になれたと思ってる。
 …桜子はずっと友達なんですよ、とちょっと怒って言うけど。
 「まだ、帰ってらしてもいないのに、もう道明寺さんのことが重い?」
 ズバリと言い当てられた心情に、あたしは困って固まってるしかできなかった。

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