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「百万回の微笑みを愛の言葉にかえて」
第一章 忘却は罪?

百万回の微笑みを愛の言葉にかえて014

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つくしSIDE)
 ピロロ~ン。
 「…あ」
 珍しくすぐに気がついた鞄の中の携帯の着信音に確認してみれば、案の上あいつから。
 先を歩いていた類が、立ち止まったあたしに気が付いて戻ってくる。
 「なに?司から」
 「…うん」
 「開いてみれば?」
 促され、ため息一つでエイヤっと開封をタップする。
 『今日の天気は、雨だ』
 はあ?
 一昨日、なんだかよくわからない別れ方?で電話が切れて、悶々としていた。
 別にあたしに何も疚しいことはないし、赤の他人にあたしの交友関係を口出しされるいわれはないと思っているし、そもそも類にあたしのことを頼んだのは道明寺。
 そうは言っても、あたしが怪我をしたっていう連絡を受けただけであんな風に焦った顔で駆け付けてくれて、何くれとなく遠路はるばる手を尽くしてくれた人だ。
 赤の他人…ていうのは、適切じゃないんだろうな。
 それでも、彼や他の人たちが言うように、とても恋人なんて思えない。
 「司、なんだって?」
 「…ああ、NYは雨だって」
 「……。雨?それだけ?」
 「うん」
 目を瞬いたキョトンとした類の顔が何気にヤバイ。
 なんていうか、この人と知り合って(あたしの中ではまだ数日だけど)度々思うのが、なんでこの人こんなに無邪気なの?
 いや、話してみると外見のイメージに反してそう無垢な人でもないのはなんとなくわかってきたんだけど、なんていうか、わかっててやっているのかわかっていないのか、彼を見ていると妙に母性本能をくすぐられるっていうか、どうにしでもして…っていうか。
 いやいや。
 まあ、そうかと思うとポンと意地悪なことを言ったり、からかってきたりもするから油断できないんだけどね。
 「司から、あのあと電話あった?」
 「…ううん、類が怖いこというから戦々恐々としてたんだけど、特には。別に類があたしの部屋にいたからって、どうってことないってことに気が付いたんじゃないの?」
 「ふうん?まあ、多少は頭も冷えたんだろうけど、あれだけ俺に電話してきたら牧野にまで電話する時間ないか。あんまり自由になる時間もないだろうし」
 「え?類のところに電話あったの?」
「うん、2、30回くらい? 」
 「2、30回ってあんた…」
 「面倒くさいからでないでバイブにしてたら、なんだか司で着信履歴一杯」
 あはははは、と笑う類になんて返していいかわからない。
 よほどあたしが変な顔でもしてたのか、首を傾げてポンポンと優しくあたしの頭を叩いてくれた。
 「気にしない、気にしない。あいつがつまんないことで俺や総二郎たちに昼夜問わず電話してくるのなんていつものことなんだから、一々相手してらんないよ。下手に着信拒否すると家や会社にかけてくるし。面白いからいったい何回かけてくるのかって放置してるだけだから」
 「…あんたらって親友なんだよね?」
 「ん?そうだけど?」
 ひどい、と思うのはあたしだけだろうか。
 なんだか、類の道明寺に対する扱いに、わずかながらに同情心が芽生える。
 「ああ、そう…。あ、ここからバスに乗ろう」 
 「OK。遠出するなら車出すのに」
 あたしと類は、駅前に買い物のために出かけていた。
 ちょっとしたスーパーくらいなら近所にあるんだけど、大学の授業に使う…と思われる参考書を購入すべくちょっと遠出。
 週明けから大学に復帰するつもりで、自室にあったノートや参考書を覗き込んだら、不思議にスッと勉強内容が頭に入った。
 そこはちょっとだけホッ。
 高校生だったはずのあたしが、いきなり大学生だなんて言われたってほとんど自覚なんかなかったけど、憶えている交友関係が違う。
 持っていた物や家まで違う。
 その他もろもろの事実が、あたしが担がれてるわけなんかじゃない。
 これは冗談やなんかじゃないって、否が応でも悟らせてくれたけど、これからのことについてすっごく不安だった。
 いきなり就職していたとしてもそうだっただろうけど、まず心配だったのが、大学の授業。
 人に関しては、少なくても家族や優紀のこと、高校1年生までの交友関係は憶えていたし、新しく知り合った人たち…F3や滋さん、桜子についても少しづつ馴染んでいった。
 けれど、勉強はそうはいかない。
 でも、その心配は杞憂だったようで、さすがに次の講義に必要なもの…なんていうのは憶えていなかったけれど、ノートに書かれている内容や、教科書を理解することはできた。
 自分の?手帳のメモ書きから、次の講義で必要としていた資料を揃えようとしていたのがわかって、今日、出かけることにしたのだ。
 退院してから3日。
 少しづつ行動範囲は広げていた。
 自分は果たして、これから周りに適合して行けるのか…なんてあたしらしくなくシリアスになったこともあったけど、いざ退院して普段の生活に戻ってくると、意外なほどアッサリと馴染むことができた。
 記憶の中で住み馴れていた社宅から出ていたことも逆に良かったのかも。
 今の家に引っ越して1年くらいしかたっていないということもあったけど、あたしは大学とバイトの二足の草鞋、家族もそれぞれに働いたり、あまり近所づきあいがなかったおかげで違和感の感じようもない。
 普通に、新しい土地に来て、引っ越してきたと思えばそんなに戸惑わなかった。
 記憶を失って一番ショックだった進の変化も、外見は確かに驚くほど成長していたけど、一緒に暮らしてみればやっぱりドジで人が良くて、気弱な弟で多少しっかりしてきてるかな、という感じくらいで、あっという間に馴染んだ。
 まあ、家族だしね。
 パパとママに関してはほぼ変わらず。
 類に関しても、まるで生まれた時から知り合いだったかのように、気の置けない友達になっていた。
 なんていうか、類の独特の雰囲気というか、安心感がしっくりとくる。
 あたし、きっと記憶を失う前も彼のことがとても好きだったんだろうな…なんて。
 もちろん、こんな綺麗で、雲の上の別世界の人みたいな類が親しい友人っていう事実にはいまだに馴染めないけど、それでも、彼といる時間に違和感は感じなかった。
 そこには、たぶん類がほとんど毎日のように家に顔を出してくれて、うちの家族とも馴染みまくってるせいもあるんだろうな。
 パパや進とババ抜きしたり、普通に夕飯を食べていったりもする。
 今日だって、フラリとやってきたと思ったら、出かけるというあたしについてお伴だ。
 「車呼ぼうか?」
 言われて、そういえば提案されてたんだっけと、我に返る。
 「いいよ、あと5分もしたらバスくるじゃん。あんたら、そんな立派な体格していて自分を甘やかしすぎ。ちょっとの距離でも車呼んだりするでしょ?」
 「それは司でしょ?俺はけっこう歩いたり散歩もするよ?」
 司…といわれて、さっきメールを受信した携帯電話をもう一度眺める。
 返事、返した方がいいのかな。
 なんて?
 雨だ…とか言われたって、なんて返せばいいのよ。
 こっちは晴れって?
 実は、過去に来ていたメールの内容をあたしはまだ確認していなかった。
 以前の交友関係を知るにはメールを見るのが一番だというのはわかってる。
 実際、優紀や類たちから来たメールはすでに一読していた。
 予想にたがわず、普段のくだらない雑談や、「いまどこ?」的な連絡が主で、たまにプッと吹き出したり、添付された写メを見て楽しんだり、嬉しくなったり。
 けれど、なぜか道明寺からのメールは見ることができなかった。 
 …だって、うっかり「好きだ」とか、「愛してる」とかそんな甘々な恋人同士みたいな文章のやり取りをしていたらどうしたらいいのよ。
 同じ理由で自分から道明寺に送った送信メールもチェックしていない。
 けど、恋人同士というわりに、あたしからはともかく、道明寺からはいままでも大してメールなんかきていないようだった。

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