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「夢で逢えたら…全207話完+α」
新しい朝が始まる~番外編

新しい朝が始まる07~夢で逢えたら番外編

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 「…じゃ、寝るか」 
 ビールを飲み干すと、妙に意識してしまって固くなっているつくしをよそに、さっさと司が布団へと向かう。
 痛いくらいに意識しているくせに、そうかといって、意識していることを司に知られるのが嫌でつくしも不自然なくらいに張り切って立ち上がった。
 「そ、そうだね!寝よ、寝よ」
 だが、いざ、襖の向こう側…薄明かりの部屋に敷かれた布団に、足を踏み出すのを躊躇する。
 私ッたら、今更何を意識してるのよ。
 年端もいかない小娘じゃあるまいし、バカじゃないの。
 自分で自分に突っ込む。
 …それに第一、道明寺だってあんな疲れた顔してるんだから、今日そういうことするとは限らないんだし!
 実は部屋に入った時から、何気にずっと気になっていたことが具体的に脳裏に浮かび上がり、動揺する。
 い、いやいや、期待してるわけじゃないんだけど!
 誰も聞いているわけでもないのに、一人で焦る。
 「…何を期待してるって?」
 暗がりですでに布団に横になった司が、片肘を敷布につき、怪訝に振り返る。
 「え?な、なによ、なんなのよ、あんたっ!」
 心の中で呟いていたつもりだったのに、司に返事をされ、つくしは大いに狼狽えた。
 「…お前、相変わらずだな。再会した当時は嘘みたい落ち着き払ってやがったくせに、会うごとに退化してねぇ?」
 自分が司に対して思っていたことを指摘され、つくしはカッと顔を火照らせる。
 「あ、あんたに言われたくないわよっ!?」
 自分でもそれが憤慨なのか、羞恥なのかわからなくて、とりあえず怒ったふりでソッポを向いた。
 「期待に添えねぇで悪いけど、俺、もう寝るから、お前も寝ろよ」
 「は?」
 ニヤリと笑って背中を向ける司をつくしがキョトンとみやり、…やがて意味がわかると、今度こそ怒りと…ホンの少しの羞恥のために顔を茹蛸のように赤面させた。
 「誰が期待なんてしてるかあああ!!」



 躊躇していたわりに、思いきれば腹も座るつくしは、ままよとばかりにピッタリくっついた布団の片方へと滑り込む。
 いつもと変わらぬ行動なのに、隣にいるのが息子のレンではなくって、司というだけでドキドキと胸が動悸うつのはどうしてなのだろう。
 『恋人』…付き合いの長さの割にいまだにその呼称に馴染むほどにはともにいた歳月が少なすぎて、どうにも戸惑いとテレが先立ち、我ながら挙動不審な行動が目立つ。
 司から背を向け、ギュッと目を瞑るが、妙に精神が高ぶってしまってちっとも眠りが訪れない。
 …快眠快食は基本なのに。
 どんなにつらい時もそれを実行してきたつくしなのに、いまの自分の状態が情けなくて恥ずかしい。
 司の言う通り、自分は彼と再会して、幾分か大人になったと思っていた自分を見失ってしまった。
 まるで彼とであった16歳の少女時代のように、司の一挙一動に振り回され、彼が今何を思っているのか気になって仕方がない。
 おそらく…そうやって二人、ともにあることができたのなら過ごしてきたはずの再現が今なのだろう…。
 ただ一人の男、一人の女として出逢って、さまざまな障害はあったものの、二人で乗り越え、他の何を捨ててもともにあるはずだった。
 「…眠れないのか?」
 てっきり変に舞い上がってしまっている自分とは違って、度重なる激務の疲労に深く寝入ってしまっているのだと思っていた司が声をかけてきた。
 「……」
 とっさに何を話したらいいのか躊躇って、返事をし損ねてしまう。
 「なんだよ、寝たふりすんなよ。バレバレなんだからよ」
 「…別に寝たふりなんかしてないわよ。あんたはてっきり寝たもんだと思ってたから、驚いただけ」
 それは本当だったので、特に詰まることもない。
 「お前じゃあるまいし、横になったとたんになんか寝れるか。お前にしては珍しいな」
 「お前じゃあるまいし、お前にしては…。よほど私がすぐ寝るみたいじゃない」
 「そのとおりだろ?…俺とどんなにいい雰囲気でも、昔からお前はすぐ寝てやがったくせに」
 それを言われると痛い。
 いい雰囲気…どころか別れた直後の気まずい雰囲気の中でも、司の目の前で熟睡した過去を持つ。
 いまさら飾り立てるような見栄も何もないだけに、言い訳が辛い。
 「もう寝るわよ。あんたも、寝れなくてもせめて寝る努力は続けないさいよ。横になってればそのうち寝れるでしょ?」
 「…は、それこそお前じゃあるまいし、だな。何考えてたんだよ?」
 「へ?」
 思わぬことを聞かれてつくしが、目を瞬かせる。
 何を考えていた…も何も、むしろあんたのことを考えてたら眠れなかったなどと、いくらなんでも本人を目の前に言える性格ではない。
 「…別に」
 だというのに…、
 「俺のことだろ?」
 「うえぇ?」
 図星をさされた動揺に珍妙な返事を返したつくしに、司が思わずプッと吹き出す。
 「なんだ、その色気のねぇ声は?ホント、お前っておもしれぇ女だよな、昔っから」
 クスクス笑う機嫌のよい声に、恥ずかしいよりなんだかほんのりと温かい思いが胸に宿る。
 司が無邪気に笑うなど、本当につくしの前だけで。
 そして、そのつくしと別れていた歳月だけ、彼の中で真に笑うこと…幸せに感じることはなかったのだと、本人が語らずとも司自身の柔らかい空気やつくしを見つめるどこまでも優しい愛しげな視線がいつも伝えてくれていた。
 いつもだったらキャンキャンと言い返してくるのに、沈黙してしまったつくしに、司が再び振り返る。
 意に反して、つくしはジッと司を見つめていた。
 「うおぉ、なんだよ?マジで俺のこと考えてたのかよっ?」
 本気半分、冗談半分、つくしは怒らなかった。
 けれど、肯定するでもなく、ふっと表情を緩め、司から視線を反らす。
 「なんだよ、本当に。今日のお前変だぞ?」
 「…変なのはあんたでしょ?」
 「は?」
 そんなに愛しげな眼で見つめる癖に、人一倍感情が行動に直結した男のくせに、つくしを抱こうとしない司の屈託がつくしには理解できなかった。
 けっして、抱かれたいと思っているわけではない。
 ただ、あれほど情熱的に求めてきた男が、こうしてただ枕を並べて横に寝ようという心持がわからない。
 変にドキドキしたり、動揺したり、…寂しく思ったり、感情の振れ幅が大きくなりすぎていて、これほどわかりやすい男のはずなのに、司の心が見えない。
 私がプロポーズを断ったから?
 私が煮えきらないから…嫌になったの?
 言葉にすればそんなところかと自覚しながら、司の望む答えを返せない以上、つくしも何も聞くことはできなかった。
 「…そんなに俺に抱かれたかったのか?」
 見透かしたように言う司に図星をつかれるのが悔しくて、ふと思いついた昔話を口にする。
 「そんなわけないじゃない。ただ…そう、昔、花沢類と手を繋いで寝たなって思って」

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