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「中・短編」
つくしちゃんのスチュワーデス物語…13話完

キャビンアテンダント24時08

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 「ええ?そうなの?まあ、セレブって案外ファーストよりビジネス好む人、多いよね」
 「ま、ファーストって言ったって、値段はビジネスの二倍のわりに座席が二倍広いわけでもないし、サービスから考えたら断然、ビジネスの方がコスパ高いし」
 実際、金持ちほどお金にはシビアだ。
 つくしからしたら金持ちは英徳に在籍していた生徒たちや司たちF4が基準だったから、誰も彼もお金に糸目をつけないバカどもばかり…という印象だったが、CAとして多くの富豪と接する機会も増えて、そうでないことを知った。
 実際、平気で経費も考えずジェットを飛ばすのは司くらいなもので、案外楓さえもが無駄な経費を消費することを嫌っているのは、司の話からも窺い知れる。
 『たくよ。ジェット使おうと思ったら、くだらない私用に無駄な経費を使うことは許しません、なんて、言われちまって。クソババア、あれでけっこうセコイんだよ』なんて言っていたことも珍しくなかったので。
 「もともと、ファーストの座席とったのだってけっこう急だったし。今回は全体的に一杯一杯だったから、キャンセル待ちでとった座席じゃなかったのかな。なのに、ビジネスと交換だなんて!本当は私がビジネスで中沢さん(つくしが代打になった忌引きで欠勤したCA)がファーストだったのに!」
 「ま、仕方ないじゃない。初国際線の牧野さんをいきなりファーストも可哀想でしょ?」
 「すいません」
 何に対する謝罪なのかわからないままに、憤慨しまくっている美川に一応頭を下げる。
 美川も言い過ぎたと思ったのか、小さく肩を竦めてバツが悪そうに苦笑した。
 「まあ、しょうがないか。あの!道明寺司が乗ってたからテンション上がっちゃった。でも、今回、なぜか野上の爺さんもビジネスだったんでしょ?」
 「野上?」
 あたりまえのようにうんうん、と頷き通じ合っている一同を見回す。
 「…ほら、道明寺司の対面側の一つ前に座ってる爺さん」
 礼儀正しく、清楚で、大和撫子の模範!…キャビンアテンダントたちがすっかり『じいさん』呼ばわり。
 「あの…人」
 誰のことだかわかって、つくしがピクピクっと唇を引き攣らせる。
 その表情からすべてを感じ取ったのか、口々に皆がつくしを労う。
 「やっぱ、なんかやらかされちゃったんだ。ごめんね、うっかり注意するの忘れちゃってて」
 峰岸が申し訳なさそうに謝る。
 「あのお爺さん、国際線では有名なのよ。おしり触ったり胸さわったり、セクハラしまくるヒヒじじい!どこだかの富豪のご隠居らしいんだけど、ね。いつもはファーストなのに珍しいわ」
 「本当なら、中沢ちゃんが今日の担当だったからじゃない。あの爺さん、中沢ちゃんのおっかけだって噂だし」
 ゆゆしき爺様に、頭痛を憶える。
 司一人でも頭が痛いのに、有名な問題児…もとい、問題人物まで搭乗しているのでは、初国際線搭乗の先行きが暗い。
 いやいや、負けてたまるか!
 そこで、ずっと黙って聞いてた今井も声を潜め、口を開く。
 「エコノミーもね、なんだかキモイお客さんいるのよね~」
 「「「え~?」」」
 「コイツ、海外旅行行くような恰好かよ!みたいな思いっきり汚い恰好で、見た目もダッさくてオタクそのまんま!みたいな。あたしたちをチラチラ見て、ぶつぶつ言いながらニヤニヤしてたり、もう怖くて最悪!」
 「酔っぱらってんじゃないの?」
 「…そういうわけじゃないみたいだけど、はあ」
 今井の言い様はCAとしては褒められた物言いではなかったが、CAも人間。
 いろいろ思うところはある。
 お客様の快適な空の旅同様、CAたちの勤務も平穏無事なものであることを祈りたい。
 「あ、やば、そろそろ戻らないと、久住さんに怒られちゃう」
 「あたしも!」
 今井と美川が焦りだす。
 「最後に、道明寺司見納め!」 
 「やん、ホント、カッコイイ!!」
 ちょうど、司が立ちあがって、後ろの席のSPに何事か囁いている場面で、ヌッと彼の長身やスタイルが際立ち、CAたちの目がハートに輝きだす。
 「ああ~、峰岸さんや牧野さんが羨ましい~」
 未練を残しつつ去ってゆく二人を見送りながら、ついつくしもあえて無視していた司に目を留める。
 ふと目にした珍しく相好を崩していた司の柔らかい表情に、遠目ながらぼうっと見惚れてしまった。
 気が付いた峰岸が、ツンツンとつくしの肩をつつき、ニヤニヤ笑う。 
 「何々?やっぱり興味なさそうな顔して、牧野さんも道明寺司、カッコイイと思ってるんだ~」
 「ええっ?い、いや、そんな」
 「超お金持ちで、地位も名誉もあって、あの顔にスタイル!だものね!あたしにはちょっと年下すぎるけど、あの道明寺司から誘われたらきっとついて行っちゃうもん」
 「…はあ」
 聞きなれたようなセリフも、身近な同僚から言われるとなんと返したらいいのかわからない。
 まさか、アレはあたしの彼氏なんです、とも言えまい。
 複雑な顔で峰岸の顔を見ながら、手は休まず、昼食の準備を続行する。
 峰岸も、一時のミーハーはともかく、手際はいい。
 「しょうがない。そんなに見惚れるほど好みなら、E席側の担当は牧野さんに譲るよ」
 「えっ?」
 そんなつもりはないというのに、どうやら司を見ていた時のつくしの顔がよほど惚けていたらしく、峰岸のよけいな勘繰りを受けて、カッと顔に血が上る。
 「ほら、ああいうイケメン御曹司だから、何かと女タラシっていう噂だけど、逆に考えればチャンスじゃない?あたしたちCAには、野球選手や有名俳優だって声かけてくるんだから、ここでアピールすればメアドくらいゲットできるかも!」
 激励してくる。
 「い、いや、あたしはそんなつもりは」
 「照れない照れない。牧野さん、噂ではけっこうお堅いって聞いてたけど、理想が高かっただけなんだね」
 「ち、違います!理想だなんて。…って、あんなん断じて理想なんかじゃありませんからっ」
 ヤバイ、このままじゃあ、道明寺があたしの理想像にされちゃうよ!
 冷静に考えてみれば、それでマズイことなどまったくないのに、頭に血が上ったつくしは峰岸の勘違いを否定することで必死だ。
 そんなつくしの様子がよけいに不審で、峰岸が首を傾げる。
 「えっと、もっと理想高いの?」
 「そ、そうじゃなくって。その…道明寺司なんて、全然興味ないし」
 つくしの断言に峰岸が目を瞬かせる。
 「だって、カッコイイでしょ?」
 
 「あんなのどこが!顔はまあ、人より整ってるかもしれないけど…」
 「ま、牧野さん」
 「ああいう無意味に整い過ぎた顔なんて、全然あたしの好みじゃないし」
 「……」
 「澄ました顔してるけど、本当はきっとすっごい傲慢俺様なバカだし、自意識過剰だし、目つきなんて蛇みたいだし、髪だってクルクルパーマなんですよ!」
 つくしがキッと顔をあげたところで、呆けた峰岸の顔に視線があたる。
 フルフル震える指先が、つくしの顔…の後方を指差し…。
 「…悪かったな。好みじゃない自意識過剰のクルクルパーで」
 地獄からの使者かとも聞きまがうおどろおどろしい声が背後からかけられ、つくしはガキーンと固まった。




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