FC2ブログ

「百万回の微笑みを愛の言葉にかえて」
第一章 忘却は罪?

百万回の微笑みを愛の言葉にかえて015

 ←昏い夜を抜けて073 →昏い夜を抜けて074
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

類SIDE)
 なんかまた考えてもしょうがないことを考えてるんだろうな。
 携帯電話を眺めながら、難しい顔で牧野が固まっている。
 ここのところ朝も夜もなくの状態で、ベッタリ牧野に張り付いていたのが功をなしたみたいで、以前のようにとはいかなくても、だいぶ牧野は俺に馴染んでくれていた。
 やっぱり記憶の一部を失っているというのは、不安なんだろうな。
 時々、以前の牧野にはなかった頼りなげな目で俺や周りの人間を見たり、不安そうにしていることがある。
 総二郎なんかは牧野=雑草女っていう印象が強いみたいだけど、俺は牧野がそれだけの女じゃないことをよく知っている。 
 司もちゃんとわかっているのかな。
牧野は強いだけの女じゃなくって、か弱くて案外脆いところもあるんだって。
 それはNYに司を追っていった時もそうだったし、司が記憶を失って牧野を拒絶していた時もそう。
 本人も意地を張って突っ張るんだけど、本当は泣きそうな顔で必死に我慢しているこいつが可哀想で、愛しくて…初めて牧野のことが好きだって俺が自覚したのも、たぶんそんな彼女がわかったから。
 もちろん…初めて会ったころから牧野はほかの誰とも違って、特別だった。
 俺はそれを自覚するのが遅れたけど、思い起こしてみればそうだったんだ。
 「あ、バス来たね」
 牧野が、顔を上げた。
 「なに?なんかついてる?」
 「うん、可愛い顔」
 「もうっ!花沢類ったらっ。あんた、本当はタラシなの?何よ、西門さんみたいなそのチャラけた台詞!」
 失礼な。
 総二郎は女になら老若問わず、誰にでもいうけど、俺は牧野だけ。
 それにチャラけた台詞なんじゃなくって、本心だよ。
 まあ、真っ赤になってキャンキャン吠える牧野のそんな顔を見たいから、わざと言っている自覚はあるから、俺のイジメっ子心理ってやつで、ガキだった司を言えたもんじゃないのかも。
 バスが俺たちの前で停まり、牧野の背中に手をあてステップに足を乗せる。
 「…あ、類、バスの乗り方わかる?」
 そんな失礼なことを言う牧野。
 でもまあ、それも仕方ないか。
 牧野と一緒に過ごすようになって、ほとんど初めて乗ったバスや電車の公共機関。
 日本国内の移動が多い総二郎は案外新幹線なんかは利用しているらしいけど、俺らは基本飛行場までは自家用車、ドアtoドアで移動に待ち時間なんてものは必要ない。
 「俺は何度か、あんたと一緒に乗ったから」
 ほら、と言って手に持ったSuica(共通電車カード※バスにも乗れるし、買い物も可能)を見せた。
 「それより、あんたの方こそ大丈夫?」
 「うん。不思議に、スマートフォンのかけ方とか、大学で勉強したこととかは忘れていないみたい。…っていうか、あたしはいったいいつの時代の人間なのよ、っていう感じだよ、それ。3年半前ならもうSuicaはあったから」
 「そっか」
 わざと膨れて見せる牧野と笑い合いながら、バスに乗り込む。
 バスは少しだけ混んでいて、他の乗客と密着するほどではなかったけれど、座席は空いてなくって、俺たちはつり革に掴まって並んで立った。
 「週明けから、大学行くんでしょ?」
 「…うん、そのつもり。単位や出席数は足りてるみたいだけど、せっかく通ってるのにもったいないし」
 「もったいない…ぷっ、こんな時まであんたはあんただね」
 「そう?」
 自信なげに俺を上目遣いで見る牧野の顔は、ホッとしているような不安そうな。
 自分の一挙一動に、失われた3年半を探してる。
 どんな感じなんだろ。
 記憶の中の自分はまだ高校に上がったばかりの15才という年齢なのに、実際には大学生で、周囲の環境も状況も、人間関係さえもがガラリと変わってる。
 その中で、特に戸惑わせているのが、俺や総二郎、あきら…何より司なのだとは、察することができる。
 「あのさ…」
 話しかけたところで、キキーッとバスが急停車する。
 「きゃっ」
 「おっと」
 よろめいてたたらを踏みかけた牧野を咄嗟に片手で支え、倒れないように俺の方へと引き寄せる。
 どうやら直前の横断歩道で、飛び出しがあったみたいで。
 事故にはならなかったようだけど、運転手が窓から外に向かって注意していた。
 車内の乗客たちにも幸い怪我人はいなかったようで、ざわつき、そこかしこで「危なかったですね」、「大丈夫ですか」などと声を掛け合っている。
 「…牧野、大丈夫?」
 ウンでもスンでもなく、体を強ばらせて俺の腕の中にいる牧野の顔を覗き込むと、真っ赤になって俯いていた。
 「牧野?」
 もう一度呼びかけると、あきらかに動揺した顔で視線をキョドらせて、突っ張るようにして俺から身をもぎ離す。
 「だ、だ、だだ大丈夫!あ、ありがとっ」
 …声、うわずってるよ。
 て、いうか、その顔反則。
 牧野のそんな顔なんてもう高校時代からお馴染みで、カラかってわざと赤面させたりすることも珍しくなかったのに、なぜか、腕の中にあった彼女の熱や、小さな手の感触が、俺までも動揺させて、二の句を告げさせなかった。
 奥手で純情な女だから、恋人以外の男の胸に抱きとめられたことが恥ずかしいだけなんだって、俺だってもちろんわかってるさ。
 それでも、ずっと昔に自覚して、いまも燻ってる想いを押し隠してる俺にはけっこうキツい。
 牧野は司の彼女で。
 司は俺の親友で。
 何度も何度も反芻した呪文を心の中で唱えないと、自分が抑えられなくなる不安をここのところ感じている。
 以前は、牧野自身が俺へのストッパーだった。
 牧野の気持ちが司にあるのがわかっていたからこそ、その彼女の気持ちを無視してまで、俺に気持ちを向けさせようなんて思わなかったんだ。
 たとえどんなに苦しくても、牧野が笑ってくれればそれでいい。
 それが俺の牧野への愛情のスタンスだったのに。
 今の牧野の心には司への気持ちがない。
 …もちろん、俺に対してもないけど、それでも、そんな顔をされるとムクムクと封印してしまったはずの気持ちが、封を破って溢れてしまいそうで自分が怖かった。
 「類?」
 「…いや、大丈夫ならいいんだ。この間は階段から落ちて入院して、今度はバスで転んで入院なんてシャレにならないだろ?」
 「はは、ホントだね」
 「その度に司がジェット飛ばしてたら、あいつこっちに転勤になる前に道明寺ホールディングスを首になっちゃうかも?」
 俺らしくなくおどけて冗談を言ったつもりだったのに、やっぱり言い慣れてないジョークは不発…滑ったみたいで。
 それどころか、見事に牧野の地雷を踏んだようだった。
 
◇交流・意見交換 『こ茶子の部屋』へ
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ

↓ランキングの協力もよろしくです♪
ブログランキング・にほんブログ村へ 💛 
いつも応援ありがとうございます^^!

web拍手 by FC2


関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【昏い夜を抜けて073】へ
  • 【昏い夜を抜けて074】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

初めまして

楽しく読ませて貰ってます!その後ストーリー。早く道明寺とラブラブに、なってほしいです。三角関係も捨てがたいですが。。(*´∇`*)頑張ってください。続き読みます。また、コメントします。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【昏い夜を抜けて073】へ
  • 【昏い夜を抜けて074】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク